弁理士うめざわブログ

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ベストライセンス社商標「立憲民主党」のゆくえ

解散総選挙の幕が切って落とされ、希望の党が結成される一方で、
民進党が公認を出さないという、急展開をいま政治が見せております。

そんな中、結成された希望の党って、商標登録されているの?
という疑問がもたれていたところ、しっかり取られておりました。

商標登録第5977657号で、第16、41、42類にて既に登録となっています。
唐突に決めたようで見えて、何と出願日は平成29年2月20日。
国民ファーストの会?等との邪推を尻目に、もうちゃっかりと
党名はとうの昔に決めてしまっていたようで、
抜かりないねとの評判が、知財業界のほんの一部に広がっています。
まあこんな出願するのはどうせベストライセンス社くらいですけど。

さてそんななか民進党は一斉に転籍することができず、
新党の動きが出ています。その代表となる枝野氏は、
党名を決めたそうです。その名は「立憲民主党」。

一方でその党名は出願されているよ、との評判が立っています。
弁理士としてはサーチしない訳にはいきませんね。

特許庁の簡易検索で出てくるのは、
・商願2017-024072と、・商願2017-028975の、2件のみです。

まあ例によっていずれもベストライセンス社が先に出願してました。
そして例によって分割出願となっています。
ですので、業界外の人にとってはちょっと分かりにくいですね。

例えば10個くらいの指定商品を1出願で行いました。
それを、9個1個の別々の出願に分けましょう。
これが分割出願となります。
親出願を10個から1個に減らして、削った分の9個を子出願とします。
子出願には新たな出願番号が振られますが、親出願の
ときに出願したとして扱われます、という仕組みです。

ベストライセンス社は出願料金を払わずに出願します。
ですので出願が却下されてしまいます。
却下されても子出願として生き残らせるために
こういうことをやっているのですね。
まあ一昔前のサブマリン特許と似たような仕組みです。

ただまあ親出願が却下で出願日認定されないので、
子出願の出願日遡及もないのですが、

以上の2出願は、いずれも親出願はこちら。
・商願2016-108145  ・商願2016-110172

その親出願が以下です。
・商願2016-20017  ・商願2016-26256

最終的には1つになるかと思いきや、最初から2件なのですね。
まあ出願日認定されず、出願日遡及がないから調べる意味もないのですが。


ですので、最新の出願についての出願日が現実の出願日となるのですが、
遡及効がなくても、ベストライセンス社が先願になることに変わりはありません。
ステータスを調べてみます。

・商願2017-024072は、
願書: 差出日(平29.2.24) 受付日(平29.2.24) 要指令
手続補正指令書(出願): 起案日(平29.3.15) 発送日(平29.4.7)
再送: 発送日(平29.5.9)
通知書(却下処分前通知): 起案日(平29.6.26) 発送日(平29.7.21)
再送: 発送日(平29.8.16)

・商願2017-028975
願書: 差出日(平29.3.7) 受付日(平29.3.7) 要指令
手続補正指令書(出願): 起案日(平29.3.23) 発送日(平29.4.14)
再送: 発送日(平29.5.15) 
通知書(却下処分前通知): 起案日(平29.6.30) 発送日(平29.7.21)
再送: 発送日(平29.8.16)

2件ともステータスは似たような状況です。
要するに相変わらず払っていません。
払えという督促的な通知が二回来て2回目が今年の8/17です。
ただ、払ってしまうと出願が生き返ってしまうのですね。
法的には、特許庁に生き返らせる義務はなく、却下してもよいのですが、
運用上猶予を認めており、恣意的な取り扱いはできません。

ただまあ、PPAPの時と同じように、結局お金を払わず、
却下処分となる可能性が高いように思われます。
まあ上田育弘氏の考え方1つですが。
審査移行しても、拒絶理由は色々あり得ますしね。

一部で「すでに権利がとられている!!みたいな意見も見かけたのですが、
枝野氏が出願すればそのまま登録になると思われます。
審査の取り扱い上、他案件より時間がかかる可能性はありますが。