弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

弁理士試験の合格者が減ったのは受験生にとってどうだったのか

ある時期をピークにして合格者の数がガクッと減ったのは、
受験生及び弁理士業界の方々にとって周知のことと思います。
受験生にとっては合格者が減るということは
難易度が上がるということを意味しますので、
あまり歓迎しない感じもあるのかもしれません。

一方で合格者数が急減すると、採用の倍率が
応募者に対して有利にもなるんですよね。
それは昔の合格者にも当てはまってしまう部分もありますが、
合格祝賀会や、インターン的なものはその年の合格者
に向けた採用のイベントとして行われます。

昨年の合格者は、見た感じ既に知財の職を得ている
人がほとんどで、祝賀会で採用活動をしようにも
該当する人がほとんどいなくて張り合いがなかった、
という話を聞きます。
インターンは応募者がわずか7人で、
ほとんど希望は通ったのではないかと思います。

受かった後の環境という意味では、合格者が減ったことは
新合格者にとって有利な状況になっているといえます。

これが極端に難易度が高いというのなら別ですが、
合格者は減ったものの、長年の受験生がはけて
新規参入が減っています。つまり受験生の母集団が大きく
減っているので、難易度はそこまで上がっていないようです。
少なくとも合格者数が大幅に増えだした初期の頃の
難易度は上回っていないのではないでしょうか。

20世紀のような、受かれば直ちに高収入だった時代は
さすがに去っているので、その意味で厳しい時代になった、
というのは正しいです。しかし、職を得ること自体が
全く困難なほど厳しい環境を想像されている方を
見かけることもあるので、その見方はさすがに
行き過ぎのような気がします。

技術職というのはものを作ってなんぼの世界なので、
そこから知財を目指すというのは基本的に傍流です。
やっぱり儲かりそうだからくる世界なのであって、
そうでなくなったら参入が減るのは当然です。

ただ、それを極端に冬の時代と解釈してしまうのは、
それはちょっと違うのではとも思うのです。
少なくともそこそこレベルには稼ぎを得るのは今でも
容易ですし、行き場を失った技術職の駆け込み寺的な
機能は今なお残っていると思うのですけどね。
どうもその辺バランスのとれた情報が出ていないように
思われますので、その辺ちょっとまとめてみました。

自分が知財職を始めたころは、過小評価すぎて
これは穴場なのではと思っていたのですが、
それから過度に人気になり過ぎて、
それはそれでおかしいという状況になりました。
それが今、程よいところに戻りつつあるように
思ったのですが、また過小評価に戻りつつ
ある雰囲気も出てきています。
世の中極端から極端です。