さあ、短答試験も終わっていよいよ論文試験に向かう中、
気持ちをくじくような記事がさっそく来ましたよ。
まあでも皆さん、なんとなくそんな気はしていますよね。
今弁理士・特許技術者は人材が取れないとあちこちから
声がかかってきています。求人事情は応募者側すると
好ましい状況にあるといえるでしょう。
しかし応募者サイドから見るとどれも似たり寄ったりですよね。
皆さんにとって関心があるのは、入った後待遇は上がっていくの?
というその一点だと思われます。そしてその先行きは暗いです。
もちろん実力主義ですから、ものすごく実力のある人は別です。
ものすごく素晴らしい明細書を、非常に効率的に書けて、
顧客の意向を見事にくみ取るようなすばらしい弁理士は
どんどん待遇が上がっていくでしょうね。
しかし、皆さんはそのような素晴らしい人材なのでしょうか?
試験に受かっただけではただの人ですよ。
まあ大方の弁理士試験合格者は平凡な方だと思います。
平凡というのは、有名大学を出て、温厚従順に与えられた職務に忠実で、
弁理士試験に受かる学力相応の技術理解力と、英語力がある、
そういう意味です。この辺はまあ当然ですよね。
文系弁理士の方であればTOEIC 800点くらいがスタートラインです。
もちろん、この水準に満たなくても就職はできます。
そもそも弁理士資格というのは、ドロップアウトのための
救済資格ですから、このままだと食えなくなる可能性が高かったところ、
弁理士資格を得て就職したおかげで、多少は食える生活はできるだろう、
という見通しはあると思います。
そういう方にとって弁理士資格はお勧めできます。
このブログで言ってきた、「この資格は一応食っていけるよ」
というのは、このレベルのことを言っています。
なんだか一部のものすごくブイブイ言わせている世界の方と
肩を並べるほどに稼げるかのような錯覚をしている方がいたりしますが、
それは何かに騙されてますよ、ということは申し上げます。
弁理士が稼げた時代、というのは、弁理士取得=独立開業、だった時代です。
そんな時代に弁理士を自分の特許事務所に引き留めるのだから、
それなりの待遇を保証しなければなりません。
大量合格時代の到来とともに、勤務弁理士が一般的になりました。
そして弁理士資格を取得しても企業を辞めない方が多数派になりました。
なのですから、弁理士資格を取得したところで、特許事務所も
特別待遇などしません。なんにも優遇していないのに、
なぜか弁理士比率が上がってきた、という特許事務所も多いでしょう。
それでも弁理士の受任案件の単価が上がっていくようなら
話は別でしょうけど、単価は下がったまま据え置きです。
それでいて案件数は増えました。品質はいろいろ要望します。
その結果、時給換算だと別に給料上がってないね、というのが近年の状況です。
要するに、今の状況は安月給でしっかり働いてくれる人いないかなあ、
とそういう求人がほとんどなのです。
もうちょっと業界全体で、安い仕事は蹴るような状況が生まれてくれれば
ある程度改善の目もあるのでしょうが、しわ寄せを末端に押し付ける
悪弊は何も変わっていないようです。それじゃあ人手も足りないでしょう。