弁理士うめざわブログ

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知財戦略と言うのは基本はいい特許を取るということ

 

知財戦略という言葉が氾濫し始めて久しいですが、その意味するところは
人によってまちまちであるように思います。
戦略と言っても、その会社がどれくらい知財について体制を整えているか、
によって、その取るべき戦略も大きく変わってきます。

ある事業について特許的な優位性にある会社だったら、どういう
事業戦略にするかと言う話になるでしょう。
自社独占の技術と言うことであれば、今後も他社の参入を
阻む方向もあるでしょうし、または後発も許容しながら
マーケットそのものを大きくする戦略もあると思います。
こういうのを例えばオープンクローズ戦略とか、
標準化戦略とか言うと思うのですが、それって知財強者と
なった会社がすることだと思います。そしてそれは知財戦略
というよりは、事業化戦略の一環としてピースの1つとして
知財を使うということなのでしょう。googleapple
知財戦略を持っていると思いますが、知財メインではないと思います。

ただまあこれも知財において優位性を持っている会社のこと
であり、また、知財が優位にあるということは事業開発が
既に先行しているということも、ある程度連動します。
知財戦略という言葉からイメージされるのは強者がさらに
強者になるような戦略を想起させます。

ただ実際は事業面も知財面も弱い会社の方が圧倒的に多数派
なのではないでしょうか。そういう会社の知財戦略、
というのは結局のところ良い特許を取っていくことになります。
いい特許を取れていない状態を、いい特許を取れた状態
にしていくことが課題となっている会社が多いのではないでしょうか。

しかし特許を取ることが課題となっているのは、得てして
開発主導でない事業であることも多いように感じます。
よくよく聞いてみると、特許ネタがないなんてことがあり、
そこでひねり出すことは、知財の体制を強化することには
なりますが、いい特許が出てくる確率は低い感じはあります。

いい特許と言うのは、商品開発ががあって、事業の構想があって、
その中で新規の着想の中から押えていきたい部分というのが
見えてきた中で、基本特許になっていくものだと思います。
事業のアイデアが良くできているときは、自然にどんな特許を
取ろうかと言う話に自然となっていくのではないでしょうか。

発明と言うのもどの段階で出していくのかと言うのも悩ましい部分があって、
特許と言うのはこういうものと言うのを分かっている人が
着想の初期段階で特許にするというのは有効だと思いますが、
そうでない人が着想すると、ただ願望だけが出てくる状態に
なってしまいますよね。それっていわゆる実施化がない状態
になりますので、発明としては完成していないのです。
特許をいくつも出しているエンジニアなら、シミュレーションでも
実施化までやってしまうのですが、そうでない多くの方は
思いついたけど実装は実装してみないと分からない、
と言う段階でアイデアを出してきたりします。
イデア出しと言うのも、そこを萎えさせてはいけないのですが、
発明はどうしても実施化が大事ですから、そこを思いもつかない
形でのアイデア出しになってしまうのってどうしても厳しいのです。

まあ知財で大事なのは特許を取ること、なのですが、特許になる段階まで
事業的開発的に着想を煮詰める、この着想構想をうまく作り出す
仕組みとかリズムのようなものが体制づくりに大事なように思います。

まあこんなこと言ってうちのお客さんはもっと小さいところばかりなのですが、
何を考えてもらったら特許ネタに導けるのかと言うのは悩ましいです。
ただ、できる人は最初からドキュメンテーションが得意なので、
イデア出しと言うよりも、ドキュメンテーションのサポート
みたいなものの方が実は有用だったりするのかなと言う気がします。
イデアパワポで具体化して説明できる段階は最低限必要なのです。
ここで効果を強調しがちなのですが、そうではなくて仕様なのですよね。
重要な発明は自然と特許を取る流れになっているような気もしますので、
特許戦略ってのは周辺特許の話なのかななんて気もします。