弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

裁量労働制とブラック特許事務所

そういえば裁量労働制がニュースをにぎわせているようです。
そして特許事務所の弁理士にもこの裁量労働制が適用されている
例は多かったように思います。
その辺の事情ってどんなだったっけと思い返してみることにします。

独立開業してからは裁量労働もへったくれもありません。
その前は特許事務所に勤めていましたが、
普通に残業手当が出ていました。
採用されたときは資格持っていませんでしたし。
あまり残業はしてなかったですが。
局所的に忙しい時期はありましたけど。
残業に追われていた時期は、事務所としてもその仕事を
必要としていたわけなので、その分普通に手当てが出ていました。

ある時期から、給与交渉の段階で、昇給と共に、
残業何時間まではこの給与に含むとかそんな条件が付きました。
そんなんだったら残業するの面倒だから早く帰ります、
とかいってとっとと帰ってました。
求められる業務量はこなしてましたからね。
ホワイトか?と問われると、あんまり大きな不満のある職場
ではなかったように思います。

その前の事務所はと言うと裁量労働制になっていました。
あと、株式会社スクウェアで働いていたころも裁量労働制でした。
キヤノン株式会社では、さすがに普通にスタッフなので
残業して手当をもらってました。
まあ思い返すと、裁量労働制ってのは結局残業手当を
出しませんよ、って運用しかしていなかったので、
そこをごり押ししようという財界の意向は不信感を持たれますよね。

大体裁量労働制のある職場ほど、勤務形態に裁量性がありません。
早く帰ろうとすると、「もう帰るの?」という雰囲気があったりします。
それ裁量労働制じゃないじゃんと思うのですが、
大体良くない方向に運用されますよね。

特許事務所で一番模範的な運用は、被雇用スタッフとして、
普通に残業手当をもらいつつ、売上とその寄与度を計算して、
その部分をボーナスとして付与する、ただし、残業手当分は
控除する、という形式だと思います。そういう事務所は多いですね。

一番ストレスフルだったのは、明細書のチェックを受ける立場の時って、
1件出来上がるまで何度も修正指示がかかりますよね。
そういうときって早くなんて帰れません。
にもかかわらず裁量労働性だったりしたので、
そういう制度の濫用がかなり予想される雇用形態だと思います。

裁量労働的な態様にするほど、自由度が高ければよいのですが、
そうでない職場の方が多そうです。
なので、裁量労働制を標榜する特許事務所は
ブラックである可能性が高そうですね。

裁量労働制とはどんな勤務形態か?と一言でいうと、
仕事の日の昼間からお酒を飲んでても咎められないか?
ということに尽きると思います。

ダメな職場は裁量労働制などと言ってはいけません。
弁理士であれば、弁理士会の委員会に参加できるかどうかが
1つの基準になると思います。
仕事中職場を離れられない職場は、裁量で働いていません。

裁量労働制の適用対象は絞ったほうが良いのではないか
とそんな気がします。