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新宿西口の国際特許事務所の弁理士うめざわの特許業界事情ブログ

新宿西口で特許出願・商標登録を代理する弁理士が、特許事務所、弁理士試験について語るブログ、特許事務所で中小ベンチャー企業や個人事業者を中心に受ける弁理士が、企業や特許事務所勤務の経験に基づく、特許知的財産業界の様々な話を展開します

特許業界の採用状況の変化について

最近特許業界の人材採用が一頃に比べて難しくなったとか
そういう話を聞きます。
といっても、要するに一時期知財業界に来ている仕事の量
に対して応募者が殺到しすぎていただけの話で、
それが多少戻りつつあると言うだけの話です。
弁理士試験が難しくなりつつあると言うが、昔よりは簡単だと言う
そういう人はいるんですが、知財業界の採用が昔に比べれば
今でもはるかにしやすい、と言う人はいないんですね。

採用担当の人の業界歴が浅いのか、単に昔のことは忘れてしまったのか。
10年も前に特に他より待遇が良いわけでもない特許事務所が
「35歳以下、理系大卒、実務経験者、弁理士有資格」という求人を出せば
何をそんな世迷いごとを言っているのと思われていた頃とは隔世の感です。

私がこの業界に入る前の20年以上前になると、
もう弁理士資格があればそれで就職は決まっていたんですよね。
例えば50代、文系、未経験、英語も苦手です、という状況でも。
それからぐっと知的財産の仕事が脚光を浴び、人が集まり、
採用が厳選されるようになって、それが当たり前のようになって来ました。
これから弁理士試験の合格者数は減るといわれていますが、
それでも累積の弁理士登録者数は1万人を超えています。
少なくともこれが減っていくわけではありません。
弁理士数が5000人に満たなかった頃には少なくとも戻りません。

何で戻りつつあるかと言っても、「実は待遇がいいらしい」
ということで人気化したわけですから、そうでもないことが分かったら
人は去っていきますよね。それは他の難関資格でも同じのようです。

つまり1つは資格職に対する認識の変化です。
話を聞く限り、弁理士だけではなく、他の資格職でも
採用は昔のようではないようです。
難関資格に受かってしまえば、高収入で独立開業、
という話をもう信じる人は減ってきました。
いい生活が待っていると思うから、苦難に耐えて勉強するわけです。
ただでさえ社会人になって時間の捻出は難しい、
そして試験浪人に対する世間の目は昔より厳しく、
社会全体の保守化傾向があります。
こういう方面を目指す人が減りつつあるということです。

そもそも特許業務というのは日陰者です。
理系なら研究開発を目指すべきであって、まず知財というのは
方向性が違うわけで、インセンティブがあるから
目指す人が増えたのでしょう。
インセンティブが下がれば魅力は当然下がります。
といっても、昔に戻るわけではありません。

もう1つは若年人口の減少です。少子化、というと将来のリスクの
ように思われていますが、20代前半人口は、団塊ジュニア
40代前半人口の6割程度です。
単純に数が6割になるのではなく、人気職、エリート職、安定職は
今まで通り採用して行きます。その残りが潜在応募者になるので、
実際は3割程度まで下がるでしょうし、フリータークラスになると
もうほとんど採用は困難なんじゃないでしょうか。
すき家の事件はそんな中で起こった話で、雇用条件そのものの
悪さというよりも、人が採用できず、既存のスタッフでまわすことが
出来ないにもかかわらずそれを無視して現場の負荷をかける経営層、
という仕組みの中で起こったというのが私の理解です。
ベースの話としては、若年層雇用の困難化の一環でしょう。
特許業界に来るのは余剰人員です。
若年余剰人員が減っているのだから、採用が困難なのは当然です。
データを見ている限り、35歳以上と以下では世界が違うようですが、
35歳以下で切っている限り応募は少ないんじゃないかと思います。

最後に社会全体の保守化、安定化傾向です。
要するに大手に行こうという傾向が増えています。
特許事務所でも行くなら大手です。
成功してやる、というより生活を安定させたい人が増えています。
そんな中でわざわざ特許事務所に行くかというと、
選択肢としては有力ではなくなっていきます。

それでも昔よりは人気職であることは間違いはありません。
ただ強気の求人条件を出しておいて人が取れないというのは
世の中の変化が見えてないなあと思うのです。
世の中の変化が見えている弁理士というのも希少ですが。