弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

どこの特許事務所がホワイトで、どこがブラックか

特許事務所の就職・転職を考えるときに一番悩ましいのが、
どこに入ればブラックを回避できるか問題なのですが、
実際のところそこを判別するのは至難の業です。

通常の就職活動の場合は単にみんなが知っている大手に
応募すると思います。それは、通常は元請け下請けの
構造など、企業取引上優位な立場に立っている会社に
就職した方が色々と有利だからです。

商社とか、広告代理店とか、テレビ局とか、
そういうのが就職先として昔も今も人気です。
もちろん優秀な人材がそこにいるという面も
あると思いますが、取引上きわめて優位な立場にあり、
従業員数に対して非常に儲かっており、
従って、利益の各種分配において優位な立場に
あるという傾向が推定されます。

同じ業界内で就職するときも、大手の方が
有利な取引条件を確保している会社が比較的多いです。
ですので大手が良いという判断になりがちです。
もっとも比較的小規模でありながら、
業界内で優位に立っている会社もあります。
そういう穴場的就職というのも昔からあります。
ただまあ分かんなかったらとりあえず大手です。
自分もその辺よく分からないでとりあえず
新卒のときは大企業に就職しました。

さて特許事務所の場合はそれが単純に当てはまるか、
というと非常に難しいのですね。
超大規模特許事務所というのは、大規模発注を
受注できる規模であると同時にそこに依存しています。
そういう案件は得てして薄利多売です。

じゃあ小さい特許事務所なら良いかと言っても、
その薄利多売を零細で受けるという
悲惨なケースもあります。
また取引条件で有利でないケースも少なくないでしょう。

ですので、個別具体的に伝手をたどっていく
というのが一番手堅い感じはします。
ただ、ホワイト特許事務所も未来永劫ホワイトである、
かというとどうやらそうでもないようなのです。

私が10年以上前の時点でホワイトであろうという
認識をしていた特許事務所はいずれも大変なことに
なってしまっていました。
ずっとホワイトなら良いのですが、そうもいかない様です。

じゃあブラックはそのうちホワイトになるかというと、
そうでもないようです。まあ存続しているとこだと、
前よりはましらしいよと言われるようにはなっていきます。
ですが、昔はブラックだったのに今はホワイト、
なんて話を聞いたことはありません。

全般的に業界内の待遇が平準化されるようになって
来ているような気はします。
極端なブラックと極端なホワイトの話を
聞かなくなりました。
あそこはブラックだろうと聞いても、
得てしてその噂を否定する人が誰かしら出ます。
人によって相性が出てくるのは避けられません。

企業選択の場合、そこの将来性も重要ですが、
特許事務所の場合はそこもまた一筋縄ではありません。
会社に将来性があって、どんどん事業拡大している場合、
新しいポストができるので、長くいることが
有利に働くこともあります。

ただ特許事務所に将来性があっても、
特にスタッフにメリットなどないのですよね。
マンパワーに依存する仕事ですので、
会社の成長が個人に利益配分されないのです。
やった分だけの給料が出るだけです。
逆に、特許事務所が傾いても転職すればよいだけです。

右肩上がりの特許事務所は得てしてスタッフに無理を
させますが、その利益配分をそのスタッフが受ける
ことができるかというと、そんなことなさそうです。
景気は良さそうでも自分はただきついだけとかあります。
逆に、停滞気味の特許事務所というのは、
中で無理をしない結果としての停滞だったりします。
所長の人柄が良ければ、まったりしてそこそこの
待遇を得るということもあったりします。
そこでじっくり自力を蓄えて、いよいよ傾いたときに
脱出したってよいのです。

イケイケの職場でガンガン働いたから経験豊富、
なんてことも正直疑問です。
経験というものは、自分なりの考えをもって
試行錯誤によって積み重ねていくものなので、
量が積まれることで逆に経験は増えない、
なんてのも逆説的にありそうです。
いろんな経験をしても、それが深みにならない
こともあります。何をもって経験かなんてわかりません。

そうやっていくと、何が良いかというのも分かりませんので、
やっぱりいろんな人のいろんな話を聞くのが良さそうです。
自分はというと、もう転職というのが遠い過去の話
になりましたので、そういう情報からは
徐々に疎くなってきました。

業界を良くしたい、などと口先だけの経営者弁理士
数多くみられますが、やっぱりまずは業界一の
ホワイト特許事務所を作ってから言うべきことですね。
突出したホワイトの噂をいまいち聞かないような気がします。

自分もまあそうなれるように、まずは零細脱出です。
自分も頑張ります。