弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

ブラック特許事務所とは上司が不機嫌な職場のこと

特許事務所とは通常は転職により働き始める場所なので、
そこがホワイトなのかブラックなのかというのは、
被雇用者にとっては非常に重要な問題であると思われます。

自分はそこの判定は、年収うんぬんよりもまず、
所員の定着率の高さで判断すべきであると考えました。
それは最も有力な基準であると思うのですが、
そもそもブラック特許事務所とはどういうものなのか。

ブラック特許事務所とは上司が不機嫌な職場のこと
要するにこういうことなんじゃないかと最近は思っています。

まあ上司が不機嫌な職場というのはどの業界でも
つらいものですが、特許事務所については、そこは結構
問題として大きくなりやすい側面があります。

最近知った言葉としてワーキングメモリと言うものがあります。
検索すれば分かりますが、一度に把握可能な情報の量
と言った話のようです。そして特許事務所と言うのは
純粋に頭脳労働です。手とか動かさないとは言いませんが、
基本的に頭を動かし続けることで、その対価を得る職業です。

上司が不機嫌な職場の何が問題かと言うと、
常に怒っている人が周りにいる状況と言うのは、
頭脳労働では、業務の生産性が落ちるのですね。
怒っている人に気を遣うことにワーキングメモリが
占拠されてしまうようなのです。
そういう特許事務所ありますよね。

厳しいことを言って叱咤激励するのが上司の務めと
考えるバカは未だ年寄り世代には残っていますが、
そういう特許事務所は、知る限り順調に衰退していっています。

職業によっては発破をかけることが有効なものも
一部にはあるかもしれません。
ただ、特許事務所の場合は、大体組織が小さいですので、
上司・所長が常に身近に座っています。
そこで不機嫌でいられるとワーキングメモリが占拠されて、
労働生産性ががたっと落ちると思うのです。

要するに居づらいだけでなく、業務効率も悪く、
その結果売り上げが上がらないから収入も低い、
という構造になる訳ですね。
これがブラック特許事務所の本質的な構造です。

だからまあ、所属長が怒りっぽそうかどうかが
職場を選択する上で結構大きい基準になるような気がします。
職場から怒鳴り声が聞こえたら、もう辞表を書き始めても
良いのではないでしょうか。その職場はもう長くはないでしょう。

商標登録件数は上田育弘氏が4件でベストライセンスが2件

上田育弘・ベストライセンス株式会社絡みでの検索件数が
ここにきて急増しました。多分六花亭製菓株式会社の件の
連想でそうなったのだなと思い至りましたが、
これからもちょくちょくそんなアクセスが集まりそうなので、
この際改めて話を書いてみます。

先に出願する=先に商標権を確保された、
と言う風にどうしても理解されがちなのですが、
出願したからと言ってただちに商標登録になるのではなく、
半年程度の審査期間を経たのちに、設定登録料を払って、
そこで初めて商標登録になります。

最小料金単位である1区分で商標権を発生させようとすると、
出願のときに12000円、登録のときに16400円(5年)
が最低限必要になります。このお金を払わないと
商標権は発生しないのです。

上田育弘・ベストライセンス株式会社は、9割以上の出願については
びた一文払わずに、膨大な商標登録出願を繰り返しているので、
ほとんどは当然のことながら商標登録になっていません。
とは言っても実際に権利になっているものも
なくはないであろうと思い、特許庁jplatpatに
検索して調べてみました。

その結果が表題の通りで、
商標権者上田育弘で、なんとわずか4件。

1  登録5519241 Anytime,Anyone,Anywhere 41 上田 育弘
2  登録5533680 紙・電子ハイブリッド 41 上田 育弘
3  登録5550141 PAPER-ELECTRON・HYBRID 41 上田 育弘
4  登録5610323 Best Friend 41 45

そしてベストライセンス株式会社ではわずかに2件です。

1  登録5730449 SMART 04 ベストライセンス株式会社
2  登録5730450 WEARABLE 12 39 ベストライセンス株式会社


検索結果は、出願中のものも含むので、当然のことながら
これよりかなりおおくなるのですが、思ったより少ないです。
係属しなくなった出願はデータベースから随時検索されない
ようになっていますので、増える一方で減って、となっています。
しかしながら、これだけ騒ぎを起こしておきながら、
実際に料金を払って登録にしたのはわずかにこれだけなのです。

それにしても、上記商標を登録しようと選択したのは
何がきっかけなんでしょうね。謎は深まるばかりです。

弊所も本来は人材採用が必要な時期

特許事務所開設してからはまず1人分の仕事確保が目標でした。
次に特許事務スタッフをパートタイムで採用することを目標と
していたところ、無事に採用でき、最初は渡す仕事が
足りなかったのですが、今では随時あれやってこれやって、
という状況になりました。

となると次はやっぱり技術スタッフなんだよなあと
いうことになります。独立前は知り合いに声をかけて、
一緒にやろうというつもりだったのですが、
どうもうまくいかず、普通に求人を出さなければ
なりません。しかし、どういう人を対象とするか、
というのはなかなか難しい問題があります。

基本的に人を育てるというのは難しいのが1つ。
フルタイムで雇うほどの仕事量も売り上げもないのも1つ。
あとはやることが多岐にわたり過ぎて、全般について
経験がある人ってのは少ないだろうなあと思える点です。

一番仕事があふれがちなのは特許出願業務なのですが、
これもない月があるのです。というのは勤務していると
思いもかけないことだと思いますが、商標ばっかりやっている
月とか、外国ばっかりやっている月とかがあります。
そんな時に明細書専業スタッフを採用した場合、
何をしてもらうか問題が発生します。
外注でやってもらおうというのは一番都合がよいのですが、
外注できちんとかける人ってのはほとんどいないですね。
伸びしろがありそうな人は結局すぐに手がふさがります。

今後の展開をいろいろ考えたりするのですが、
結局時間がないということに収れんしてくるので、
仕事の割り振り先を確保しなくてはならないのですが、
なかなか手立てが見つからず、堂々巡りになっています。
思い切ってフルタイムで採用してしまうのも
1つの選択肢ではありますがいかがしたものか。

知的財産とコミュニケーション戦略の時代

近年コンテンツの取り扱われ方が大きく変わり始めてきています。
デジタルコンテンツは、コピーされやすい性質があり、
違法コピーとの戦いに歴史があります。
ゲームソフトなんて、ファミコン登場以前からコピーの問題は
ありましたし、ファミコン自体も違法コピーを想定して、
ROMカセットに執着したという経緯があります。

次に上がるのが音楽CDです。昔はCDではなくアナログレコードであり、
そしてカセットテープが売られていました。
これらのアナログ音源から録音することによりコピーをする
ことが多かったのですが、音質が劣化するというのが
原版を買う動機となっていました。

アナログデータがデジタルデータに移行する過程で、
違法コピーも、それに伴って容易になってきました。
それも当然で、コピーを量産しやすい媒体として
CDが登場したのですから、違法コピーも当然容易になります。

媒体に定着している限りにおいては、まだコピーがされても
利益をプールすることはできましたが、デジタルにて取引
される時代では、妨げることが益々困難になってきます。

そして、漫画村というものが近年問題となってきていて、
今まで違法コピー問題が無縁だった出版業界にも
その波が到達するようになってきました。

違法コピーが氾濫することにより、原版の販売者が損失を
被る、というのは、特に知的財産を取り扱う弁理士にとっては
容易に理解可能な理屈であるだけでなく、
共に戦っていかなくてはならない問題ではあります。
しかしその一方で、知的財産権の行使だけでどこまで妨げられるか、
というとそこにも限界があることも業界人にとっては
周知のことであると思います。

こうやって違法コピーが氾濫する時代に、一体何が生き残っているのか、
というのは興味深い点があります。

私も所属していたゲーム業界は、いち早くネットワーク対応が進みました。
2000年以前からオンラインゲームというのは登場しており、
その後のブームにより、オンラインゲームが大きな収益源となっていました。
更に今、スマホでゲームをするのが一般的になっています。
プラットフォームの管理による、違法コピーの排除を第一の線としながら、
ネットワーク接続を介して、正規品のみアクセスおよびダウンロード可能、
という環境により、違法コピー品の入ってくる余地をなくしています。

音楽業界はと言うと、未だ混乱のさなかにいるようです。
JASRACの迷走は、レコード会社等にとっての利益確保の困難性も
背景にあるような気がします。
オリコンチャート上位は、ジャニーズAKB系が占拠して久しいです。
これは裏を返すと、ファンとアイドルの間の親密性により売り上げが
確保されているということである、音楽商品そのものに魅力があるものは
むしろ違法コピーにより排除され、アイドルへのロイヤルティー
として購入される商品が勝ってきている傾向にあります。

両者に共通することは、販売元と消費者の関係性が、
売り上げ確保の鍵になってきていることを意味します。

最近問題となっている漫画村の問題についてそれを当てはめると、
単に漫画そのものの面白さを追求する以上に、ファンとの関係性を
重視することで伸びてきている漫画の作家も出てきています。
ツイッターでつながる例もありますし、コミケなどで、
もう十分プロと言えるほどの売り上げを確保している人も多いようです。

プラットフォームが強くならないと、完成度の高いコンテンツの制作は
安心してできないですし、その点で戦略的なコミュニケーションが
何より重要な時代になってきたというように思います。

本当は別の話を書こうとしたのですが、
前提の話をまとめただけで長くなってしまいました。
まあ今はそういう時代背景です。

ネットで見て変わっている人は会ってみると案外普通

多分、自分に対してもそう思われてたりするのかも、
と思ったりもしますが、ネットで何かしら変わった
印象の人って大体会うと普通、のことが多いですよね。

それも考えるとある意味当然で、対面で会うときには、
自分は安全ですよと言うか安心感のようなものを
与えるように無意識にふるまいますが、
ウェブ上の情報は個性とか独自性を先鋭化させます。
その辺が会ったときにギャップを引き起こすのだと思います。

日常で会う人に、自分は人とは違うアピールとか
されても面倒なだけだし、わざわざそんなことはしません。
もちろんそういう局面もなくはないのですが、
会って5分で伝わるほどに個性的にふるまうのは
日常生活の上で害しかないでしょう。

それがインターネット上になると180度変わります。
独自性がないと自分のところにたどり着きません。
もちろんファイスブックとかの対面ベースのSNSだと
そんな必要もないですが、不特定多数に自分を知らしめよう、
となると、突然に自分の個性的アピールが必要になります。

個性的アピールとか言っても、突然被り物をしてみたり、
というような突然感あふれるアピールをしても仕方ありません。
基本的に自分の中にあるもので、人にはないものを
露出していくことになります。そこに困難性がありますね。

その辺を意識して自己露出を始めると、最初は多少
とげとげしくなります。このブログも最初はそんな感じでした。
今もあれはちょっととクレームがついたりしますが、
それは匿名の頃に書いていた初期の記事です。
最近すっかり丸くなったねと言われますが、
それは性格が丸くなったというよりは表現技法が
こなれたというのが近いのではと思います。

個性的にふるまうのは、世間に背を向ける要素が多少あるのですが、
何でもかんでも世間に背を向ける必要もないわけです。
その辺の折り合いがついてくるのですね。

SNSとかブログとか、ネット界隈でなんだこいつは、
と思われるような人にもそんな背景があることが多いです。
とりあえず評価を保留にしておくうちに、
なんとなくこなれた雰囲気になる人も多いです。
インターネット界隈は何かとかっかする事例も多いですので、
そんな風にやり過ごしていった方が得策かなあと思います。