弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

なぜ大手特許事務所の弁理士は育たないか

ちょっと盛り気味煽り気味なタイトル付けになりましたが、
元ネタは「これってIT業界も全く同じじゃねえ?
あるいは何故デカイ店のコックは育たないか」
という記事です。リンクを下に張ります。

http://blogs.itmedia.co.jp/magic/2012/09/it-9d7a.html

元記事を書いた人が、コックをやっている知人から聞いた話を
もとに、「大きな有名店出身のコックはだめだ」
という話をIT業界に適用して解説している内容です。

・・・

ミシュランに載るようなデカイ店で27歳位まで働いて、
外に出なきゃダメだと気づく人もいる。
そういう人をコックとして採用しようとしても、
残念ながらウチみたいな小さいトコで2,3年やった奴に、
もうかなわない。


なんで差がついてしまうのか。大きい所は分業が進んでいるから、
仕事をはじめてしばらくは、ひたすら玉ねぎ炒めとかをやる。
それはそれで大事だけど、小さいところで「何でもやらないといけない」
という方が、絶対勉強になる。

・・・

この話を導線にして、IT業界についても

「料理人○年、SE○年、という年数だけではスキルは推測出来ない。
ちゃんとモノを作るところで、ちゃんとした経験を積まないとね」

と、結んでいます。

そういえば、私はゲーム業界で働いていたことがあって、
プログラマやプランナーについての話も聞いてました。
ある程度プロジェクトが大きくなってからの採用だと、
採用された担当者は、「バトルエフェクトのこの部分の
プログラミングのみ」とか、「バトルフィールド
ここの部分のドット絵担当」とか、やたら細かい部分
のみを担当させられてました。
出来上がってしまえば売り上げは大きなものでしたし、
その担当者はその後のボーナスも「こんなにもらえるのか」
と大喜びでした。が、システムの基幹部分を任される
のではないのですよね。

業務の担当割り振りを経験してみるとわかると思いますが、
「そんなに重要ではない」「けど要らない訳ではない」
「その割には業務量が冗長になりすぎる」
というようなパートが結構な割合として出てきます。
特に大型案件を受任すると、業務量全体としても
それなりに巨大化しますから、そういう部分は
切り離したくなります。

まあどこでもそうですが、大手企業に入ると、
下っ端はそういう仕事を率先して割り当てられますよね。
本来、マネージメントではそういう部分をいかに
縮小するかというのが腕の見せ所ですが、
実際は報酬もそれなりに出ますし、
頭数をそろえてそこにぶん投げればいいんじゃない?
という方向に走りがちです。

さて特許事務所はいかがでしょうか?
というと、バルクの大きい雑用だけ割り当てられる、
という話は特に聞かないですが、業務を細分化して、
ここだけやって。という割り当てにはなりがちです。
担当範囲を縮小すると、業務に慣れるまで
早いですからね。その狭い範囲の仕事だけでも
それなりの業務量が確保されています。

そこの部分のスペシャリストになればいいですが、
どうですかね。ただ漫然と毎日それを処理しているだけ
という方向になりがちではないですかね。
もちろん大手といっても業務分担の方針は
事務所ごとですので一概なことは言えませんが。

じゃあ小さければいいのかというと、
大手でもないのに一丁前に細分化したがる
特許事務所もあります。
はっきりしているのが、数年たっても
明細書しか書かせない特許事務所はまず駄目ですね。
いろんなことを経験しないと大局観的なことは
身につかないのではないかなと思っています。