弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許事務所の独立開業前の準備期間をどうするか

弁理士として独立開業する際に一番大事なのは
集客ですが、実際のところ始めてみないとどれくらい
集客できるかなんてわかりません。
そこでまず営業活動から入るのですが、
独立前にできる営業活動とできない営業活動があります。

例えば士業交流会に出るなんてのもよく話される
話題ではあるのですが、独立前の段階で
あいさつ回りをしてもどことなく微妙な雰囲気にしか
なりません。あいさつ回り的なことはやっぱり開業して
からでないとなかなか手ごたえが出ないように思います。

一方でウェブサイトの構築などは在職中にも
かなり進めることができると思います。
業者に発注するにしても、文章書いたり、
デザインの方針を決めるなんてのは自分でやらないと
いけませんので、その辺は早めにやっておいた方がよい
ように思いました。あとは活動内容のロードマップですね。

こういう風に在職中にできることばかりではないものの、
できることはいくつかあります。
自分は資金消耗に耐えられない気がしたのと、
ある程度やってみてダメなら勤めに戻るというのが
ありましたので、まずは早めにやり尽くす必要があり、
そのためにすべてを前倒しにすべきと思っていました。

なので在職中及び独立直後はとにかく急ぐ、
という感覚があったのですが、最近になって、
独立予定または独立した人の話を聞いてみると、
その辺は独立してから進める人が結構いて、
考え方が少し違うなあということを思いました。

お金のことと、再就職の場合のことをまず考えると、
とにかく急げになると思いますが、背水の陣で臨む、
3年くらいは我慢する、くらいに腹をくくるとすると、
確かにそんなに急ぐ必要はなかった気もします。
売上が立ち始めるのが、急いで9ヶ月くらいのところを、
3ヶ月くらい遅くなったところで確かに
別にどうってことはないですよね。

その一方で売り上げが立たないまま過ぎる時間
というのはなかなかきつかったというのも事実です。
独立後5か月を回るくらいからが精神的に厳しいですね。
3ヶ月くらいだと、別にまだ売り上げなんて立たない
と思っていますし、もちろん0でもなかったので、
そういう意味では気楽ではありました。

なのでどっちがいいかというのも比べてみると
分からない面はあるのですが、在職中に前職の片づけを
そこまで必死にやる必要があるのかというと、
そこはちょっと疑問があるのです。
無責任はいかんと思いますが、もうやめる職場のこと
ですからね。「こんな感じでいいんじゃないの?」
くらいで淡々と引き継いで、自分の新しい環境のことを
何より優先すべきかと思います。
給料をもらっている大事な時間の間に、独立準備を
優先すべきではないかなあというのが持論です。

集客と売上の見通しが最初から立っていれば、
そんなあくせくしなくてもよいのですけどね。
こればっかりはやってみないとわかりません。
だから早く結果を求める活動になると思います。
なので、独立当初は事前準備がないとか考えられん、
と思っていましたが、今振り返ってみると、
その辺は正直よくわかりません。
のんびりする時間が取れずにここまで来てしまったので、
もうちょっとゆっくりやってよかったかもしれません。

まあ独立とか営業とか言っても、同じ弁理士業でも
そこはまあ人それぞれだなと思います。

平成29年度弁理士試験合格者255人の内訳

2017年度弁理士試験は、最終合格者数が255人、
というのは合格発表の通りなのですが、
去年あたりから最終合格者の内訳情報も同日発表となっています。

特許庁の公表データがこちらで、
http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h29_benrisi_kekka.htm

経済産業省がこちらになります。
http://www.meti.go.jp/press/2017/11/20171109003/20171109003.html

ま、掲載内容は同じです。

合格に関するデータを抜粋しますと、
(4)合格者数  255人(前年度 296人)
(5)合格率(最終合格者数/受験者数)  6.5%(前年度 7.0%)
(6)合格者平均受験回数  4.2回(前年度 4.4回)

年齢別
20代: 20.8%、30代: 46.7%、40代: 23.1%、50代: 8.2%、60代以上: 1.2%
 最年少20歳、最年長71歳
職業別
 会社員: 52.5%、特許事務所: 31.8%、無職: 6.7%、公務員: 2.7%、学生: 2.4%、
 自営業: 0.8%、法律事務所: 0.8%、その他: 2.4%
男女別
 男性: 72.9%、女性: 27.1%
出身校系統別
 理工系: 78.8%、法文系: 15.7%、その他: 5.5%
受験(免除)種別
短答受験者: 25.9%、短答試験免除者: 63.9%、筆記試験免除者: 8.2%、工業所有権法免除者:2.0%


女性が大幅に増えた割には文理比率はそんなに例年と変わっていないのですね。
受験者数及び合格者数の減少傾向は、あまり言及するまでもないでしょう。
詳細なデータは後日と思われます。
受験番号から詳細は割り出せますが、面倒なのでやりません。
合格率は一定で推移しているようなので、難易度自体の変動は収まって
いるのではないでしょうか。

最終合格者数は255人(平成29年度弁理士試験)

2017年度弁理士試験は、最終合格者数が255人となりました。
昨年の合格者数296人、一昨年の合格者数319人、
その前の385人から着々と減少しています。

細かくは計算していませんが、口述試験の合格率はかなり高い数字
のはずです。口述受験者数は254人ですから。

リンク先は以下の通りです。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h29_benrishi_goukaku.htm

ページをスクロールしてみると、数が減ったなあと言うのは感じます。
数年前は、上から下まで結構下げないと合格者数の表示に行かなかったですから。

応募者数の減少に合わせて、相応の数字になっていくのでしょう。
もともと合格者数はこんなもんでした。


なお、合格祝賀会と違って有料ですが、以下の集まりがありますので、
良かったらご参加ください。

第22回自称若手弁理士の会
http://patintl.hatenablog.com/entry/2017/11/02/182800

任期付職員(特許審査官補)の業務説明会

弁理士試験の最終合格発表を明日に控えて、
とりあえず今日は更新なしと思っていましたが、
こんな記事を見つけたので紹介することにしました。

任期付職員(特許審査官補)の業務説明会について
http://www.jpo.go.jp/shoukai/saiyou/ninki_shinsakanho_setsumei.htm


任期付き審査官と言うのは、ご存じ数年審査官を務めることで
弁理士資格がもらえるという制度。
そのための説明会をやっていたのですね。
もう大半の日程は終わってしまったのですが、
東京と大阪でもう1回ずつやるようです。

※予約不要ですので、直接会場へお越しください。

だそうです。自分ま行ってみようかなあとか
そういうことが脳裏をよぎりました。

個別説明会もあって、こちらは要予約ということだそうです。

今年の採用については、

特許庁任期付職員(特許審査官補)の採用について
http://www.jpo.go.jp/shoukai/saiyou/ninki_shinsakanho.htm

にて紹介されています。

6. 応募締切り  平成29年11月17日(金曜日)消印有効

弁理士が独立開業するとどんな感じなのか

自分の周りで、比較的最近独立しましたとか、
これから独立します、という話を受けるようになってきました。
そしてまあ自分ももう独立したてでもないのだなあと
思ったりしています。

ここのところのブログの話題はこれがそういえば多いな
と思ったりしますが、ここのところずっとただ案件をやって
関連して発生する雑務をこなしつつ、
休みのときは体を休めるだけの日々なので、
業界事情から疎くなってきている感じがしています。
先日も他の弁理士と飲んでいて、最近どうよ的な
話を聞いていると、業界事情もなんかいろいろ様変わりで
自分の認識と違ってきているというのを思います。
そんな中、独立開業に関する話は比較的最新の情報
なのかもしれないので、そういう話を続けてみます。

ここ3年間を振り返って、繰り返しになりますけど、
何がきついというと、最初の1年の売り上げが立たない
時期をどうこなすかの部分になります。
貯蓄が減っていくのは精神的にも厳しいのですよね。
かといって楽もできるわけではなく、自分はいったい何を
やっているのかという気持ちになります。
別に貯蓄はしているのだから使えばいい話なのですが、
実際は気分的に使えないですね。
変に節約をして心も貧しくなっていきます。

そこをしのぐと逆に最初の一年よりも売り上げが下がった、
という話も聞いたことはないので、
翌年からは対前年比では増えていくはずです。
最初の1年の数字で、行けるかもとか
そういう判断になるのかなと思われます。

あとまあ中長期的には特許明細書を書く仕事の比重が
高くなっていきます。なんだかんだで依頼を受けやすいのが
特許出願の仕事です。ですので、書けないとなると
受任量の伸びが全然違ってくることになります。

あとこれも繰り返しになりますけど、受任可能業務の
バリエーションが多い方が売上への寄与は当然大きくなります。
ニッチな仕事は受け手も限られますので、
依頼人も発注先を見つけることが難しいです。
そういうのに巡り合える可能性が高いので、
勤務弁理士時代に引き出しは多くした方がよいでしょう。
「やったことがある」という程度で全然違います。

・・・大体独立絡みで雑談するとこういう話になります。
で、成功してよかったねという話になることもありますが、
こういうのって成功なのかというと謎です。
前に弁理士としての成功について絡まれたことがあったなあと
思い出しますが、何を成功というのか全く分かりません。
一番つらい時期は脱したかもしれませんが、楽にならないんですよね。
・・・仕上がった感じになれば成功者かもしれないですね。
だとすると道のりはまだまだ先です。

つまりまあ独立してよかったかというと、
前にも書きましたが考えてもよくわかりません。
ただ、ほかの選択肢が果たして自分にとって魅力的で
あったかというと、それも悩ましい部分です。
年齢的にも転職回数的にも引く手あまたという
訳でもなかったわけですので。

言えるのは、年数を重ねるごとに後戻りできないな、
という状況が進んで行っているということです。
独立したての頃は、ダメだったら畳んで転職すればいい、
くらいの気持ちがありましたけど、もう厳しいです。
手仕舞い関係が面倒なんですよね。

まあ一難去ってまた一難という日々なのですが、
独立している他の人の話を総合しても、
頑張れば一応は何とかなっている感じは
受けますので、やってみようという方は応援します。