弁理士うめざわブログ

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はれのひは商標権も侵害していた?

先日の成人式では大変痛ましい出来事が起きました。
成人式の日に晴れ着での参列を予定していたところ、
その着付けの会社が夜逃げをしてしまったとのこと。
はれのひという会社だそうですが、
これでは新成人の方の心は雨の日ですね。

まあこの記事はそれが言いたかっただけなのですが、
なにやら妙に根拠なく入金を急かすってのは、
嫌な予兆がある訳です。キャッシュフローが焦げてくると、
目先の金の確保に走りますから、これなんかやばい、
という雰囲気というものが出てくる気がします。

自分がかつて通っていた英会話スクールでも
ある日突然ドロンという事件が起きました。
年間20万円で通い放題、というコースの他に、
年間50万円支払えば、1年後に40万円返す、
というコースがありました。怪しいですね。
そして夜逃げ直前には妙にそのコースを
強く勧めるように求められていたようで、
なんか怪しいなあと思って見ていたらそれでした。
夜逃げの現場は初めて見ましたね。

銀行とかそういう方面のお金はきれいに
して高跳びしたようで、のらりくらりとかわそうと
していたようですが、最後は詐欺で立件され、
残った範囲でお金の回収となりました。
まあこれだけ大きな事件ですから、
責任者は逮捕されますね。

話を戻すと、「はれのひ」という会社が不祥事を
起こしたわけですが、同じ名前の会社が多くあり、
そこが不利益を被っているらしい、というのが
弁理士的には関心の大きいトピックですね。

jplatpatで称呼検索をしてみるといくつか見つかります。

登録4602996 晴れの日   30 宮田 麻矢
登録5046785 はれのひ   31 サントリーフラワーズ株式会社
登録5132435 ハレノヒ  43 有限会社n.o.s.productor
登録5572481 晴れの日  41 45 株式会社高橋屋
登録5615000 晴レの日  45 株式会社晴レの日

ざっとこの辺が目につきます。
他にもハレの日ワイン、晴れの日の餅、ハレノヒごはん、
などなど、「晴れの日」に連なる商標は多いようです。

この中で特に注目は高橋屋の商標ですね。
指定役務は以下の通りです。

41 写真の撮影 
45 衣服の貸与,装身具の貸与

「着付け」だけでしたら、非侵害の可能性もありますが、
業務範囲的に抵触している印象を受けますね。
侵害されたうえに、その商標のブランド価値まで棄損
されてしまったようです。

ですので、同じ名前でビジネス展開している会社があったら、
やっぱりその名前はやめさせたほうが良いと思うのですよ。
その会社が今回のように問題を起こし、そして「関係ない」
と言ったところで連想してしまいますからね。
高橋屋のサイトのトップページでは、関係ないことを
言及していますが、こうなると手の打ちようがありません。

しかし「晴れの日」というのはどうも多くの事業者が
選択したくなる商標のようです。こういうネーミングと
言うのはあります。イメージを抽象化したときに、
必然的に選んでしまう名前ってのはありますよね。

そういうのってのは早めに商標権を抑えておいた方が
良いと思うのです。今回は高橋屋は権利取得のみで
差し止め請求をしていなかったようですが、
「晴れの日と言えば高橋屋」という一義性を
持たせることは、ブランドの維持保全にも重要です。

また、他にも「晴れの日」という名称で
サービス提供をしている会社が結構多いようです。
そういうのってのは、「一緒にするな」と主張
したところで、名前が同じなのですから、
当然需要者は混同しますよね。
増してや問題の会社は全国展開しているのですし。
権利を持たないでの主張はちょっと弱いのではと思います。

ありきたりの名前を使い、かつ商標法上の手を打って
いないと、こういうときにブランドが棄損してしまう、
とそういう話です。
こういう大げさなことも多くはないと思いますが、
多くの会社は対応してないなということを思いました。