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リツイート(RT)に代えてのスクリーンショットは著作権侵害

表題の判決が発信者情報開示請求事件として出ました。
リツイート(RT)に代えてのスクリーンショット
ツイートに、該当するツイートの画像を張り付けて、
画像だけあるいは自分の反論意見を載せてツイートすることは
著作権侵害ですよ、というのが、発信者情報開示請求事件
の判決の中で出ました。

概要は短いので原文を当った方がいいのでリンク先を張るとともに、
簡単に裁判所の判断を抜粋しました。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/826/090826_hanrei.pdf

争点1
IPアドレスがどうのとかはあまり重要でもないので除外。

争点2-1
ツイートの著作物性、まあ普通に考えて著作物なので除外

争点2-2 引用の成否について
著作権法32条は著作物を張り付けるのであっても、
所定の引用の要件を満たす場合には著作権侵害にならない
と規定しています。この引用の要件で争われるケースが多いですね。

ア 認定事実
スクリーンショットしてツイートしたという話です。

イ 引用の成否について(以下が抜粋です)

他人の著作物は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,
研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われる場合には,これを引用し
て利用することができる(著作権法32条1項)。

これを本件についてみると,前記認定事実によれば,本件各投稿は,いず
れも原告各投稿のスクリーンショットを画像として添付しているところ,証
拠(甲10)及び弁論の全趣旨によれば,ツイッターの規約は,ツイッター
上のコンテンツの複製,修正,これに基づく二次的著作物の作成,配信等を
する場合には,ツイッターが提供するインターフェース及び手順を使用しな
ければならない旨規定し,ツイッターは,他人のコンテンツを引用する手順
として,引用ツイートという方法を設けていることが認められる。そうする
と,本件各投稿は,上記規約の規定にかかわらず,上記手順を使用すること
なく,スクリーンショットの方法で原告各投稿を複製した上ツイッターに掲
載していることが認められる。そのため,本件各投稿は,上記規約に違反す
るものと認めるのが相当であり,本件各投稿において原告各投稿を引用して
利用することが,公正な慣行に合致するものと認めることはできない。

また,前記認定事実によれば,本件各投稿と,これに占める原告各投稿の
スクリーンショット画像を比較すると,スクリーンショット画像が量的にも
質的にも,明らかに主たる部分を構成するといえるから,これを引用するこ
とが,引用の目的上正当な範囲内であると認めることもできない。

したがって,原告各投稿をスクリーンショット画像でそのまま複製しツイ
ッターに掲載することは,著作権法32条1項に規定する引用の要件を充足
しないというべきである。
これに対し,被告は,引用に該当する可能性がある旨指摘するものの,そ
の主張の内容は具体的には明らかではなく,本件各投稿の目的との関係でス
クリーンショット画像を掲載しなければならないような事情その他の上記
要件に該当する事実を具体的に主張立証するものではない。そうすると,被
告の主張は,上記判断を左右するものとはいえない。したがって,被告の主
張は,採用することができない。

(この後は補足的な話が続いていきます)


自分の考え

大体自分の考えの通りです。

何か言いたいなら引用リツイートしろよってのが裁判官の判断です。
一方スクショにするのはツイ消しされる可能性があるからですね。
また、リツイート数が増えることに不愉快な人もいるでしょう。

ただ著作権にかかる権利は元ツイートのアカウントに帰属するので
その自由処分権に逆らうなら、やっぱり引用関係もより明確にする
必要があるでしょうね。著作権32条が争点なので、引用関係の
明確さが変化する限りにおいてはまた違った判決にも
なってくるでしょう。

もっともツイッターの特色というのはリアルタイム性にあり、
タイムラインを追うごとにどんどん消えていく点にあります。
ということから、より明確な著作権侵害であっても
特に問題となることなくどんどん流れて消えていきます。
あとまあ知的財産権侵害全般に言えることですが、
このような個人レベルの事件で損害賠償請求権というのは
ほとんど考えにくいので差し止めが問題になり、
言われたら消す、というレベルでほとんど問題ありません。

なのですが、最近増えている、発信者情報開示請求の中で、
こういう文脈は増えてくるでしょうね。
まあうらまれるようなレスバはしないってことです。