弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

クライアントファーストとは、従業員ラストの意味

クライアントファーストなる文言に私はもやもやするわけです。
特許事務所でもそんな言葉が出てくる事例が出てきていますよね。
それっていったい何なんでしょうね。
先日の都議選では都民ファーストが躍進しましたけど、
それも私の疑問に拍車を掛けます。

料金をいただいてご依頼をお受けしている訳ですから、
そのご依頼にこたえるのは当然のことなわけです。
クライアントファーストと言うのはそれ以上の
優先順位をつけるということですよね。

クライアントファーストではないってどういうことなんでしょうか。
お客様の要望に応えない、後回しにする、意図をくみ取らない、
というのは第一主義とかではなく、単に勤務態度が悪いだけですよね。
しかもなんとかファースト、というのは相対的なものですから、
他がひどければ、顧客対応がひどくても、
クライアントファーストは理論上成り立ちます。

語感的には、自分たちよりも顧客の優先順位を上げる、
ということにニュアンスが置かれているような
印象を受けます。都民ファーストの会は、
「自分ファーストの議員から、都民ファーストの議員へ」
等と述べていますから、「自分本位ではない」
ってことなのでしょうか。
若しくは「お客様は神様です」ということでしょうか。

しかし顧客優先は言うまでもなく当然に出てくる話でして、
そこをあえて覆すというのはそれなりに理由があるから
なわけですよね。
例えば顧客が値下げ要求する中で、それに応えない、
というのは利益やコストのバランス上出てくる話です。
無理な納期期限に対して、それは厳しいと返答する、
というのは自分の会社を守るためです。
普通は理由がある行為ですよね。

クライアントファーストと言うということは、
その辺の序列を崩してまでもあえて顧客寄りに設定する
ということでしょうから、そのしわ寄せは従業員に
来る訳です。クライアントファーストで、俺セカンドだから、
お前ら後はしっかりやれよと、そういう順位付けなのですね。

顧客重視もそれはそれで必要な視点ではありますが、
日本の企業はそこを重視しすぎたために雇用環境を
悪化させてしまったような気もしますので、
実は従業員ラストでした、とならないようになりたいものです。

ここの所仕事が立て込んでブログの更新がおろそかに
なってしまったのですが、ニュースは入ってきますので、
そんな中微妙な連想が働いてしまったりします。