なぜ特許事務所は価格と品質でしか競争できないのか
え、価格と品質だけじゃないの?と思った弁理士の方も多いと思います。
実際のところ、品質で勝負できているならまあそれはそれでよいと思います。
けどもういまやマーケティングの時代に入っており、マーケティングを考えず、
品質と価格だけの商売というのは他業界では結構厳しくなっています。
価格競争はもちろん、品質については特許明細書の品質ってのは
競争力がありそうで一定水準を超えればそんなにはないですよね。
まあソリューションの提供で勝負するというのが求められているのだと思います。
なぜソリューションを提供できないかというと、大手企業からの依頼が
仕事の中心になっているからです。大手企業は自前の知財を持っており、
問題解決というのは基本的に自前でやります。
ソリューションというのはやっぱり情報がないと難しく、
自社の技術経営情報はどうしても知財が集める立場にあり、
情報のない特許事務所が下請け的な立場に甘んじるのは
必然的に避けられないとも言えます。
いい明細書を効率良く作成するということに生きがいを
感じる人も多いと聞きます。それはそれで素晴らしいことだと思いますが、
そうでない価値観の人も多いと聞きます。
一方でそして営業先として大手以外を求めるのであれば、
明細書の品質は判断基準になりにくいのですが、
だからと言って価格だけで決めるものでもないはずです。
どういう提案ができて、どういう共感を提供できるか、
という部分が特許事務所にとって別の戦場であるとも思います。
営業活動と言っても、あいつはいい奴だからなあなんてのが
通用した時代はとうに終わっており、情報なり提案がないと、
顧客としては社内的にここが良いですとは言いにくいと思うのですね。
自分としても新しい価値観を打ち出していきたいのですが、
道半ばというところですが、あまり価格ばかりを前に出すのではなく、
どんな価値を提供できるのかを掘り下げていく時代に入っていると思います。