新宿西口国際特許事務所の弁理士うめざわブログ

新宿西口で特許出願・商標登録を代理する弁理士による、特許事務所業界と弁理士試験のブログ

召喚魔法が特許になったという話と背景

当ブログへのアクセスを見ると見慣れないサイトからの
リンクが張ってあって、これはなんだろうと思ったところ、
どうもゲームと特許に興味がある方のまとめサイト的な
ものがあって、そこからのアクセスが増えていたようです。
なのでちょっとゲーム特許というものを思い出してみます。

某社でゲームの特許というものを取り扱ってはいた
ものの、なんだか疎遠になっていたのでなんとなく
検索で調べてみたところ、表記のものが見つかりました。
もうえらい昔の話でもあるのですが。

RPGで召喚魔法の実行に関する特許。特許第3220111号です。

召喚獣を呼び寄せている間って待機時間になりますよね。
その待機時間の魔法の連続使用を可能とすると
そんな内容になっています。


【請求項1】表示画面上のキャラクタ間の戦闘を制御する
ゲームプログラムを実行するゲーム装置であって、
操作入力に応じて、前記キャラクタ間の戦闘に他のキャラクタを
参加させるための動作項目である召喚が選択された場合に
召喚処理に処理の制御を移し、選択可能な召喚キャラクタを表示し、
所定の召喚キャラクタが選択された場合に連続使用可能な
魔法回数を設定する魔法回数設定手段と、
操作入力に応じて、前記キャラクタの戦闘を支援するための
動作項目である魔法が選択された場合に魔法処理に処理の制御を移し、
連続使用可能な魔法回数が設定されている場合に、
連続使用可能な魔法回数をリスト表示する魔法回数表示手段と、
リスト表示された連続使用可能な魔法回数の中から、操作入力に応じて、
選択された連続使用する魔法回数を設定する魔法使用設定手段と、
前記キャラクタに対応させて予め用意された魔法をリスト表示し、
操作入力に応じて、表示された魔法の中から連続使用する魔法の選定を、
連続使用の回数分行う連続魔法選定手段と、
前記連続魔法選定手段により選定された連続使用する回数分の魔法を、
連続して実行する連続魔法実行手段と、を備えたことを特徴とするゲーム装置。


審査段階ではおそらく29条柱書的な部分で拒絶理由が来たことが
予想されます。審判に行って前置審査でひっくり返って
特許になっています。明細書を読んだ限りどの辺に
進歩性があるのかあんまりよくわかりません。
審判書類は取り寄せないとわからないし、
そこまでして調べようという意欲は正直ないです。

特許の内容を紹介したいのですが、進歩性の論理がどこにあるか、
というものがわからないと解説のしようがありません。
他の解説サイトでもなんかわかったようなわからないような解説です。
なら別の特許と思っても手頃なのは多くはないのですね。

これがアクティブタイムバトルだとそれなりに
進歩性のロジックが立つのですけどね。
説明のしやすさから、今でもATB特許は何かと取り上げられます。
ですので、ATBは特に大きくはもめることなく特許になりました。

自分はATB特許の審査の最終段階の頃某社に入ったのですね。
そこでクレームを広げようとか話をしたら、
依頼先の弁理士の方から上司の方に電話がかかって
余計なことをするなとかそんな話になりました。
信じられない話ですが当時はまだ弁理士が偉そうな時代。
出願書類の請求書を見たら100万円とか書いてありました。

よく読んでみるとこの召喚魔法の特許はその某社の特許出願。
しかも自分がまだ在籍しているころじゃないですか。
社内でごたごたがあって、とばっちりを食って
なぜか商標担当になっていたタイミングのようです。
まあその経験が独立後の商標業務に生きてたりします。
関わってないからこの案件はようわからんのですが。

この時代にゲーム会社は特許の取得件数が急増していますが、
理由はって言っても正直誰にもよくわからんのですよ。
知的財産の保護というのがようわからんけどきっと大事
だよね、という空気感がなんとなくできて来た頃。
当時のゲーム会社は金ならとりあえずある、
とそんな時代でした。

何かビジョンがあって特許戦略を立てたというよりは、
予算ならあるし人員もそろえていいから、
社内的に財産になるものならきっちり確保していった
方がよいよね、という程度でした。
あれから十数年たって、それは結局どんな意味が
あったのかね、というのは総括されたかどうかは
わかりませんが、紆余曲折を経ながらも
部門は残っているようです。

ま、ゲーム業界に限らず知財業務の拡充ってそんなノリで
話が出てきます。そこに対して何らかの答えを
出せるのが優秀な弁理士なのだと思います。

某社の知財業務立ち上げにかかわった人は
さすがに優秀でしたよ。まだ中規模だったころの
酒井国際で当時伝説の明細書書きだったのを
引き抜かれてきたのですが、その後社内のもめごと?
で出てった後はドワンゴ知財部長になったようです。
そして今ではベンチャー企業の社長をやっているとか。

召喚魔法とは何の関係もない話になりましたが、
時代が進むと世の中も変わるって話です。