弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

弁理士試験に合格して人生が変わる人と変わらない人

弁理士試験に受かることでなにかいいことがあるのか?
については色んな議論があるのですが、これははっきり言って
その人の立場によります。まず最初に弁理士試験に受かっても
そんなに人生が変わらない人の例として、

1.大手企業知財部を有し、資格を重視しない会社
2.大手特許事務所でひたすら明細書を書く人
3.資格は取ったとしてもキャリア的に転職のハードルが高い人

こうした人は確かに人生変わらないかもしれないですし、
本人自身もそういうことを言っているケースは少なくありません。
ただそれでも、実際に何の影響もないかというとそんなこともなく、

1.企業の場合、それ単独で昇進の理由にならないとしても、
加点要因には間違いなくなります。その結果昇進したら
人生が変わったことになるでしょう。

2.資格を取ってもその特許事務所にいる限りにおいて、
資格手当が出るだけだとしても、この職業の性質として、
転職を考えることは十分にあります。
実務能力+資格は、実務能力単独より間違いなく価値があります。
転職を考えたくなったときに力を発揮しますし、
その分だけ人事上も多少は考慮せざるを得なくなります。

3.過去のキャリアが低い(文系未経験など)の場合でも、
採用が0ということはありません。条件の悪い就職でも、
どこかに潜り込んで成り上がりたいなら、どこか就職はできます。
0からスタートする意気込みがあるなら資格の価値はあります。

こんな風に、資格の価値が評価されない職場であっても、
ある程度評価も見込みがあるのですから、
それ以外の職場ではもちろん評価は高く、人生が変わることが
あるでしょう。

1.小さめの知財部など、弁理士資格が評価される環境
2.弁理士数が少なく、パートナー参画の可能性が高い特許事務所
3.まだ知財業務についておらず、これから転職をする人

ざっくりいって、小さい職場や、対応する知財レベルが
高くないクライアント業務に対応する場合、弁理士資格は生きてきます。
転職の場合も、経験や年齢が重視されるとはいえ、未経験者の場合、
ないよりはあった方が評価の対象になりやすいことは間違いありません。

私自身は独立している関係上弁理士資格は必須なわけですが、
顧客の知財レベルははっきり言って高くはありません。
基本的にこちらに聞かないと知財的対応については
分かりません、というお客様ばかりです。
こういう環境だと、弁理士資格は専門家としての評価になります。

まわりが実務家ばかりだと明細書の品質チェックとか、
資格以外の評価が強まりますが、世のなか知財の知識がある人
の方が少数派ですので、知財初めてですの多くの人の中では、
弁理士資格は意味を持つことが多いように思います。

そんな風に弁理士資格が生きてくるかどうかは環境次第ですので、
弁理士資格を取得した後は、どんな環境に身を臆かも重要です。
そんな気持ちで弁理士を目指していくのも良いのではないでしょうか。