米国特許権利化で代理人にぼったくられるのは自慢できる話ではない
外国特許出願の費用は、国内費用だけでなく、
外国費用も掛かるのが外国案件の特殊な部分です。その中でも
案外難易度が高いのがアメリカの代理人費用の部分です。
日本企業としては、米国で特許をぜひとも取得したいわけですが、
弁理士というか、米国特許弁護士の数は、かつては限られており、
泣く泣く高い代理人費用を貢ぎ続けてきたという時代があります。
けどそれも結構昔の話でして、米国代理人も競争の時代に入っております。
米国特許弁護士と話をしても、取引を切られたりして、
今は厳しくなった、という話を聞くことがあります。
営業活動の点からも今は楽ではないようです。
こういう状況ですから、ちゃんと探せばそれなりにちゃんとした代理人と、
比較的まともな価格で契約をすることはそんなに難しい話ではありません。
また、日本の特許実務家がアメリカにわたり、対日担当を勤めている
という特許事務所もいくつかあったりします。
そのためには何が必要かというと、米国に渡って対話をし、
大したレベルではないですが一応交渉をするというフェーズが生じます。
しかし、外国案件を得意とします、なんて特許事務所でも
そういうのはやりません、なんてのが結構多いのですね。
あとはまあ、人を見て話して、一応信用してみる、という
部分も必要になってきます。人の紹介とか評判がないと嫌だ、
という方も結構多かったりしますが、そういうのって
案外頼りにはならず、自分の直感の方が信用できると思っています。
今メインの取引先とは、取引がないときに自分の勘でこの人は
行けるだろうと思った方ですが、取引してみて、思った以上に
意思疎通が的確であり、しかもなんだか安い、となっています。
現状はそうですが、人間ですからなんだかうまく運ばない、
というケースも当然あり得ます。
そういう場合はきちんと交渉しなくてはいけません。
現在の取引先とはお金でもめたことはないですが、
過去の勤務先では現地にクレームをつけたりという交渉はありました。
顧客の費用は現地費用込でなのですから、
現地費用を引き下げるのは国内代理人の仕事です。
顧客指定でなければ、代理人の選任もこちらの仕事
ですから、ぼったくられてしまうというのは、
単にこちらの能力が低い、又は、仕事でミスをしている、
という状態に等しい訳です。自力で挽回しなければなりません。
以上が自分の認識なのですが、なぜか、この業界では
自分をあたかも業界通のようにドヤりながら、
「米国の代理人は非常に高くふっかけてくるのでね」
などと上から言う人が意外といるのです。
例えばこちらからの詳細なコメントを単にコピペした
だけなのに、それで3000ドルも請求された、
とかそういう話は時々出てくるのです。
そういうことは起こり得るでしょうし、現地への不満として
出てくることは会話の中ではあり得る話です。
ただそれは事情通なのではなく、単になめられただけです。
当然そういう話に対しては、例えば1000ドル程度が妥当なのだから、
その程度に下げるべきだと通知します。
そのためには1000ドル程度、という相場観を持っておく必要があります。
それで文句を言ってきた場合は代理人を変更します。
場合によっては中途変更も辞さないです。
代理人変更が脅しになるのは、当然継続的な取引関係が
あることが前提になります。年1-2件のスポット発注では
特に大手法律事務所に対しては全く効きません。
相手の規模と取引量などから勘案して、
ちゃんと交渉できる相手を最初から選んでおく、
ということも必要となってくるでしょう。
などと、こっちもこっちで事情通ぶって話をしましたが、
そういう話をする時ほど、謙虚さも必要かと思っています。
吹かし気味に話す人が事情を知っているとは限りません。