弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許事務所の現在の勤務環境とは

2019年現在私は特許事務所を運営しており、独立開業している訳で、
特許事務所に勤務している状況からは遠ざかっておりますが、
特許事務所での採用は難しくなっている、という話を聞きます。
優秀な弁理士、特許技術者を採用しにくくなっているようです。

ただまあ聞く限り、優秀な経験者をって話なので、
未経験者とか、経験の浅い方に関してはよく分からないです。
裏を返すと優秀な段階に到達に達した実務者には
転職先がいくらでもある状況になっています。

こういう状況を応募する側に立つか、採用側に立つかで
見方は180度変わる訳ですけど、採用側に立って、
いい人いないかと言う声はよく聞かれ、優秀な人材に
わが知財業界はもっと来てもらえるようにならないと、
と言うことを言う人もいます。

ただ、個別の特許事務所で優秀な人材確保が進むのは、
その特許事務所にとって好ましい状況であるのは
間違いないですが、業界全体として人材が流入して
くるのはどうなのかというと、あんまり好ましい感じがしません。

業界全体として特許出願件数は減ってきています。
それ以上に人材確保が減っているので、業界内で
仕事が潤沢に回っており、景気が良いという側面があります。
そんなに人を入れてどうするの?と言う気はしています。

リーマンショック以降、業界に本当の冬の時代が来たなあと
思いました。このブログはそのことの世界観をベースに
書かれているものであるので、今の業界の好景気には
ちょっと馴染まない感じも出てきました。
リーマンショックと言うのは、仕事量の減少もさることながら、
知財バブルの人材流入のピークでもあったので、
そこで氷河期感が強まったように思っています。

前から書いている通り、この業界にそんなに人が来るのを
あんまりよいとは思っていません。ただし、入ってくるなら、
仲間として何とか生き延びていけるよう頑張ろう、
という気持ちは持っています。

そんな景気のよい中、待遇がそこまで上がったとは聞かないのは、
特許事務所の経営力の問題もあるかなあと言う気がします。
単価を上げる、工数を落とす、と言うことをやっていかないと、
弁理士、特許技術者の待遇改善にはつながっていきません。
今はまだ企業知財と特許事務所、弁理士としてどちらに勤めるか?
と言う場合、企業知財を選択する人が多いです。
弁理士試験易化前は企業は辞めるのが普通でした。
企業を辞めるのが当たり前になって初めて景気が良い状況
と言えるようになるのでしょう。今はその段階になっていないと思います。

ただ弁理士業界として、ある程度の経験段階に到達すれば
食いっぱぐれが少ないというのは本当に良いことだと思います。
なんだんかんだ明細書が書けて外国対応ができれば、
食うのには困りません。いくつになっても働き口はあります。
この仕事のいいとこはまさにその点ですよね。

まあ勤務環境は良いとは思いますが、まだまだ向上の余地は残されている、
景気がいいとまでは達していない感じはします。
リーマンショック前を知っているとそういう感じを持ってしまいます。