弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

労働基準監督署は、特許事務所には入らないのか?

今は働き方改革の時代。下記リンク先のように、
監査法人には割と多く労基が入るような時代になり、
いよいよ黙認できないようになってきているようで、
現在大手の監査法人は、片っ端から取引関係を切り始めて
来ているとのうわさが入ってきています。

監査法人の最大の経営課題は労基署対応? | 出る杭はもっと出ろ!

みんなが寝静まった頃に 【労基署ショックが日本を襲う】(03) 会計士・アナリスト・研究員…エリート業界に是正勧告の嵐

最近の監査法人の動向 | ブラック監査法人からの脱出

特許事務所は大まかに分けて多忙なところと、
定時近くで帰れてしまうところに、割とはっきり分かれる
という話はしました。
多忙なところは今も夜遅くまで働かされているようです。
そんな話は以前からもあったようなのですが、
こんな時代ですので、そんなことはいつまでも許される時代では
なくなってきました。その一方で、特許事務所と言うのは
外の情報を察知して自己改革するという能力に
欠けていますので、当然のごとく何も変わっておりません。
労働基準監督署にはもう少し頑張ってほしいものです。

税務調査に入られる話はたまに聞きますよね。
まあ税務調査はそもそも頻度自体高いものですから、
ある程度の事業規模でやっていればそのうち来ます。
まあうちは零細ですので、仕事の妨げになるだけで、
何も出ません。それと比べると労基に入られた
というのはレアな感じですね。

この業界の不思議なところは、労働基準法違反は
大手ほど目立つ感じがするところですね。
零細はもちろん零細ですのでまずいところは
かなり大変なことになっていますが、
それはどんな業界でも同じというのと、
零細特許事務所はとっとと人が逃げていくので、
あまり問題にもなりにくいのです。

ただ、労基的には特許事務所はターゲットとして
ちょっと地味すぎるのですね。監査法人なんかだと
やり玉にあげるのにちょうどよいインパクトですが、
特許事務所はいかにも地味すぎます。
「ふうん」で済まされそうです。

業界内のブラック体質が一掃されるのが、
業界志望者にとって一番のアピール材料に
なると思いますが、そこはこの業界、臭いものに蓋。
そう簡単に自浄能力が働くはずもありません。
なんらかのインセンティブがなければ
開示は促されないという法の精神に則っています。
まあ噂は簡単に広がるのですが。

こういう時代なので、どんどん摘発が進んでいくのが
一番世の中にとって良いと思います。
特許事務所にもどんどん遠慮なく来てほしいものです。

米国特許権利化で代理人にぼったくられるのは自慢できる話ではない

外国特許出願の費用は、国内費用だけでなく、
外国費用も掛かるのが外国案件の特殊な部分です。その中でも
案外難易度が高いのがアメリカの代理人費用の部分です。

日本企業としては、米国で特許をぜひとも取得したいわけですが、
弁理士というか、米国特許弁護士の数は、かつては限られており、
泣く泣く高い代理人費用を貢ぎ続けてきたという時代があります。

けどそれも結構昔の話でして、米国代理人も競争の時代に入っております。
米国特許弁護士と話をしても、取引を切られたりして、
今は厳しくなった、という話を聞くことがあります。
営業活動の点からも今は楽ではないようです。

こういう状況ですから、ちゃんと探せばそれなりにちゃんとした代理人と、
比較的まともな価格で契約をすることはそんなに難しい話ではありません。
また、日本の特許実務家がアメリカにわたり、対日担当を勤めている
という特許事務所もいくつかあったりします。

 

そのためには何が必要かというと、米国に渡って対話をし、
大したレベルではないですが一応交渉をするというフェーズが生じます。
しかし、外国案件を得意とします、なんて特許事務所でも
そういうのはやりません、なんてのが結構多いのですね。

あとはまあ、人を見て話して、一応信用してみる、という
部分も必要になってきます。人の紹介とか評判がないと嫌だ、
という方も結構多かったりしますが、そういうのって
案外頼りにはならず、自分の直感の方が信用できると思っています。
今メインの取引先とは、取引がないときに自分の勘でこの人は
行けるだろうと思った方ですが、取引してみて、思った以上に
意思疎通が的確であり、しかもなんだか安い、となっています。

現状はそうですが、人間ですからなんだかうまく運ばない、
というケースも当然あり得ます。
そういう場合はきちんと交渉しなくてはいけません。
現在の取引先とはお金でもめたことはないですが、
過去の勤務先では現地にクレームをつけたりという交渉はありました。

顧客の費用は現地費用込でなのですから、
現地費用を引き下げるのは国内代理人の仕事です。
顧客指定でなければ、代理人の選任もこちらの仕事
ですから、ぼったくられてしまうというのは、
単にこちらの能力が低い、又は、仕事でミスをしている、
という状態に等しい訳です。自力で挽回しなければなりません。

以上が自分の認識なのですが、なぜか、この業界では
自分をあたかも業界通のようにドヤりながら、
「米国の代理人は非常に高くふっかけてくるのでね」
などと上から言う人が意外といるのです。

例えばこちらからの詳細なコメントを単にコピペした
だけなのに、それで3000ドルも請求された、
とかそういう話は時々出てくるのです。
そういうことは起こり得るでしょうし、現地への不満として
出てくることは会話の中ではあり得る話です。

ただそれは事情通なのではなく、単になめられただけです。

当然そういう話に対しては、例えば1000ドル程度が妥当なのだから、
その程度に下げるべきだと通知します。
そのためには1000ドル程度、という相場観を持っておく必要があります。
それで文句を言ってきた場合は代理人を変更します。
場合によっては中途変更も辞さないです。

代理人変更が脅しになるのは、当然継続的な取引関係が
あることが前提になります。年1-2件のスポット発注では
特に大手法律事務所に対しては全く効きません。
相手の規模と取引量などから勘案して、
ちゃんと交渉できる相手を最初から選んでおく、
ということも必要となってくるでしょう。

などと、こっちもこっちで事情通ぶって話をしましたが、
そういう話をする時ほど、謙虚さも必要かと思っています。
吹かし気味に話す人が事情を知っているとは限りません。

特許翻訳の営業メールと受託の場合のマージン

最近はあんまり来なくなりましたが、一定のインターバルで、
翻訳会社からの宣伝のDMとか、個人の翻訳者の方の
営業のメールなんかが届いてきます。

大体そういう時に限って、外国案件が特になく、
発注するつもりがなかったりするのですが、
案件に追われているタイミングで、
この人なら出してもいいかな、という状況だと
案外発注する特許事務所は多いのではないかなと思います。
今ちょっと案件抱えていて、しまったなあとか
思ってるとこです。

一番熱心に来るのが翻訳会社なのですが、
翻訳会社というのは構造上マージンを抜いて翻訳者に
出しているわけですので、その抜いた後の発注単価で出して、
果たしてどんな品質で上がってくるのか不安になります。
過去の経験から言って、プルーフリードしてますとか
言いますが、全然できてないケースが多いですからね。
結局翻訳者の力量に左右されます。
そんなこともあって、あんまり翻訳会社に出すことは
多くはありません。

次に来るのが年配のおっさんですね。
まあ実力があればいいんでしょうけど、
メールのやり取りをしていると、偏屈そうな対応が
帰ってきて社会性に不安があります。
お前な、その根性直すのが先だろうと、
年配の翻訳者の場合はそんなケースがほとんどです。

ふと思い返すと、特許翻訳者って女性の方が
数的には圧倒的に多いはずですよね。
スクールに通っていた時も周りみんな女の人でした。
女性の方からの営業メールってそういえばないなあと
思いました。

まあ男性でも女性でも、最低限対応がきちんとしていそうな
感じがないと、きちんと仕事になるのかと不安になりますし、
女性の場合は比較的その辺は比較的ましな感じはします。
正直言って、翻訳専任の男性の方って社会性に不安がある
ケースが多いのかなというのが私の独断と偏見です。
ま、弁理士も大概ではありますが。

なんというか、翻訳会社から回してもらうのが
一番安心なんでしょうかね。マージン大きいような気もしますけど。
そういえば派遣社員というのも圧倒的に女性ですよね。
「自分で取りに行く」というより「人から回してもらう」
という気質が比較的強いのでしょう。
ま、大方の男性会社員もそういう傾向はありますが。

自分みたいに「マージン抜かれるのは損」という考え方だから、
最終的には独立したんでしょうし、そこまでとは思わない方が
勤務弁理士として残るんでしょうね。そこは人それぞれです。

独立開業弁理士の売り上げと業務量の、見通しと整理

仕事量は容易に調整できるのではと以前は思っていましたが、
1人弁理士事務所の場合はやっぱり難しいなあと言うのを、
まあ予測はしていましたが実感しています。

もう今年も終盤戦にかかると、
今年の売り上げ見通しが見えてくるので、
仕事がこれから多少減ってもまあいいかとは思えてきますが、
年初の段階で仕事が減ると、今年はいよいよまずいかなと
不安になったりするのですね。
特に今年の4月なのですが、売上が去年を下回りそう、
という危惧が出てくると焦ってしまうのです。

もちろん十分な数字に到達した時点で
多少上下するのは問題ないのですが、
今の数字では基本毎年右肩上がりでないと、
一応暮らしてはいけますが、
事業会社の売り上げ数字としては安全地帯とは言えません。

すると、弱気になって、単価を弱めに設定したり、
あとはあまり積極的に取りに行かない仕事も
取りに行く形になったりします。
まあそのこと自体は駆け出し時期としては
ありがちな話ではありますよね。
まず目先の数字を確保したいと。

そしてそういうジタバタする時期を過ぎると、
突然依頼が集中してきたりするのですね。
そんな時に、先にうっかり受任した案件が
足を引っ張ったりするのです。

基本的に労働集約的な仕事ですので、
労働力の制約がある時期には業務の取捨選択が
必要になってきます。
一方で、同じ仕事をある時期は受ける、
ある時期は受けないとか、
受任費用が時価になってしまうのは良くありません。
まあ今回限り、イレギュラーで受ける、というのは
ありうるかもしれませんが。

要するに適切な価格設定と、受ける業務範囲の設定、
ということが必要なのですが、
自分のテリトリー外の仕事を安めの価格で
引き受けることで、トータルで不採算になることが
今までも起こってきました。

仕事がなかった時期は、そういうものも必要だったのですが、
段々専門分野的なものも決めていかなければなりません。
ただ自分は専門知識によって奉仕するというよりは、
何をしたらわからないような方に、整理して提案する、
というのが1つの方向性ですので、
どの辺を線引きポイントにするかは悩ましい部分があります。
自分のカラーはこうだ、というのを打ち出す時期に来ていますが、
そのスタンス的に外れる系統の仕事ではないな、
と思ったときに線引きが悩ましくなってきます。

一般的な経営者のようにエネルギッシュな人であれば、
気にせずどんどんやっていくのでしょうが、
自分はその点は貧弱なので、頑張るだけでは難しい
という局面を迎えています。

吉野家新宿百人町店(大久保)が閉店

本ブログのメインテーマとは外れていますが、
取り扱っているのがこの閉店情報。
他記事でも吉野家関連の閉店情報を取り上げましたが、
今回は、新宿西口を小滝橋通り沿いにずっと北に行った、
総武線大久保駅寄りの吉野家が、ふと見てみると
閉店になってしまいました。

西新宿駅よりの吉野家は鍋の取り扱いがないので、
鍋を食べたくなったら歌舞伎町まで行かないといけません。
ここの吉野家は結構長いことやっていたと思うのですが、
最近の飲食店の移り変わりはなんだか目まぐるしいです。

跡地には「肉あんかけチャーハン炒王」というのが入るようです。
あまり流行らなさげな匂いがプンプンします。

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あちこち美味しいお店ができて、そこで食事をする、
というのもそれはそれでもちろんよろしいのですが、
吉野家的なものもまたそれはそれで必要な訳なのです。
「何か食べようかな」と思いつつ、特に食べたいものが
ないときの消極的な選択肢。
そういう日本の心的なものも忘れてはなりません。