弁理士うめざわブログ

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なぜ弁理士試験合格者数を絞り、口述試験の合格率を抑えたのかの考察

結局弁理士試験3次試験の口述試験の合格率の数字がいまいち出せずにいます。
受験者485人、最終合格者数が385人ですが、口述試験免除者の数を差し引いて
計算しなければなりません。55人という書き込みをどこかで見かけたのですが、
合格発表の受験番号から見ると22人くらい?と読めなくもなく、
どこかから数字が出てくるのを待つばかりです。

ただいずれにしても合格率は7割程度という数字が見えてきます。
異常と言われた一昨年以前の口述試験の合格率の数字が戻ってきました。
去年どこかで記事に書いたかもしれませんが、この数字というのは
受験生を実力で選別した結果出てくる数字ではありません。

口述模試の試験官をやればわかりますが、
そんなに受験生の間で出来に差が出るわけではないんですね。
出来る問題はみんな出来るし、出来ない問題はみんな出来ない。
そして受験生の知識レベルを問うような問題は案外口述では出ない。
ましてや試験当日はそれなりに万全の状態で臨んできます。
基本的にまさかということはないんです。
それなのに全然な人が受かったり、万全な人が落ちたりします。
そういう事態を去年の口述では聞かなかったんですが、
今年は死屍累々の状況が再び起こったという話を聞いています。

私としては、3回の試験のうちでもっとも恣意的な試験である、
という認識を強く持っており、そういう話を去年長々とまとめました。
そういう恣意的な状況を今年あえて復活させた
事情があるのだなと思っています。
口述試験というのは問題のある試験制度である、というのは
弁理士に対する意見募集でも大量に出てきた意見であって、
何だかんだ言いながらあるべき姿に戻したかと思ったんですけどね。

合格者数を絞った理由については、10000人に到達したから
というのは確かにそこは目安であって一応約束でもあり、
そこは一理あるとはいえますが、合格者のレベルを一定の水準に
保つために必要であるとかそういう弁理士側の意見が反映された
とは私は全く思っていません。

特許庁側は合格者のレベルなんて興味ないんですよ。
多く合格者数を出したければ合格者数を増やすし、
減らしたければ減らすだけです。年度別の難易度の変動を見る限り、
そういうことに特許庁側が関心を持っているようには到底思えません。
弁理士の水準とか興味あるのは弁理士だけで、
彼らは頭数さえ揃うなら犬猫にでも資格を与えてしまえとでも
思っているに違いありません。

それではなぜ今急に合格者数を減らそうと思ったか?
どうしてそんな必要性が急に生じたか?
憶測ですが、おそらくこれだろうなと。

特許庁 任期付職員(特許審査官補、特許審査官)の採用について
http://www.jpo.go.jp/shoukai/saiyou/ninkitsuki_gaiyou.htm

ああなるほどと思った人も多いのではないでしょうか。
任期つき審査官の採用再開です。
任期つき審査官になぜなるか?それはもちろん弁理士資格をもらうためですね。
5年で短答試験により、7年で無試験で資格取得となります。
任期つき審査官には、それが狙いで応募するのです。

なのに肝心の弁理士試験が簡単だったら、応募する人いないじゃないですか。
弁理士資格は欲しいのに、試験突破は大変、にしなければなりません。

しかしそれにしても急展開だねという疑問もあるかもしれませんが、
権限を持つ人のやることというのは常に思い付きです。
突然審査官が足りないことに気づいて、突然任期つき審査官が必要になって、
それで突然弁理士試験の難易度を調整するのです。
こういう突発的行動は皆さんの職場の上司で散々見てきていることでしょう。

口述試験の難易度を急に上げたのもこれに合わせての行動かなあと思っています。
理不尽な試験に写れば写るほど、受験生は任期つきに流れるのです。
彼らの関心は、透明性と実力による高度な選抜ではなく、
以下に理不尽な状況を作り出すかだと思っています。
理由なんて後付でいくらでも出来ますから。
著作権がなくなるのもその辺を受けての流れかなあと思います。

書きながらこれが極論であれば良いなと思っているのですが、
世の流れはいつも急で振り回される側は大変です。