弁理士うめざわブログ

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弁理士試験の口述試験で落ちるのはこういう人

さて弁理士試験の最終関門、口述試験まで1週間を切りました。
どうしても情報量の少ない試験なので、論文試験と違って
直前となったこの時期においてもネット記事を見ている人は
案外多いと思います。条文集か青本をおとなしく読んでる方が
良いとは思いますが、ちょっと雑談を少々。

口述試験というのは、例えば口述受験生100人いたとします。
追跡調査をやってみればわかりますが、2割落ちるとして、
下位の81-100位の人が落ちる試験ではない、というのが
いろいろ不可解な要素を生んでいる部分です。

口述練習会でボロボロだったとしても本試験では
なんだか何とかなったということも多いですし、
それなりに万全だったとしても落とし穴にはまった、
という話はたくさん聞きます。

当日緊張して力が発揮できなかった、本番に弱い、
というのもありそうで案外ない話です。
力不足だった、力が発揮できなかった、という人を
合わせても口述不合格者の半分行くか行かないか
くらいだと思います。

ある科目において突破できない理由の大半は、
出題内容、試験官若しくは相性に問題があった、
というケースがほとんどです。
そしてその多くが、弁理士試験を受けたことがない
試験官(試験委員)によるものです。
クマとかヒゲとかそうですよね。
最近姿を消していますが。

多分あの独特な雰囲気というのは、
試験委員本人が「弁理士試験を受けたことがない」
ということに起因するのだと思います。
ちなみに、試験官が弁理士の場合は、
口述練習会の雰囲気のままに試験が進行します。
口述練習会でその雰囲気を出せないのは、
試験官役はどうしても試験を受けて突破した経験があり、
しかも最近ブランクがあって自信がない人は
受けないからです。そういう人がやった方が
本当は試験の再現性は上がると思うんですが。

だから、口述試験の勉強で、「どんな問題、試験官に
あたっても乗り越えられるような実力をつけて臨む」
というのは自分としては非常に疑問なわけです。
あの部屋の中の独特な雰囲気というのは、
入ってみないとわからないものです。
それをどんな状況でも乗り来られるような実力
というのはおそらく身につかないと思います。
「さすがにこれでは受からせられない」という
準備状況で臨むのは問題ですが、ある程度準備したら
もう運に任せるしかないと思います。

ただ、落ちる人の傾向としてある程度あるのが、
特許実務経験者の比率が高いというものです。
よく言われる態度が悪かったとか、服装がとか
そういう話が出てきますが、案外そういう人って
すんなり受かってしまってるものです。
むしろ、特許実務者としてある程度経験がある人が
比較的落ちやすい傾向はあると思います。

なぜかというと、口述で問われる試験問題の傾向として、
実務的解釈と、法文解釈で割れるものが比較的多いです。
実務経験がない人は、何も悩むことなく法文解釈に
したがって回答してすんなり通る一方で、
実務経験者は、そこで落とし穴にはまってしまって、
進まず不合格になる、というケースがあるのです。

あの独特の雰囲気の中で、理解の食い違いが発生すると、
もうそこで終わってしまいます。
試験自体は7-8分ですが、問題数は多いですし、
実質1-2分落とし穴にはまると不合格になる試験です。
普通の会話でも1-2分食い違いがあるなんて
珍しくないですよね。すると落ちるのが口述試験です。

特に、みんなができる問題は試験委員もあっさり先に
進めるので、出来不出来が分かれる問題に注目が集まります。
そういう問題に限って、勉強自体の出来不出来とは
全然関係ないような問題だったりするのです。
その結果、思いもかけない試験結果になるのです。

まあ何が言いたいかというと、口述試験は運だよということと、
問いに対する回答に対しては条文優先で、あまり自分の
経験的解釈を差し挟まない方が良い、とは言えます。
あと、不勉強でも万全でも、本試験の出来は案外差がないよ、
ということも言えます。

何の励ましにもならない文章を並べましたが、
少なくとも全員にチャンスはあるので、
あと少し頑張るのがよいかなと思います。