弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

独立してから3年とか5年とかで特許事務所をたたんで勤務に戻る人もいる

弊所は独立開業して5年程度になるのですが、大体これくらいやっている人、
というのはまあ一応は業務の受任もそれなりにあり、仕事を回すというのは
こういうことなのかあという勘所も多少はつかめた状態である
と思われます。世間的にいえば「軌道に乗った」というやつです。

一方でやっている本人にとってはそこまで軌道に乗った感は薄いのですよね。
やってもやっても問題点は山積するし、大変な思いをしたほどには
儲かった感じはしません。「儲かる」というのはそれこそその人の才覚に
左右される部分があり、同じ程度の規模、売上なんかでも儲かっている
特許事務所とそうでないとこがあり、聞いてると「大変なんですよー」
という弁理士もいたりするのですが、勤務弁理士からすると
その辺の区別って見えずらいのですよね。で、儲かってよいですね、
みたいな話になって、儲かっていればよいのですが、
実際はそうでもない特許事務所の所長さん的には微妙な空気感になる
ということはうちとは別のところでも見かけたりします。

自分も昔は確かに「そうはいっても儲かってるんでしょ」と思っていましたが、
いややっぱり言ってる通りだなと思うようになりました。
儲かってる人はいるけど、そこはやり方による差が非常に大きく、
いやあやっぱり難しいなあというのをここにきて実感しています。

さてここで標記の通り、特許事務所をたたんでしまう人が案外いるのですよね。
儲からないからって程ではないのですが、なんかやっててもなんだかなあ、
みたいな感じになってしまうのですよね。で、どこかに吸収してもらう。
受任業務は引き払ってしまって就職してしまう人もいますね。
えー軌道に乗っているのにどうして、と思っていたのですが、
確かに勤務弁理士の方が楽かも。ということは最近よく思います。
まあ隣の芝生は青く見えるという面もあるとは思いますが。

何が大変というと、判断をして折り合いをつけていかなければいけないことが
多すぎるのがしんどいのですよね。自分はこういうのは得意と思っていたのですが、
それがなんだか多すぎて、考えるということに気が滅入るという感じです。
勤め人の考えるようなべき論では行き詰まることも多く、
そこで色々判断を繰り返すと頭が沸騰しそうなのですよね。
そういう仕事が多くなってしまっているからではあるのですが。
最初はそういうのが楽しかったのではありますが、5年もたつと、
それがしんどい感じになってきています。

自分の場合は諸条件を考えるとこのままやっていくかなあと思いますが、
今は実務ができる勤務弁理士の労働環境はそんなに悪くないですし、
収入ももっと稼げるはずと思っている人は多そうですが、
今のデフレ環境下ではそれだけ稼いでいれば十分でしょ、
というのも事実ではあります。弁理士の稼ぎの目処としての、
年収700万円もあればそこまで生活に不満はないはずなのですよね。

独立のときに今くらいに就職環境が良ければ普通に転職してたかなあ
と今になって思ったりします。そこはタラレバの世界ですね。
一応転職の可能性も模索して、これはつまんないから、
ということで独立したのですよね。今は良さげな特許事務所も
ちょいちょい見かけたりしますし、働いている人の話を聞いても、
満足そうにしている人が多いです。
そこで働いていて満足しているから、他の弁理士を誘う、
というケースが増えていて、業界としては良い循環です。

まあ私のブログはそういう意味だと終始悲観的というか、
ネガティブな感情を吐露している感じにはなってしまうのですが、
勤務弁理士悪くないよ、という環境が整備しつつあるように感じますし、
勤務弁理士の話を聞いても確かに悪くないのかも、というようには思います。
だからまあひと頃よりは独立開業が減っているような気もします。
それはまあ合理的な判断ですよね。

タイトルに戻りますが、こんな感じでも勤めに戻ってしまう人もいる、
ということはそれが可能でもありますので、まあ弁理士が独立する、
というのは他業種に比べると気楽と言えば気楽ではあります。