弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許事務所の大規模化(下請け化)を規制緩和で後押し

従来から特許事務所が法律事務所や会計事務所と違って
そこまで大規模化しないのはコンフリクトの規定のせいだとされてきました。
コンフリクトというのは、競合する双方の会社から依頼を受けてはならない
ということです。
で、記事で言ってるのは部門間で情報を遮断すれば問題ないでしょということ。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140302/trd14030210180000-n1.htm?fb_action_ids=621700521236211&fb_action_types=og.recommends&fb_source=other_multiline&action_object_map=%5B763306187014531%5D&action_type_map=%5B%22og.recommends%22%5D&action_ref_map=%5B%5D

そもそもコンフリクト排除と言うのは別に罰則があったわけでもないし、
どちらかというと企業側が嫌がるから自主規制的に発達したものだと思ってます。
どういう権利化を模索していくか、というのは戦略的な要素もあり、
そこを双方で代理するというのはどうよ、というのは
特許事務所に関しては一応合理的な理由があるように思われます。

そして完全に情報が遮断されると信頼できる状況にあるとすると、
なんでその人たちは同じ特許事務所なのという疑問が生じます。
いくらなんでも同じ会社でリソースの共有はあるだろうし
飲み会だって普通にありますよね。
あと、サーバのアクセス制限を設けてない特許事務所だってあります。
まあクライアントが気にならないなら別にいいんじゃないですか、
としかいいようがないですが。

その一方でここではこんな記事も書いてました。

大手特許事務所と中小特許事務所、その違いと勘違い
http://patintl.hatenablog.com/entry/2014/02/14/173025

大手特許事務所がなぜそこまで大手なのかと言うと、
大企業からの大量受注に備えるためです。
要するに明細書100件書けというオーダーに対する
アウトプットを出すためです。
実はあんまり専門性は高くありません。
下請け仕事を要領よくやれというのが大手特許事務所の仕事です。

もっとシビアに言うと、所詮下請け仕事なんだから
コンフリクトとか別に気にしていないという大手企業の認識です。
技術内容を書面に落とし込むことに戦略性はあまりないですし、
中間処理の段階も企業側から指示が細かく出されます。
確かにコンフリクトとかどうでもいいですね。

そういう事情の中、大規模化をするメリットなんて
業界全体として必要なのかという疑問はわきますが、
利益を最大化したい特許事務所側と、
本質的な業務に対して特許事務所に期待していない
大手企業の思惑が一致しただけです。
これを「「総合病院型」の拡大へ」なんて笑ってしまいますね。

どちらかというと、大手特許事務所=大型量販店
小規模特許事務所=街の電器屋、という感じでしょうか。

小規模特許事務所はブティック型、みたいなイメージを
本来模索すべきなんでしょうが、実際は街医者的な感じになってますね。
ブティック化しているのは30-100人規模の特許事務所ですか。
本来それ以上に規模を求める必要なんて特許事務所にはないし、
こだわりを追求したら最適規模はその辺になります。