弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

商標登録の料金2万円以下はなぜトラブルが多いのか

断定的に書いてしまいましたが、あくまで仮定の話です。
特にどこの事務所がどうこうという話はありません。
まあ少なくともひと頃は弁理士会の一部でも目の敵に
されていた面もありますが、まあ当人たちにも
ある程度問題はあるというか、その辺あのアディーレが
処分されたときに、当業界で真っ先に似てるなと思うのが
この辺の商標登録周りになりますよね。

商標登録の料金自体は、かつての弁理士会が提示していた
料金表よりも大きく価格相場は下がっていますが、
それはある程度仕方ないことです。
一番簡単な業務ということで価格競争が働きやすく、
そして、IT技術の進展により、願書の作成や
調査周りの低コスト化が一番進んだ領域でもあります。
昔と比べても効率的にこなせるようになったので、
当然低価格化は進むでしょう。
この辺、会計ソフトや法人登記なんかと事情が近い
かもしれません。

そこで、手軽にこなせるからたくさん受任したい、
ということで仁義なき戦いが、弁理士業務の中で
一番激しく進んでいる業務分野でもあります。
その結果、弁理士としての品位を低下させる面が、
ネット検索をするとうかがえるものが見られます。

商標登録の出願申請業務をとりまく状況は
以上の通りですが、トラブルが多いのはなぜか
というと、2万円では商標登録できないからです。

ではなぜ1万円未満ですよとか、1万何千円ですよ、
という広告が乱発されているかと言うと、
そこに含まれていない料金が別途請求されるからです。

まあこのブログは主に弁理士が見るので
こんなこと書くのは多少微妙ではありますが、
一番安くしても、1区分5年として、
出願時12000円、登録時16400円かかります。
2万円以下ではできません。
要するに印紙代は別ということです。

まあ代理人手数料が2万円以下ですよ、なら
まあ説明不足ではありますが、
一応考えられなくはありません。が、
どうも格安業者を見ていると、出願時の代理人費用だけ
で価格を前面に押し出しているようなのですね。

お客様は全部でいくらかを気にされています。
印紙代別なだけでもわかりにくいのに、
登録時手数料は見せないと言うのは、
もうトラブル上等と考えているのは間違いありません。

成功報酬型と言うなら、それはそれであり得ますが、
設定登録費用にウェイトをかけておいて、
出願時のそれも代理人費用のみを前面に出して
安さを強調するのは、意識的に誤認させている
印象を強く受けます。
そうなってくると、もう代理人の意識がそうである
ということですので、トラブルは避けられません。

まあお客様の多くは価格の内訳をみてから判断される
ことが多いようなので、大勢に影響はない気も
しなくはないのですが、自分としては、
説明不足による不満が来るのが嫌なわけです。
できるだけ最初に全部説明するようにはしていますが、
それでも説明が抜けたり、誤解されることは
少なくありません。
弊所の場合、知財業務になじみがないお客様が多いからです。

説明責任を果たすように努めてもそれなのですから、
意識的に誤認させていたらどうなるかなんて明らかでしょう。

まあ価格下げるのは勝手にすればと思いますが、
競争はクリーンにやってほしいなあと
ネットで検索するたびに思ったりします。