弁理士うめざわブログ

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平成29年度役員定時選挙、2016年弁理士会会長選挙の開票結果

平成29年度役員定時選挙、実際は会長選挙以外は
無投票当選なので、2016年弁理士会会長選挙なのですが、
結果が以下の通り出ました。

永井義久 2657票
渡邉敬介 3181票
無効票    3票
白票    64票

合計   5905票
投票率  52.7%

日本弁理士クラブ推薦の渡邉敬介候補が当選ということになります。

開票前に要らんこと書くと倫理規定上色んな問題が
生じる可能性があることから何もいえないのですが、
これでいろんなことを書くことができます。
といっても大したネタがあるわけでもないですし、
世間的な関心もないのでしょうけど。

思ったよりも差が詰まったなあというのは、
事実上唯一の争点となった知財キャラバンに
対する風当たりがあったということでしょうか。
まああまりうまくいきそうな話でもないので、
うまいこと話を収めていって欲しいものです。

それでも基礎票の差を覆す状況は感じられませんでしたし、
結構世の中の人は浮動票の力を過信しがちですが、
特に首長選挙というのは団体戦になります。

選挙分析をする場合、地方自治体の選挙が参考になります。
例えば会長選挙は市長選、副会長選挙は市議会選に
当てはめればちょうど合うように思います。
制度上は常議員が市議に相当するのでしょうが、
議員数得票数立候補者数などを照らし合わせると
副会長の方が近いですね。

市議会議員は徒手空拳で立候補して、一生懸命
選挙運動をすれば何の後ろ盾がなくても当選したりします。
フレッシュな候補だとトップ当選したりします。
それで勘違いして自分は支持を得ていると
強気の議会活動をするも体制の壁に跳ね返されます。
トップ当選を頼りに今度は市長選とか区長選に挑みますが、
相手の組織票に跳ね返されるというのは何度も
繰り返されている風景です。

首長選では、基本的には与党候補与野党相乗り候補
圧倒的に有利です。浮動票を集めれば議会選は勝てますが、
首長選を勝ち抜くことは困難です。

それでも挑戦者側が勝ちあがったりする場合もありますが、
それは与党候補が支持者団体の中で支持を得ていない
ような場合です。与党支持者の中からさえ、今回はあんたに
投票できないよなんて声が上がったりします。
そうやって与党候補の票が切り崩されると、
挑戦者側に有利な状況が生まれてきます。
与党候補は支持者の票を固めさえすれば選挙は勝てるのです。
挑戦者は逆に、基本的に敵失待ちなのですね。
敵を分断しないと勝つことはできません。

あえて言うなら、選挙の争点を打ち出したのが選挙開始前、
というのが遅すぎたと思います。
公職選挙法に準じているから選挙運動は選挙期間内で
ないといけないのですが、公職選挙法に則るなら、
政治運動はそれ以前からやってもいいわけです。
知財キャラバンに異議あり、というのはもっと早くから
打ち出してもいい訳です。そうすれば争点の浸透が進みます。

ワンイッシュー選挙、というのは確かにあるのですが、
政策を提唱する側が一貫して主張してきた、という
信頼性が大事です。そうでないと浸透しません。
知財キャラバンけしからん、などという話は春先には
全く聞かなかったですからね。
まあそういう議論があったらあったで思わぬ方向に進み、
選挙しづらい状況が生まれていた可能性もあります。
それを懸念したとしたら今回の争点は所詮その程度の話だった、
ということでしかないということになります。

まあ選挙戦略なんてのは、市長選あたりでかなり分析が進んで
いると思うので、ある程度過去のパターンに当てはめれば
数字の読みや戦略の構築というものはできるかな
と思っています。その意味では弁理士会会長選挙というのは
まだまだ前近代的なので、それゆえまあこうなるよね、
という結果しか出てきていません。

まあ挑戦者側もちゃんと勝てる戦略を立てて挑まないと、
皆さん負担になるだけなんじゃないかと思います。
選挙運動なんて何にも生産的な話ではないですからね。
そんな開票結果に対する感想でした。