弁理士うめざわブログ

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TPP、偽ブランド品対策で商標法改正へ

TPPで知的財産と言うと、著作権法と医薬特許の存続期間延長くらいで、
あまりこちらに関係するような話は少ないかなあという印象を
持つ人も多かったのではないかと思います。少なくとも自分はそうでした。

そしたら、ヤフートピックスで表題のタイトルが出てきました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151015-00050159-yom-bus_all

「環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、政府は15日、
偽ブランド品の製造・販売など商標権の侵害行為に対し、民事訴訟の損害賠償額を
引き上げる制度を導入するため、商標法を改正する方針を固めた。

・・・

現在の日本の商標法は、国内で見つかった商標権の侵害行為を対象に、
実際の損害額を推計して賠償額を算出している。
裁判の過程で、偽ブランド品の流通実態を解明して被害額を推計できないと、
賠償額が大幅に引き下げられてしまう恐れがある。」


商標権侵害に対しては、差止請求権と損害賠償請求権が中心となりますが、
実際の損害の額を導出する過程で、算出額が非常に小さくなってしまう
という話はよくでてきます。
なので、商標権の効果についてお客さんに説明するときにも、
商標権の効果は、他者に使用をやめさせる(差止)が主で、
損害賠償は大して取れないし費用倒れという説明をしています。

その辺をどう改正するのかはいまだ未知数ですが、TPPの合意事項となった
ということは、またしても新たな改正項目として挙がってくることになりますね。