弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

ブログというのは正直飽きる

この弁理士ブログをはじめてどれくらいたつのか。
もう3年くらいかと思いますが、やっていると基本的に飽きますね。
不特定多数に向けた文章発信というのは自己承認欲求とか、
あとは、これを発信することによる影響とか、そういうものへの
好奇心が原動力になるのですが、だいたい2年くらいやると
一通りのことは書いてしまっています。

情報としてはもちろん出していないものもありますし、
時事的なものをタイミングよく出すことで違った趣に
なったりもするのですが、リアクションという意味では
もう大体同じようなものになってきます。

特許の明細書なんかも、そりゃ書くものは毎回違うものには
なりましょうけど、でもぶっちゃけ全部同じですよね。
同じもの書いてて飽きないかっていうと、
あんなもの書いてたら大体飽きると思います。
そういう感じの飽き加減がブログについてもあります。

だからそんな中で何年もブログを続けている人
っていうのは、発信による目的がある場合がほとんどです。
開業弁理士ならブログはブランディングツールになりますし、
本を出版されるなら告知手段になりますね。
それ以外の人は動機がないと、どんどん単なる作業に
なっていきますから、1年くらいすれば段々更新されなく
なっていく、という繰り返しになっていきます。
終ってしまった弁理士ブログは結構ありますね。

…そんなこと書いてても仕方ないじゃないかというのは
あるのですが、ちょっと間が空いてしまったので、
つなぎの内容でなんとなく書いてみました。

うれしいとうれしくないの境界線

ほめられるとうれしいこともありますが、その内容しだいでは
微妙なことってありますよね。その境界線ってどの辺にあるんでしょう。

例えば人から容姿を誉められるとします。美人ですねとか、
格好いいですね、イケメンですね、といわれて嬉しいかというと、
素直に受け止めて嬉しがることもあるでしょうけど、
何急にそんなこと言い出してとか、何か裏があるんじゃないかとか、
そう思うことの方が多いはずで、そういう拒絶理由通知が来るわけです。

これに対して、その髪形いいですねとか、洋服を誉めるとか、
相手を全肯定するというよりも、局所的に誉める方が受け入れやすいです。
請求の範囲を減縮すると拒絶理由を解消しやすくなりますね。

若しくは、「久々に会ってびっくりした」とか
「今まで言う機会がなかった」とか理由付けをすることも考えられます。
そういう意見書を提出することで主張が通る場合もあります。

こんな風に賞賛をするときには一部限定をするという技法を使うのですが、
ここで例えば「美人ですね」の代わりに「雰囲気美人ですね」とか
「一見美人ですね」とか「「わずかに美人ですね」とか
そんな限定をした場合はどんな感じなんでしょうか。

誉めているのかというと誉めているのでしょうけど、
いややっぱ誉めているのか?と多少疑問な感じはします。
言われた方は何か微妙な気持ちになりそうですね。
自分はやりませんが、誰かどんなリアクションが帰ってくるか
試してみてください。

ただこれ、仲がいい同士だと、リアクションはしやすいですね。
「雰囲気だけかよ」「一見かよ」「わずかにかよ」と、
いいツッコミができそうです。全肯定な賞賛って反応しにくいんですよね。
こう考えるとあんまり誉めてない感じがします。

当然ですが、権利範囲を減縮する場合には、製品の実施範囲を
カバーする必要があります。
「新しい髪型素敵ですね」「特に変えてません」とか、
色黒の人に「美白ですね」とかは、その後微妙な空気が流れますね。

こんな風に人を誉めるにしても適切な権利範囲があるのですね。

中間処理を日常に絡めて何かいい話題ができないかと
適当なことを考えてみましたが、何もオチが見つからなかったので、
思いついた話を適当に並べてみました。

出願人のためのブラジル特許制度、献本を受けました

本書は、日本語によるブラジル特許制度の本格的解説書です。
というのが帯の文章です。
一昔前だと欧米出願でさえ解説書はなかったくらいでした。
さすがにアメリカヨーロッパ中国については拡充されて
きましたが、近年ではグローバル化の進展が非常に速く、
これら以外の国の解説書は望むべくもありませんでした。
そんな中「出願人のためのブラジル特許制度」の
本の出版とのお話で、献本を受けました。

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↑ 単なる画像です。アフィやってないのでリンクしていません。

元はと言うと、研修対応委員会でブラジル特許も扱いたい、
との話が出て、それでブラジルの弁理士の方をお呼びして
研修を行ったという経緯があります。
自分はお呼びして開催しただけなのですが、
必要としている方にはきわめて希少な機会であることから、
感謝をいただくという次第となりました。
別の頼まれごともしていたのですが、ちょっとそれは
難しいとお断りしたので、とりあえずブログで紹介します。

ひらめきは特許になりません

あなたの大切なひらめきを特許として大事に保護しましょうとか、
そんなキャッチフレーズをうたう特許事務所があったりします。

でも実際ひらめきをひらめいたまま持ってこられても困る
というのが本音です。ピコーンといいアイデアがひらめいた!
特許だ!と思ってしまう方が世の中案外いらっしゃることに
独立してから結構意外だなと思ってしまうのですが、
吉藤先生の特許法概説にもありますように、
発明は、着想と具現化の2つの段階を経て完成するものです。

イデアをひらめくことはとても素晴らしいことなのですが、
ひらめいたアイデアを、製品にどう実装するかという
検討過程もまた重要となります。
実際に製品を作るとこまでは必要ないですが、
イデアを具体化するためのプロセスが必要です。
その具体的内容が「発明の実施の形態」というもので、
具体的態様を特許明細書に明らかにする必要があります。
ここを弁理士としては記載しなければならないので、
ある程度明確にしてもらえないと特許の文章を
記載することができません。

ついでにいうと、今ひらめいたみたいなものは
大体誰か別の人が飛ひらめいたことがあるはずなんです。
独自性というのは、ひらめいたものを丹念に
掘り下げていく中で発揮されていくものです。
ひらめきに価値はありませんが、
掘り下げに価値があると思います。
特許法だって本来実施化事業化コストの投資保護ですから。

ただ依頼人の方がそういう感じなのは仕方ありません。
彼らは事業家であり、開発者です。特許を取得するために
どの程度までアイデアの輪郭をはっきりさせておくべきか、
については弁理士側で把握すべき事項でしょう。
特許になじみのない方を対象とする弁理士にとっては、
その辺を繰り返し説明していくことが求められます。

そういう訳ですので、依頼人はいいのですが、
特許事務所のサイトで、あなたのひらめきを大事にします
とかそういうキャッチフレーズを掲げるものが
世の中案外多くてですね、それは弁理士として
どうなんですかと思う次第なのであります。

多分大手のクライアントしか相手にしてないから
その辺の実情を把握していないのだろうと思われます。
というよりもウェブサイト業者に丸投げだから
そう言う感じになるのでしょう。

我々がクライアントに貢献できるとしたら
それはどんな仕事であるのか。
その辺を掘り下げていくとどういうメッセージを
発するかというのも自ずと見えてくる話と考えます。
それはひらめきとかそんな話ではないかなぁと。

平成28年度弁理士論文試験、必須科目問題解答の公表

今年の弁理士試験短答式筆記試験問題及び解答(平成28年度-2016年)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/h28benrisi_ronten.htm

が公表になりました。

弁理士試験の試験時期は昔から毎年ほとんど変わることはなく、
今年も夏の始まるこの時期に行われました。
確かあの頃も暑い中試験会場に行った気がします。
今はというと、なんか急に暑くなった気がするのですが、
もう7月の弁理士試験、論文試験の時期だから時期相応なのですね。

選択科目がない人は、これでいったん一段落になります。
口述試験の練習もあるのですが、易化してきたようなので、
一頃のように戦々恐々とするようなものでもないでしょう。

さて今の試験はどのくらいのレベルなのか、と
問題を見てみるのですが、なんかどこかで見たような感じですね。
読み込んで答案構成までしてみる気力はないですが、
なんかこんな問題出たことあるような、見たことある気がします。
10年分くらいの過去問を追っていけば、どれか同じ問題が
あるのではないでしょうか。最近の論文はそんな感じです。

あと各法域で趣旨の問題がそれなりに出ています。
事例だけだと短答対策の勉強だけで試験に通ってしまったり
しますので、最低限青本は読んでますよね、
という問題を含めてくるのも定番です。

なんてことを、もう解く立場でもない自分は思ったのですが、
特許法が長文で、問題量が多い…という話が出ていて、
制限時間内で頭を整理して、量をこなせるのかと言われると、
なかなかきつい感じですね。短答試験だと問題の構成と量に
自ずと上限が出てくるので、時間が足りない、ということは
そんなにはないですが、論文はそうではないですね。

最近の感じだと、口述対策は8月から始めればいいのかな、
という感じですが、選択科目がある人はこれからが本番ですね。
今年も例年と同じ繰り返しの夏がやってきます。