弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許明細書の中で記載されがちな登録商標

特許庁から告知があり、随時更新がされている事項として、

「やむを得ず登録商標を明細書等に使用する場合、
最初の登録商標「○○○」の後に(登録商標)と
登録商標である旨の表示をしていただくようお願いします。」
というものがあります。

www.jpo.go.jp

登録商標を使用する場合は、従来から、当該登録商標を使用しなければ
当該物を表示できない場合に限り使用し、さらに、使用する場合は
登録商標である旨を記載するようお願いしている」

という建前で、一応拒絶理由が出ることにはなっています。

リストはリンク先を見たほうが良いですが、一応転載します。

基本的には発明を説明する上では、普通名称のみを
使用する、というのが建前になっています。
特定の会社の特定の商品を使わないと実現できない、
というものでもないですし、
商標がある商品についてもそれぞれ普通名称は存在します。

なのですが、依頼人の方の原稿の中に具体的な商品が
明記されていることも多いです。できるだけ普通名称として
リライトするようにはしているのですが、
具体的に分かりやすくするために入れているものですから、
どうしても入ったままになってしまうことも多いです。

実際のところ、直してねと言われれば直しますし、
指摘もされないことも多いです。

しかし、特許庁としてはこういう規則を設けてやっています。

使用頻度の高い登録商標のリスト

(五十音順)

ウィンドウズ
ウォークマン
ウォシュレット
カラーコーン
ガルバリウム鋼板
ケーブルベア
ケーブルベヤ
碁石茶
コンパクトフラッシュ
サーボパック
サイダック
サランラップ
セルフォック
セロテープ
宅急便
テトラパック
テフロン
テレスコ
トルクス
ハーモニックドライブ
パイレックス
パトライト
バブルジェット
パワーゲート
フォトショップ
ブルートゥース
ベルクロ
ペンティアム
ポラロイド
マジックテープ
万歩計
リナックス
レイデント
バーブロック


(アルファベット順)

ANDROID
BLACKBERRY
Blu-ray
BLUETOOTH
COMPACTFLASH
DLNA
FeliCa
FIREWIRE
FRAM
HDMI
HIT
i-mode
iPad
iPhone
iPod
JAVA
JAVASCRIPT
Linux
PENTIUM
PHOTOSHOP
PYREX
QRコード
SmartMedia
TEFLON
TETRAPAK
UNIX
VELCRO
VICS
WALKMAN
WINDOWS
YouTube
ZIGBEE

平成29年4月現在

弁理士ブログをこれから始める方への備忘録まとめ

弁理士になったことで何かしら情報発信をしよう、
と思われる方も多いと思いますし、そういうわけで
ブログを始めてみようと思われる方も多いと思います。
そんな方々への現状報告的なことをまとめてみます。

・ブログを始めるときはまずブログ村に登録しましょう。
ランキングサイトに登録しないと最初のアクセスが全く集まりません。

patintl.hatenablog.com

・ブログをすることで仕事になるかというと、まあならないです。
 もちろんブログを通じて親近感を抱いてもらい、その結果として
 ご依頼になることは、ある程度はあるでしょう。

・ただし、それはブロガー本人の情報開示の一環として
 役立つ話にすぎません。まして本名を伏せたままのブログが
 依頼につながるなどということは絶対にありえません。

・じゃあなんであなたはやっているの?って話はありますが、
 そこは導線設計の1つとしてです。間接的効果を狙う意味です。

・匿名でやろうという人が結構多いと思いますが、
 匿名で書いたブログも、いずれ誰かに察知されます。
 もちろんタイムラグはありますので、ある程度有名になって、
 それからしばらくして、誰かが感づくという感じです。

・このブログに特有の部分もありますが、ブログを見るのは
 主に同業者です。潜在顧客のような遠い人にまでブログ記事
 が到達することはあまりありません。

・攻撃的な文章は、どうしても誰かに反感を持たれます。
 しかし、ある程度反感を持たれるくらいの内容の方が、
 人からは共感を得られやすい点も一方であります。

・ですので、情報発信の結果として何を得たいか、
 ということが重要になってきます。
 攻撃的な内容を書いておいて、反感を買ったら
 逆恨みをするというのはいまさら何を言っているの、と思います。

・基本的にブログはしばらくやると飽きます。
 それでも続ける意味がないと続かないと思います。

patintl.hatenablog.com

・ブログの一般的な話にもなりますが、
 あなたが何を食べたかとか、どこに行ったかとか、
 そんなことに関心を持つ人はほとんどいません。
 そして、判例や条文に関心のある人もほとんどいないでしょう。
 そんな中でどんな記事を書くか、というのは
 最初の段階である程度構想を立てておく必要があります。

 そんなことを言っていると書く内容もなくなっていくのですが、
 その辺については以下の記事を参考にしてください。

 

弁理士の商標登録業務は一部でてるみくらぶ化している

タイトルは完全に便乗しましたねと思われそうですが、
全くその通りです。もっとも自分は最近まで
てるみくらぶというのを知りませんでした。

ネットの情報を総合すると、ネットを通じた
チケットの薄利多売で大きくなった会社とのこと。
ある時点から行き詰まり、そこで新聞広告など
広告宣伝に大規模に打って出たところ、
成果が出ずに資金繰りが一気に悪化したそうです。

価格というのはアピール力が強いので、
優位に立つと急拡大が可能です。
低価格に抑えるためには薄利多売路線に
どうしてもならざるを得ません。
しかしながら急拡大というのはいずれ止まります。

格安路線が怖いのは、価格を下げるなんてのは
誰でも追随できてしまう点です。
そして薄利多売であることから、利益の蓄積が進みません。
キャッチアップされた時点で、起死回生の宣伝広告を
大量に出して討ち死に、という結末になるのでしょうか。

さて前置きが続きましたが、弁理士業界においては、
商標登録関連が標記の事案に該当しうる感じがします。
懲戒事例なんか見ても、まあほとんどが年寄連中では
ありますが、お金の持ち逃げなんかもなくはありません。

商標登録とか検索をかけると、インターネットに
広告をたくさん出して、よく見ると低価格で
金保証で、などとやっております。
採算性が取れている間はいいのですが、
てるみくらぶと同じで、どこかでピークアウトする
時期が来ますよね。というか、低価格路線を
追随する同業他社も増えてきました。
そして宣伝広告費が段々重荷になってきます。

弁理士業の場合は、人件費とテナント料ですから、
あまり拡大しなければ、てるみくらぶになることは
基本的にはありません。
ただそれをいえば、旅行会社も基本的には
チケットを売るだけです。
商標登録の受任を当てに急拡大し、
それを維持するためにネット広告を大量に
出しているところは、いつか来た道を
辿っていく可能性があります。

ま、こじんまりとやっている分にはブレーキを効かすのも
難しくないと思いますが、商標登録のネット集客を
たよりに組織を大きくしてしまっているところは、
本当に大丈夫なの?というのは危険性としてあると思います。

共通性なさそうには見えるのですが、
商標登録料を前預かりとか、そういうのやってる
事務所もありますし、全く関係ないとも言い切れないでしょう。

特許・商標等2017年東京都の外国出願助成金、4/3より受付開始

海外への特許や商標の出願は、国内よりも料金が高いですが、
中小事業者に対しては、都道府県及びジェトロより、
外国出願助成金が提供されています。
助成金を受けることができれば費用の半額が補助されるので、
手続関連は面倒ですが、適用を目指したほうが良いでしょう。

助成金補助金の申請は年度単位で行われるのですが、
一番早い東京都の助成金が4月3日より受付開始となりました。

www.umepat.com

時期については以下の通り2回に分けて行われるようです。

第1回:平成29年4月 3日(月)~6月16日(金) 締切
第2回:平成29年6月19日(月)~12月15日(金) 締切

登録可能性が高いのと、事業への活用が2大ポイントで、
そこをクリアすれば大体通ることが見込まれます。

告知はまだされていないようですが、
これから徐々に都道府県、そしてジェトロからも
同様の助成金の告知が行われていくと思います。

詳細はお問い合わせいただければと思います。
(もちろんこれは事業者向けの話です)

patintl.hatenablog.com

iPhoneとMacBookを合体する特許をAppleが米国特許出願

ブログ記事の連投は原則しないのですが、
世間的に取り上げられるような話題については、
やはり反応しておいた方がよいだろうということで、
上記案件について説明します。

www.appps.jp

記事が「謎の特許をAppleが取得」とあるので、
権利成立したのかなと思ったのですが、
特許権は成立していません。

なお、出願番号は15/271,177で、
公開番号が2017/0083048 A1ということになります。
内容的には図面を見ると一目瞭然ですね。

f:id:patintl:20170324221515p:plain

諸外国のステータスも含めて、まずはespacenet
から確認しようとしましたが反映されていませんでした。
公開日は2017.3.23つまり昨日です。早すぎたようです。
なので、米国特許のみをPairsで調べることにします。

出願日は09-20-2016とあります。それでもう公開?
と思われるのですが、Related Application Data
のところに仮出願の情報が書いてあります。
仮出願日がSep.21, 2015とあり、1年の優先日を
おいて本出願に移行した形ですね。

仮出願というのは、とりあえず特許出願の形
にはなっていないけど、大まかな内容で出しておくよ、
という制度です。日本からだと日本語で出願して
しまったりということもあります。
仮なので正式な出願に移行してから審査の対象になります。
その正式な出願が去年9月だったということです。

案件の主なステータスとしては、
仮出願日 Sep.21, 2015
出願日   09-20-2016
出願受領書 10-04-2016
予備補正  11-04-2016

あとはIDSが2回です。

審査ステータスは以上なので、まだ特許出願されただけで
特許になるどころか、審査自体全くされていません。
したがって「特許取得」されたというのは
正しい情報ではない、ということになります。

後は外国出願のステータスなのですが、
仮出願を基礎としていても、仮出願日からようやく1年半程度なので、
PCT出願を含めて公開情報は出てきていない状態ということになります。
espacenetに反映されていないのはそういうところで、
まあ反映されていたとしてもあまり有用な情報は
ない状態ではあります。

まあ特許出願したからと言ってそれで実装につながるわけでも
ないでしょうが、見た目にわかりやすい特許は見てて面白いですね。