新宿西口国際特許事務所の弁理士うめざわブログ

新宿西口で特許出願・商標登録を代理する弁理士による、特許事務所業界と弁理士試験のブログ

特許明細書を請求項から書くか実施例から書くかの議論

特許明細書を書くときはどこの部分から最初に書くか。
大体最初の指導者の方針に合わせて覚えた後は、
そのやりかたでずっとやっていくことになると思うのですが、
請求項と図面を最初に書くケースが一番多いと思います。
まあ私の場合は電気ソフトウェア系で、化学バイオ系は
やったことがないので、だいぶ事情は違いそうですが、
電気機械系だとそういう手順かなと思います。

実際は教わらないことも多いでしょうし、
私も遠い昔とりあえず書くだったような気がしますが、
はじめはどこから書いていたでしょうか。
発明者原稿がしっかりしてたので、あっちやったり
こっちやったりとかそんなだった気がします。

ただ、建前としては実施例の方が先なんですね。
着想して具体的に構成を考えた内容をそのまま書くのが
発明の実施の形態、実施例です。まあ従来技術などは
そこへの導入として説明していきますね。
その内容をふまえて、主張したい権利範囲を書く。
だから欧米の特許出願書類の順番は明細書が先、
特許請求の範囲が後、となっています。
日本は特許請求の範囲が先になっていましたが、
ハーモナイゼーションで後になりました。

それではなぜ特許請求の範囲を先に書くのでしょう?
多分これは普遍的な話というよりは、ソフトウェア特許
固有の事情なのかなと思われます。
実施例を書きました。そしてその上位概念を請求項に書きます。
すると問題になるのは記載要件ですね。
請求項と実施例が整合していないことが増え、
記載要件の問題が生じやすくなります。

まあ実際は請求項を書き終わてからそれから実施例を書き始める、
というよりは、実施例のシナリオを頭に構築しながら
請求項を作成するという流れではあると思います。
請求項の記載を実施例に整合させようとするとき、
実施例が先で実施例の文言で請求項を書くのは
非常に困難なことが多いのですね。
請求項を完成させて、そこで構想した事項を
実施例で余すことなく書く。これが無駄が少ないはずです。
両者往復というのは最悪です。
一か所直すたびに全面修正のつらさは、明細書書きなら
みんな数多く苦い経験をしてきているでしょう。

ここで問題なのは、発明者の方で用語を指定してきた場合です。
請求項にて適切に選択した用語とどちらを優先させるのか。
私の過去の指導者には、請求項の用語で明細書の記載を
統一するようにと教える人がいました。
しかしながら、建前としては実施例の方が先にあるはずなのです。
実施例を書いて、その上位概念として請求項を書くならば、
請求項の用語で実施例の各文言が記載されているのは
場合によってはなんかおかしいということになります。
実施例には当業者が用いる言葉を主体で書くべきように
思われます。請求項が先か実施例が先か問題は、
こんなところにまで波及するのですね。
自分は併記するようにしています。

まあ本来は実施例先のところを、記載要件対策で請求項を
先に書いている。こんな感じだと思っています。
推理小説とかで犯人を先に決めてから脚本を作っていく感じですね。
読み手の方はと言うと頭から読んでいくという流れです。

スタンスは人それぞれなのですが、原則がどうなっているのかは
なんとなく考えながらやったほうが良いのかなと思っています。