弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

独立したら確定申告はどうするのか

さて自分は確定申告の用意をしています。

会計ソフトを、最新版を待って買ったこともあり、
それまで入力などを全くしていませんでした。
ここ数年直前土壇場でやって大体終わっていたので、
今年もそんなんだろうと甘く見ていたら、
2月になってしまいました。
去年まではなんだかんだ言って1月中には終わってました。

独立開業したら確定申告は税理士に出すのか、
というのは結構悩ましい問題があります。
自分は最初は資金余力がないのもあり、
自分でやることにしました。
法人の方は法人税について勉強していられない
ので、税理士の方にお任せしておりますが、
弁理士業務の方は今年も自分でやっております。

外国業務は海外送金の取り扱いなどがややこしいのもあり、
やっぱりこちらから処理の仕方を説明する必要があります。
ということからも、お任せすればそれでOKと言う感じ
ではなさそうです。ある程度自分でまとめる負担は生じます。

あとまあ自分でやらないと見えてこないものもありますので、
例年のことなのだから、今年もやるという流れです。
一度やればやり方は毎年同じなので。

今年は引っ越しを挟んでしまったことで、いろんなことが
ずれこんでしまいました。遅くなってしまった仕事も
あります。確定申告についても、個別の作業は人に振ったり
していますが、全体の数字や、処理の判断などは結局
じぶんになります。そこがずれこんでしまったことで、
こんな時期にまだ終わっていない状態です。

引越したらこういうことをしよう、
というのはいろいろ模索しているのですが、
この辺のたまった仕事が片付いてからにしないとな、
という状態です。

商標登録の料金2万円以下はなぜトラブルが多いのか

断定的に書いてしまいましたが、あくまで仮定の話です。
特にどこの事務所がどうこうという話はありません。
まあ少なくともひと頃は弁理士会の一部でも目の敵に
されていた面もありますが、まあ当人たちにも
ある程度問題はあるというか、その辺あのアディーレが
処分されたときに、当業界で真っ先に似てるなと思うのが
この辺の商標登録周りになりますよね。

商標登録の料金自体は、かつての弁理士会が提示していた
料金表よりも大きく価格相場は下がっていますが、
それはある程度仕方ないことです。
一番簡単な業務ということで価格競争が働きやすく、
そして、IT技術の進展により、願書の作成や
調査周りの低コスト化が一番進んだ領域でもあります。
昔と比べても効率的にこなせるようになったので、
当然低価格化は進むでしょう。
この辺、会計ソフトや法人登記なんかと事情が近い
かもしれません。

そこで、手軽にこなせるからたくさん受任したい、
ということで仁義なき戦いが、弁理士業務の中で
一番激しく進んでいる業務分野でもあります。
その結果、弁理士としての品位を低下させる面が、
ネット検索をするとうかがえるものが見られます。

商標登録の出願申請業務をとりまく状況は
以上の通りですが、トラブルが多いのはなぜか
というと、2万円では商標登録できないからです。

ではなぜ1万円未満ですよとか、1万何千円ですよ、
という広告が乱発されているかと言うと、
そこに含まれていない料金が別途請求されるからです。

まあこのブログは主に弁理士が見るので
こんなこと書くのは多少微妙ではありますが、
一番安くしても、1区分5年として、
出願時12000円、登録時16400円かかります。
2万円以下ではできません。
要するに印紙代は別ということです。

まあ代理人手数料が2万円以下ですよ、なら
まあ説明不足ではありますが、
一応考えられなくはありません。が、
どうも格安業者を見ていると、出願時の代理人費用だけ
で価格を前面に押し出しているようなのですね。

お客様は全部でいくらかを気にされています。
印紙代別なだけでもわかりにくいのに、
登録時手数料は見せないと言うのは、
もうトラブル上等と考えているのは間違いありません。

成功報酬型と言うなら、それはそれであり得ますが、
設定登録費用にウェイトをかけておいて、
出願時のそれも代理人費用のみを前面に出して
安さを強調するのは、意識的に誤認させている
印象を強く受けます。
そうなってくると、もう代理人の意識がそうである
ということですので、トラブルは避けられません。

まあお客様の多くは価格の内訳をみてから判断される
ことが多いようなので、大勢に影響はない気も
しなくはないのですが、自分としては、
説明不足による不満が来るのが嫌なわけです。
できるだけ最初に全部説明するようにはしていますが、
それでも説明が抜けたり、誤解されることは
少なくありません。
弊所の場合、知財業務になじみがないお客様が多いからです。

説明責任を果たすように努めてもそれなのですから、
意識的に誤認させていたらどうなるかなんて明らかでしょう。

まあ価格下げるのは勝手にすればと思いますが、
競争はクリーンにやってほしいなあと
ネットで検索するたびに思ったりします。

どこの特許事務所がホワイトで、どこがブラックか

特許事務所の就職・転職を考えるときに一番悩ましいのが、
どこに入ればブラックを回避できるか問題なのですが、
実際のところそこを判別するのは至難の業です。

通常の就職活動の場合は単にみんなが知っている大手に
応募すると思います。それは、通常は元請け下請けの
構造など、企業取引上優位な立場に立っている会社に
就職した方が色々と有利だからです。

商社とか、広告代理店とか、テレビ局とか、
そういうのが就職先として昔も今も人気です。
もちろん優秀な人材がそこにいるという面も
あると思いますが、取引上きわめて優位な立場にあり、
従業員数に対して非常に儲かっており、
従って、利益の各種分配において優位な立場に
あるという傾向が推定されます。

同じ業界内で就職するときも、大手の方が
有利な取引条件を確保している会社が比較的多いです。
ですので大手が良いという判断になりがちです。
もっとも比較的小規模でありながら、
業界内で優位に立っている会社もあります。
そういう穴場的就職というのも昔からあります。
ただまあ分かんなかったらとりあえず大手です。
自分もその辺よく分からないでとりあえず
新卒のときは大企業に就職しました。

さて特許事務所の場合はそれが単純に当てはまるか、
というと非常に難しいのですね。
超大規模特許事務所というのは、大規模発注を
受注できる規模であると同時にそこに依存しています。
そういう案件は得てして薄利多売です。

じゃあ小さい特許事務所なら良いかと言っても、
その薄利多売を零細で受けるという
悲惨なケースもあります。
また取引条件で有利でないケースも少なくないでしょう。

ですので、個別具体的に伝手をたどっていく
というのが一番手堅い感じはします。
ただ、ホワイト特許事務所も未来永劫ホワイトである、
かというとどうやらそうでもないようなのです。

私が10年以上前の時点でホワイトであろうという
認識をしていた特許事務所はいずれも大変なことに
なってしまっていました。
ずっとホワイトなら良いのですが、そうもいかない様です。

じゃあブラックはそのうちホワイトになるかというと、
そうでもないようです。まあ存続しているとこだと、
前よりはましらしいよと言われるようにはなっていきます。
ですが、昔はブラックだったのに今はホワイト、
なんて話を聞いたことはありません。

全般的に業界内の待遇が平準化されるようになって
来ているような気はします。
極端なブラックと極端なホワイトの話を
聞かなくなりました。
あそこはブラックだろうと聞いても、
得てしてその噂を否定する人が誰かしら出ます。
人によって相性が出てくるのは避けられません。

企業選択の場合、そこの将来性も重要ですが、
特許事務所の場合はそこもまた一筋縄ではありません。
会社に将来性があって、どんどん事業拡大している場合、
新しいポストができるので、長くいることが
有利に働くこともあります。

ただ特許事務所に将来性があっても、
特にスタッフにメリットなどないのですよね。
マンパワーに依存する仕事ですので、
会社の成長が個人に利益配分されないのです。
やった分だけの給料が出るだけです。
逆に、特許事務所が傾いても転職すればよいだけです。

右肩上がりの特許事務所は得てしてスタッフに無理を
させますが、その利益配分をそのスタッフが受ける
ことができるかというと、そんなことなさそうです。
景気は良さそうでも自分はただきついだけとかあります。
逆に、停滞気味の特許事務所というのは、
中で無理をしない結果としての停滞だったりします。
所長の人柄が良ければ、まったりしてそこそこの
待遇を得るということもあったりします。
そこでじっくり自力を蓄えて、いよいよ傾いたときに
脱出したってよいのです。

イケイケの職場でガンガン働いたから経験豊富、
なんてことも正直疑問です。
経験というものは、自分なりの考えをもって
試行錯誤によって積み重ねていくものなので、
量が積まれることで逆に経験は増えない、
なんてのも逆説的にありそうです。
いろんな経験をしても、それが深みにならない
こともあります。何をもって経験かなんてわかりません。

そうやっていくと、何が良いかというのも分かりませんので、
やっぱりいろんな人のいろんな話を聞くのが良さそうです。
自分はというと、もう転職というのが遠い過去の話
になりましたので、そういう情報からは
徐々に疎くなってきました。

業界を良くしたい、などと口先だけの経営者弁理士
数多くみられますが、やっぱりまずは業界一の
ホワイト特許事務所を作ってから言うべきことですね。
突出したホワイトの噂をいまいち聞かないような気がします。

自分もまあそうなれるように、まずは零細脱出です。
自分も頑張ります。

人は他人のお金の話が大好き

独立してからというもの、自分のお金について根掘り葉掘り
されることが増えました。勤めの時はあんまり
そんなこと話題に挙がることもなかったので、
正直面倒だなと思うことが多いです。

「どれくらい儲かってますか?」とか
「売り上げはどのくらいですか?」とか、
最近だと移転に伴って、皆さん本当に人の事務所の家賃を
知りたがります。またはこういう場所に移ったことで、
「儲かってるんですね」とか、そういう感じです。

別に自分は与沢翼のように羽振りのよさを見せびらかしている
ことはなく、まあ勤め時代と同じくらいの感じで
やっているつもりなのですが、皆さん人のお金のことが
非常に気になるようです。

自分はまあお金が好きですかと言われれば、
正直大好きですが、それは自分が得るお金の話であって、
人のお金のことには、そこまで関心はないのですね。
これから独立しようという方が、これからどうなるのか
という意味で興味を惹かれるなら分からなくはないですが、
案外そういう方から質問はありません。

人の稼ぎを嗅ぎまわるのは品がないと言われて
育ったつもりなので、ああ世の中ってそんなもん
なんだなと最近そんなことを思いつつあります。
最初は普通に答えたりしていましたが、
最近はできるだけはぐらかすようにしています。

多分自分が人と違うのは、人と自分を比べてどうこう、
ということを人一倍やらないということだと思います。
自分は人と比べないので、人の稼ぎに興味がないのでしょう。
もちろん自分は今後どのくらい稼ぐ、という指針としては
同じ独立した人の稼ぎはある程度興味があります。
逆に、勤めの方の年収にはそこまで興味はないかもしれません。
まあ数字の目安が見えないから好奇心が惹かれるのでしょう。

何はともあれ、人は人の懐具合に興味津々なのだなあ
ということを、独立してから実感しています。
そういう質問をされたら、正直面倒だなあと思っています。
そういうことを聞く人ばっかりなので。

弁理士の独立開業を1人で始めるか2人で始めるか

自分は特許事務所を1人から開業しましたが、
2人から始めるという話も意外と多いです。
さて、そのどちらがよいのか、というのは
結構悩ましい部分ではあります。

ちなみにもめる、うまくいかないという確率は
どうも2人で始めたときの方が高そうです。
月並みですが、やはり方針や分配でもめる、
というのが良く聞く話です。
なるほどなあと思ったのが、2人でやって
ようやく1人分の仕事量になったときです。
はじめて1年くらいたって、一番苦しく
なったときに正念場を迎えるそうです。

じゃあ1人でやったほうが良いか、というのが
あるのですが、1人でやっていくと、
どこかで人を増やしたい状況が出てきます。
そこで自分のカラーが出すぎてしまうので、
後からの合流が最初から一緒に、という場合
に比べて色々と難しくなってくる面があります。

多分1番いいのが、最初の1年を1人でやって、
それからもう1人合流という形です。
ただこの場合、どう合流するのか、という点で
シナリオ的に難しい面があります。

やっぱり前から自分でやっている側が、主導権を
取りたい、というのはどうしても出てきます。
後から合流した側は雇われ的な部分が出てきます。
だとすると、そんな零細に雇われてどうするんだ、
ということですので、折り合いが難しいです。

一緒にやろうぜと言ってくれる人もいたり
しますが、すでに走っていますので、
どんな人材が欲しいかは既に具体化しています。
そこから外れていても…というのが悩ましいです。

例えば某同期合格で興味を示しているという人が
いますが、化学系なのです。
うちは化学の仕事はほぼなく、来ても他の弁理士
紹介しています。一緒にやるために方向性を
変えるのも、何か違う気もします。
あとは、明細書作成の経験が浅い人です。
こちらでは指導することができません。
あと任せる。売上は自分でとっていいよ、
という形にしたいのです。そういう人と折り合いを
つけるにはどうしたらよいのかです。

良くどこかの組織を見たときに、ナンバーワンより
ナンバーツーの方が優秀に見える、というのがあります。
それは今となると合理的だよなと思えます。
利益分配を適正に線引きするというのは難しいです。
やっぱり単純に折半というのが一番わかりやすく、
かつお互いに納得しやすいです。

既に独立して走らせているときに、利益を完全に折半
してまで入ってきてほしいのはどんな人か?
となると、もう当然自分より優秀な人です。
必然的にそうなります。
後から入る側も、立ち上げ時のリスクを消せるので、
そこから乗っていくのはwin-winに思えます。

一番微妙なのが、自分と同じくらいの能力の人です。
もちろんそういう人が入って来れば、いろんな仕事を
任せて楽はできるのですが、そのときにどう分配するか。
対等ではなく、かつ納得感のある分配というのは
なかなか難しそうです。
よくありがちなのが、やりがい搾取的に将来の展望を
見せて引っ張り込む形ですが、やはり後々揉めます。

そういう青写真を考えていくと、やっぱり早い段階から
2人で、というのは、最初を乗り越えればそこから
軌道に乗りやすい面が出てきます。
自分は1人なので頭打ち感が否めません。
急成長されている方は、強力なパートナーを
早い段階で確保しているなあと思います。

まあ自分は1人で始めたので、場所も移りましたし、
ここで将来的な展望を見据えていくことになります。
1人と2人は、そういう意味でいろいろ違うよという話です。