新宿西口国際特許事務所の弁理士うめざわブログ

新宿西口で特許出願・商標登録を代理する弁理士による、特許事務所業界と弁理士試験のブログ

civil lawとcommon law、そして特許審査

タイトルが非常に地味になってしまうので、「日米法制度比較」とか
「審査方針の決まり方」みたいなものが若干脳裏をよぎりましたが、
あまりに大風呂敷になるので、この辺にしました。

civil lawとかcommon lawとか言っても、こっちは弁護士さんではないので、
特許実務に関わる部分での話です。法律の大きなくくりの話は
偉そうに出来てしまうほどの知識は正直ありません。

コモンローといってまず問題になるのはどうしても米国法です。
その他のコモンローの国の法律が特段取り上げられることは少ないと思います。
一方日本はシビルローの分類に入ります。
シビルローでは法典を重視して、法解釈を中心に個別案件を扱います。
コモンローでは判例の積み重ねが重視されます。
もちろん日本だって判決を下すのに判例には拘束されますし、
米国だって法文そのものが何の意味もないなんてことはありません。
どちらがその骨格になるかという話です。
この辺観念的に掘り下げても門外漢にはますます分かりづらくなるので、
審査基準の決まり方から見ていくとはっきりすると思います。

日本の審査基準は特許庁が各方面の意見を取りまとめて作ります。
その際に重視されるのは法解釈で、条文解釈に沿って審査方針が決まります。
日本の場合、そうやって見てみると、行政>立法>司法という感じがしますね。
三権分立と言っても厳格に対等というわけではないように思います。

で、米国なのですが、審査基準(MPEP)は判決を受けて決まっていく感じです。
行政が自分で方針を決めていくのではなく、訴訟があって判決が下り、
判例が出来上がります。これはもう法律のようなものなので、
これに沿ってMPEPやら内部の審査方針の決めていくように思います。
だから判例があれこれ揺れると、審査方針も揺れます。
その結果、今年の拒絶理由と去年の拒絶理由は、打たれ方の根拠が
かなり違うような感じになるのです。司法が何より先行することから、
司法>立法>行政という感じがしますね。

だいぶ前に、継続出願に関する規則の変更をUSPTOが発表し、
現場では色々混乱したことがありました。
アメリカのすごいところは、これに対して訴訟が提起されるところです。
そしてUSPTOは訴訟に負けてしまいました。
その結果規則の変更は凍結し、執行されていません。
日本では考えられないことです。

それでといってはなんですが、米国では判事は日本よりも権力者です。
そして最高裁の判事は永久雇用です。この永久というのは息絶えるまでです。
そしてほぼ罷免することは出来ません。いかなるろうぜきも取り締まることは
出来ないのです。このことについては過去に事件もあったようです。
日本では飯村判事は退官しましたし、権力者という感じはそうないですね。
どっちかというと事務次官が権力者というとしっくりくるでしょう。
この辺に三権分立の偏りが日米で異なるところがありますね。

つまり、この辺に米国で判例が日本よりも重視されている理由があるのです。
日本でも重要判例は押さえますが、そこまで判例判例という感じはしません。
けど、米国では判例1つで大きく業界が揺れます。
KSR事件以降、非自明性の判断基準は大きく変わりましたね。
時系列で反論のロジックが変化するのは正直厳しかったです。

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