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都知事選は小池候補が組織選挙を駆使して勝った模様

2016年都知事選は小池候補の地滑り的圧勝となりました。
まあ票読み的には保守分裂選挙であり、単なる内輪もめの
域を出なかったようなのですが、報道されている
内容に違和感があるのでそこちょっとまとめてみました。

下馬評的には組織らしい組織を持たない小池氏が
組織型選挙を繰り広げる増田、鳥越候補に挑んだ、
とう部分なのですが、これは全く逆ですよね。

東京10区の選出代議士である小池氏は、
地元に支持団体を持っています。
配下の都議や区議もいますし、分裂選挙なので
全員ついてきたかは分からないですが、
ある程度はついてきたものと思われます。
地元になりますので、参謀等の手兵を
そのまま動員した上での選挙となります。

これに対して増田氏は落下傘です。腹心を連れてきたか
は分かりませんが、土地勘がありません。
というか、選挙から離れて長いので、実戦部隊は
抱えていないでしょう。
自民党都議団は一応味方でしょうけど、
中核部隊を構成するメンバーは終始いなかったはずです。

これは鳥越氏についても同じことです。
民進・共産は支持したでしょうけど、そもそも選挙を
やったことがない鳥越氏を支える中核部隊はいません。

政党お抱えになれば、確かに人海戦術をとることは
可能になりますが、それが中枢部門になるかというと
別物ですよね。票を集めるのは人をつなぐことです。
中心になって意思疎通を図る人材が結局足りません。

この辺選挙に少しでもかかわった人なら
すぐにピンと来るはずです。
いかに報道関係が素人か、雰囲気で語っているか
ということになります。

最近は他の県知事を経験して都知事を目指す動きが
あるのですが、それがうまくいかないのは、
所詮地元ではないからというのが大きいのでしょう。
知事選を経験すると、人を動かすことに慣れますが、
お国替えになるので、勝手が変わります。


イメージ戦略として、組織のないしがらみのない候補
というのを打ち出しましたが、それだけで選挙は勝てません。
無党派vs政党お抱えは、よほど政党側の候補がひどい場合に
打ち倒す事例は見かけますが、それでも僅差になります。
最近の選挙ではほとんど見かけません。
この数字になるのは、相手陣営を切り崩すことに成功した、
とみるのが妥当でしょう。

自民党の支持率も低くないし、無党派を総決起させる
ような政策ファクターがあったようにも思えません。
争点となったのは誰が嫌いか誰が気に食わないか。
単純化するとそれ以上の話はどこにもありません。

今回も、単純に自民党支持層を切り崩していったという、
昔から幾度と繰り返されてきた保守分裂選挙が、
今回も似たように繰り返されただけということです。
田舎の市長選や村長選ではよく見る構図です。

要するに小池氏は気に食わんと言った都議のドンに
小池氏がたてついたら、その内田都議に反感を
持っていた勢力が小池サイドについたという話です。
この流れで石原氏・内田氏と、小池氏のどちら陣営に 
つモチベーションが高いかは言うまでもありません。
そうやって地盤の支持団体をベースに、半内田勢力を
集合させていったわけなのだから組織選挙以外の
何物でもないじゃないですか。

選挙の際に無党派の力なんて大して強くはありません。
その辺錯覚させるような報道をすると、変に勘違いする
人が出てきてあまりいいことでもないように思います。

小池氏の出馬決定はあれより前ではダメで、
後では遅すぎたことから、絶妙のタイミングでした。
日本新党に手を挙げたとき、郵政選挙のときと、
今回もまた見事な勝負師っぷりを見せたようです。

ちなみに政策とかはどうでもいいです。
選挙に政策などなんの影響も及ぼさないでしょう。