新宿西口国際特許事務所の弁理士うめざわブログ

新宿西口で特許出願・商標登録を代理する弁理士による、特許事務所業界と弁理士試験のブログ

若い世代にとって弁理士というのは目指す意味があるのか?

弁理士資格を目指す人が増えてほしいという人が言う言葉の裏には、
大体「若い人が」という制限句がついています。
人材不足というなら、別に若い人である必要ないんじゃないか、
という気もします。優秀な人材を採用すればよいだけです。

大体若い人材を欲しがる裏には、「安い給料で」という条件が
ついていることがほとんどなのですが、応募者側も
若い若くない関係なく、良い条件の求人を求めています。
良い条件の中には、将来性というものも含まれていたり
しますが、その将来性というのが非常にあいまいなので、
ご都合主義的に主張されることも多いような気がします。

その点も踏まえて、若い人にとって魅力のある業界なのか、
というのをちょっと考えてみました。

そもそもこの業界に人材が増えだしたのは、今世紀になってからです。
弁理士試験の制度改正に伴うもの(要するに易化)が第1の理由
であるとともに、就職氷河期の産物という側面もあります。
要するに職がなかったわけです。その中で特許業界が魅力的に見えた。

競争激化前の、うまみが大きかった状況が穴場的存在に見え、
そこへのハードルとなっていた試験の高い難易度が引き下げられた。
厳しい求職事情、高い待遇条件に、頑張れば突破できる難易度。
それは殺到するでしょう。今までになく増えてきた応募者の数を、
当たり前のように思う採用側が増えました。

しかし、業界に人は十分入ってきましたし、リーマンショック後の
特許出願数の減少を加味すると、かつて見えたようなうまみの
大きそうな状況というものは消し去ってしまっています。
合格者減少を見る限り、難易度も上がっているように見えます。
まあ弁理士に限らず、他の資格も同様の状況のようです。

ここまではみんな知っていることですが、更に若年世代の
求職状況が急激に改善しているのですね。かつては入りたい会社に
入れず、入った会社の待遇がよくない状況だったのが、
今は就職先はより取り見取り、時は変わり過剰な残業も強要されません。
氷河期世代のように、特許業界に押し出される状況がないのです。

恵まれた会社に就職できるなら、そこでは相応のキャリアパス
用意されています。そこでの職業人生を歩んでゆけばよいのです。
そこからあえて出て、特許業界に入るとどうなるのか?

特許業界は実力主義、実績主義です。
処理案件数、そして売り上げに応じた収入を得られる世界です。
率直に言って、社会ではキャリアに下駄をはかされる環境、
というのが存在します。一番典型的なのがキャリア官僚ですね。
彼らはノンキャリとの対等な競争をすることなく出世します。
若しくは優遇された教育環境というものもあったりします。
氷河期世代の多くは、そういうものを得ることができない
就職を選択せざるを得なかったわけなのですね。

そんな中で、特許業界に来るというのは、上の世代と
ハンデなしの勝負をいきなりさせられる世界です。
比較的有利な就職環境で特許業界に押し出された若い人が、
厳しかった上の世代と一緒に何のアドバンテージもなく
競争させられる環境が、魅力ある気はしません。
対等な実力勝負なんて、自分を勘違いしてはいけません。
下駄をはかせてもらって有利な競争をするのが
社会人としての正しい歩き方です。

同世代のサラリーマン組とも会ったりしますが、
そっち行ったらおいしかったねえ、みたい話は出ます。
そういうのが沢山余っている中で、なんで弁理士にという話です。
もともと他に選択肢がなかった人がたどり着く業界
だと思うので、他に選択肢ができたら人が来なくなる、
という状況に戻りつつあるだけです。
一時期が異常だっただけという話です。

何が言いたいかというと、採用を若い人中心に考える人は、
採用意欲がそもそも薄いか、応募者が多くてより取り見取りか、
そうでないなら頭がだいぶ古くなっていると思われます。
なので、「若くてやる気のある」人材を求める特許事務所は、
体質は相当古いのでしょうねという推測ができます。

まあ年配で未経験だとさすがにあれなので、
この業界に流れてくる人材の年齢は相場があるかと思います。
昔は40前後で入ってくるのが一番多かったような気が
するんですけどね。採用側がそういう感覚に戻ると、
業界としても活性化する気がします。