弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許事務所の承継で問題となるのはお金の話ではない

さて、特許事務所の業務承継、営業承継の話の続きです。
きちんと後継関係を決めている特許事務所の方が数としては多いのですが、
そうでない事務所が、特に1人弁理士事務所の中に多いという話の続きです。

http://blog.hatena.ne.jp/patintl/patintl.hatenablog.com/edit?entry=8454420450088120094

特許事務所の業務承継として多いのが、だいぶ昔に採用した弁理士を後継者と決め、
ある段階からパートナーに入れているケース。それと、息子に世襲させるケースです。
いずれのケースでも、早い段階から決めているので問題は少ないと思われます。
廃業するならいいのですが、その辺何となくにしているケースも多く、
それで業務承継ガイドラインとかいろいろ作っています。

業務承継として問題となるのは。いずれにも該当しないケースです。
長期にわたって共に仕事をしていない相手への、業務承継が浮上することがあります。
そのような業務承継となる場合に考えなければならないことは何でしょうか。

業務承継とは、要するに営業権を持っている側が、他のものに
その営業権を引き渡すと言うことです。仕事をやるってことです。
その関係は対等ではないんですよね。ガイドライン読んでいて、
その辺対等に書いているのがなんとなく気になりました。

そして、営業権を引き渡すのだから、その分の金銭的対価をどう算出するか
という話も出てきましたが、事業承継に際し、それがいくらになるか、
っていうのはそんなに重要な話ではないんですよね。
アンケート結果でもそのような結果がでてきて、それが意外であるかのように
解説があったのですが、よくよく考えると少しも不思議ではありません。

自分が築いてきた取引関係、信頼関係を誰かに引き渡すと言うケースは
勤めていても発生しうる話だと思いますが、その引渡し先を考えるときに、
お金であるとか、対価が一番大きい人を相手として選択しますか?

答えはほとんどのケースでNoのはずです。
やっぱりまず先行するのは、「この人だと思える」人であることでしょう。
それが先に来て、お金の話はその人との間で個別交渉すべき事案ですし、
このくらいでいいよとか、なければいいよとか、そんな感じの妥結が
多いのではないでしょうか。あまり債権額を算出することに
意味はないように思えます。

もちろんお金が大事な人もそれなりにはいると思いますが、
金融資産の価格算出とはちょっと違いますよね。
基本的に人に付くのだから、承継した後も承継先についていくとは
限りませんし、その分低めの算出にならざるを得ないですが、
お金が大事となればそこは納得できないでしょうし、
承継することで目減りする資産であれば承継したくはないでしょう。

そういう理由で後継者を定めず本人が亡くなってしまうケースも
最近話題になります。所内の人間はなんとなく手を打とうと動くのですが、
本人は後継を定めるのが損だという考えになってしまうのでしょうね。

そもそも経済性優先なら、1人事務所になっていないはずです。
人を雇ってそれなりの規模になっているはずです。
1人弁理士事務所ってのは自分のこだわりに癖があるケースが多いでしょう。

なんかだらだらとした文になってしまいました。
要するにお金ではないよって話です。次は誰に引き継ぎたいのかの話です。


話の続きはこちら。

特許事務所の事業承継の話まとめ
http://blog.hatena.ne.jp/patintl/patintl.hatenablog.com/edit?entry=8454420450094026958