弁理士うめざわブログ

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ブラック特許事務所へ行った知人

転職活動というのはあまり人に相談するということも多くはありません。
自分だけで情報収集をして、自分の決断で全てを決めてしまう
というのが一般的なプロセスでしょう。
ですので、案外ネットで情報収集をして、転職先を決める、
というのは珍しくありません。

ネットで情報収集をすると、あそこはどうやらブラック特許事務所
らしい、という情報が入ります。ご安心ください。
その情報はおそらく正確であろうと思われます。
そういう噂に外れは少ないでしょうね。

ではあそこはホワイトらしいという情報が出回ることも
あったりします。その情報は正しいのでしょうか?
残念ながら。その情報はガセですね。
ネットでホワイトと情報が広まった特許事務所が
ホワイトであったというためしはありません。
具体的な名前は控えておきますが。
ホワイト情報というのはほぼネットには出てきません。
ネットに名前が出たら、そこがホワイトな可能性は排除してください。

さて、私が過去に所属していた特許事務所では、
それなりに人の出入りがあったりもしたものですから、
どこに転職したのか、転職先はどうか、という情報を
得ることもあったりします。大体は案外うまくいっている、
という話を聞きます。その後転々としたという話を聞かないので。

ただ、その転職先の中に、漆黒の闇のようなダークサイドと
誉れの高いと聞いていた特許事務所の名前があったことがあります。
私の情報筋によると、関東を代表する名だたるブラック特許事務所です。
星の数ほどある都内の特許事務所の中で、そこを引かなくても、
と本人に言いましたが、そこに決まったし、という話でした。

たまたまですが、そこのOBである弁理士を私は複数名
知っていましたので、その旨をそのOBたちに話をしました。
彼らは一様に遠い目をして、苦い顔をし、「健闘を祈る」
と述べました。現在はいずれも新天地で順調な日々を
送っているようです。

それからだいぶしてからその方と飲みに行ったのですが、
さすがに辞めたいと申しておりました。
過剰な業務量を割り当てられたりするようなのですね。
営業熱心で仕事は取ってくるのですが、
肝心のスタッフがやめてしまうのです。
そのしわ寄せが来るという悪循環です。
そして案件処理量の割には待遇もよくない。ありがちな話です。

そこの所長は定着率が低いのを嘆き、「うちブラックなのかなあ」
などと弱音を吐いたそうです。その方は「そんなことないよ」
とフォローをしたとのことでした。

更にその後、どうなったかと思いきや、話を聞いてみると、
「慣れた」と申しておりました。まあ大変だけどこんなもんかな、と。
結構ブラック特許事務所にありがちなのですが、
経験者で入ってうまく業務内容に収まってしまうと、
上手いこと自分の居場所を確保して、「自分にとっては
ブラックじゃない」ということがあったりします。
もちろんそれは、みんながみんなそうなるわけではなく、
妙にバランスが良いところにはまり込んでしまっただけで、
通常はそこに収まらずに脱落するのですが、
「自分にとってはブラックじゃない」という状況が生まれたりします。

それは働く当人としてはラッキーであったといえるのですが、
その話を聞いて、「ブラックではないんだ」というのは
危険な状況であるといえるでしょう。
別のブラック特許事務所にも別の知人がいたりするのですが、
その方も、「別にブラックではないよ」と申しております。

まあ結局は自分との相性や、めぐりあわせにもよる、
という側面があります。と同時に、複数情報を照らし合わせないと
なかなか情報分析も正確にはならないという面もあります。

まあブラックはブラックで楽しい面もありますので、
そういう人生を楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。
という雑な締め方としたいと思います。