弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

特許事務所では勤務時間中にビールを飲んではダメなのか

就業時間中にノンアルコールビールはダメ? 出勤停止になった30代女性に批判「職場に”飲んでる気分”の人がいることが問題」 | キャリコネニュース

勤務時間中にビールを飲んでいたのがばれて叱られた話が
ネットで話題になっていました。
世間的にはそれはけしからんと言う流れが多いようなのですが、
特許事務所的にはそれってどうなのか?
というのは若干考えるところです。

結論から言うと、飲みたければ飲めば、
でも効率落ちてもその後のことは知らんよ、
という職場が一番多いのではないでしょうか。
ちなみに独立前の職場はそんな感じでした。

あと勤務時間が、あってないような特許事務所が
多いですよね。飲み会があって、そのあと事務所に戻って
仕事とか言う人が時々いたりします。
それ仕事になるの?って話にもなったりしますが、
飲み会の後で事務所に戻っていったりしているようです。

パートタイムの人がそれなりにいたりすると、
飲み会よりもランチ会にしたいという声が所員から上がり、
所内の飲み会的な行事が、ランチ会に
置き換わることもあったりします。
そういうときに「ランチビール」というメニューがあったり
するのですが、そういうときにビールを飲むかが悩ましいですね。

過去の職場ではそれを戒めるような空気は特になく、
「よし、飲もうか」などと言ったりもしますが、
「うーん、自分はやめておく」という声が
いくつか出てきたりして、そんな中で自分だけ飲むのも
気が引けることから、結局飲まない感じになります。

特許事務所のルールというのは、大きな職場ではないから、
「みんながいいならそれでいいんじゃない?」
というものが多いような気がします。
その「みんながいい」にローカルルールが発達したり
するので、まあ発言権のある人次第になりますね。
古臭いとこだとうるさいらしいと聞いたりします。

あと、各人の売り上げの数字が見えやすいので、
自分のやることをやってたらいいよという空気感はあります。
そういう面で自分の役割を果たせている環境であれば、
それ以上はとやかく言われない環境も多いですし、だから
特許事務所は自分に合う、という方も多かったりします。

今はどうかと言うと、独立しているのだから好きな時に
好きなだけ飲めばいいのですが、日中飲むのはいろいろ
影響するので、結局勤務時代とそんなには変わりません。

勤務していたころと同じくらいの自由度、
勤務していたことと同じくらいの可処分所得、
よく見てみれば現在も以前と同様の、
海外案件の比率が多めの何でも屋的な仕事が多いです。

独立したからと言って何も変わらないなと思う今日この頃です。

弁理士の仕事って一般的にどういうものをいうのか

弁理士の仕事ってどんな仕事ですかと聞かれたとき、
一般的には特許を取る仕事ですよ、と答えることが多いと思います。
そして、特許明細書を書くことが主要業務と思われている感じがします。

なら明細書を書くことが弁理士の仕事なのかというと、
特許技術者って仕事もあるよねって話になります。
そうなると弁理士の専権性がという話も混ざって
ややこしくなったりもしますが、明細書書く仕事って
法律の仕事という観点から言うとちょっと遠い感じがしますよね。
そういう観点で見たときに、弁理士試験は弁理士業務に
役に立たない、という議論が出てくる余地があったりします。

弁理士・特許技術者の求人として最も多いものは明細書作成業務です。
そして、なんだかんだ言いながらも知財業務で最も人気が
あるのは、明細書作成業務のように思います。
自分は過去何件明細書を書いてきたのだ、ということが自慢だったり、
数をこなしてこなかった弁理士は半人前だ、とう主張が見られたりします。
ちなみにですが、外内業務の求人はなんだか苦戦している気がします。
明細書を書く仕事をやりたい、という人の方が多いのでしょう。

「明細書を書く仕事」を弁理士の仕事と見る向きは、とくに開発出身者
によく見られる傾向のような気がします。エンジニアにとって、
発明提案書を作成し、それを説明して特許にしてもらうのが
弁理士という職種の人との唯一の接点です。
そういう中から弁理士という職業のイメージを膨らませる傾向が
あるのかなと思ったりします。

ちなみに自分は知財部の出身ですので、知財業務=明細書作成
という視点にはやっぱり違和感があります。
知財部出身の人は明細書に短絡させる人は少ないのかなと思われます。
知財の人間にとって、明細書作成というのは、開発から上がってきた原稿を、
外部の特許事務所に引き合わせる行為でしかなく、
多岐にわたる知財業務の中のほんの一部でしかありません。
こんな風に、知財業務といっても人によって見方は違います。

で、弁理士業務って試験科目が法律科目であることから見ても、
基本的には法律業務だと思うのです。
明細書を書いているよりも、中間処理の方がより
弁理士業務っぽい感じがします。
案外特許事務さんの方が法律業務に近いことをやっており、
弁理士よりも法律に詳しかったりします。
また、独立すると意匠や商標もやることになり、
移転などの手続き依頼も発生します。
こういうのやってると、弁理士業務って本来こういうことだよな、
っていうことを思ったりするのです。

今これから弁理士試験たけなわとなりますが、
この時期に勉強したことってのは、こういう本来の弁理士業務に、
直結しているなあと思います。
中にはこの時期やったことが役に立っていない、という人もいますが、
それは弁理士業務をやっていないからだと思います。
弁理士として弁理士業務をやろうとするのなら、
弁理士試験の勉強内容は意味のあることなのではないかなと思ってます。

コンフリクトの要件を緩和するってのは、特許事務所側の重要性が低いと言っているに等しい

patintl.hatenablog.com

前に特許事務所の大規模化とは、下請け化に等しいという記事を書きました。
一方でお客様からご相談、ご依頼をお受けしたりすることもあるのですが、
やはりそれなりに解決すべき経営上の課題があって、来られることが多いです。

特に特許というのは競合他社というものがあって、
そこへの対抗策として取得を検討されるわけです。
「特許をとる」というのはそれ自体が目的化している、
ということは本来は多くはないはずです。
弊所でお問い合わせを受けるケースでも「仮想敵国」が
具体的に存在していることが少なくはありません。

そんな中で、その仮想敵国の依頼を受けています、
となったとき、お客様はどんな気持ちになるんでしょう。
ファイアウォールを設けていたらそれでいいんでしょうか。
何のためにその依頼が発生したのですか?というのは
重要な話であるはずです。

それでもいい、と言われるのを、そこまで必要とされている、
と考えるなら能天気もいいとこであって、
要するにどうでもいい取引相手であるということです。

先日取引関係ない自動車部品の社長の方とお話をしましたが、
自社部品は確かにどこにでも納めて良い、けど、
どこにでも納品するというのは本当にリスクが低い行為なのか、
コアな取引先に食い込むことで、その会社の重要取引先
としての位置を確保し、クライアントの最前線に並べてもらう
ということが、会社としての重要性を高めることでは
ないのか、なんて話がありました。

コウモリ野郎ってのは大事な相手ではないんですよね。
スキルが多少高いとか低いとかそんな問題ではありません。

重要な業務を依頼されていないのだから、当然単価は安いですよね。
コンフリクトの疑いがあるような大手特許事務所の噂は
ありますが、安い単価で仕事を取っているとこばかりです。
それが下請けでなくてなんというのでしょうか。

そういう案件と言うのは、得てして上から下に投げればよい
だけですので、管理的には非常に楽です。
特許事務所の幹部は、間に挟まってうまく利益を
吸い上げることができる立場にいるのです。
これに対して、末端のスタッフとしてそんな特許事務所で
そんな仕事を受けることを一体どう思うのですか?
という話があったりします。

単価を下げる施策を取っておいて、単価が安いと嘆くのも
ことの因果関係を分かっていないとしか言いようがありません。

弁理士ブログと言っても発信の仕方は色々

弁理士ブログは何のために書いてるの?って話について
思いもよらない波及的な流れを見せており、
もしかしたらこれ補足が必要かもと
思ったことがあったので、まとめてみます。

大枠、「結局これは何のためにやってるの?」ってのが、
言い訳でなく本質的な形で存在することが必要で、
そうでないものってのは長続きしないという話です。
数々のブログの残骸ができては消えを繰り返しており、
やっぱりどこかで目的というものを持つ必要があります。

自分のブログは不特定多数向けの発信を意図しており、
アクセス数というものがすべての基準になります。
やっぱり多くの人の目に触れさせたいというのが
一番多かろうと思ってSEO的な話を中心にしました。

ただ、それとは別の使い方というのがあります。
こういう言い方をしてしまうとこれが誰か、
イメージわいてしまうと思うのですが、
SNSの延長としての使い方です。

自分のブログは何の接点もない人をペルソナとして
設定して不特定多数を集める目的で書いています。
が、それとは正反対に、知っている人、面識のある人、
をむしろフォーカスして打ち出すやり方があります。

そういうのはSNSが一番向いているのですが、
SNSをやる人ばかりではありません。
SNSをやっている人、やっていない人、など、
複数セグメントに共通に自分のイメージを
広げていくやり方です。

こういうやり方の場合、「自分」をインデックスにして
自力でブログにアクセスを集めるのだから、SEO
あまり関係ないのですね。
SEO関係ないから、タイトルタグをどうするとか、
キーワードとか、そういうSEO的な技法は無用です。
一方でコミュニティ的な色合いを高める仕掛けが必要です。

例えばですが、ブログを書く、だけでなく、
それをフェイスブックツイッターに投稿して、
同時にブログ村のランキングにも参加する、
というようなやり方です。
FBでの賑わいがブログ村に波及し、
さらにブログのイメージに影響させていきます。
ブログの記事自体も最初からそういうイメージ
のものを書いていきます。

自分の場合、自分を中心とした輪の外側を
ペルソナとしているのに対して、こういう方は、
自分を中心とした輪の内側をペルソナとしています。
ターゲットが違うことで、アプローチが全く
変わってくるのですね。

ネット記事の場合、「ペルソナは誰?」というのが
結局のところ非常に重要になるかと思います。

なるほどねえと思ったりもしたのですが、
その辺、人それぞれということになります。
とはいえ、やっぱり長く続く方は、それなりの狙いが
はっきりしており、その結果、仕組み化されています。

はっきりしているのは、何となく始めたものは、
なんとなく終わってしまうということです。
自分で何かやろうと思われる方は、
後で軌道修正するにしても、何が狙いかは
考えておいたほうが良いかもしれません。

 

弁理士短答試験合格者数285人、ボーダー39点(平成29年度)

2017年弁理士短答試験、合格基準点(ボーダー)は39点
2017年弁理士短答試験合格者数285人
ということだそうです。

科目別合格基準点
特許・実用新案に関する法令 8点
意匠に関する法令 4点
商標に関する法令 4点
工業所有権に関する条約 4点
著作権法及び不正競争防止法 4点

工業所有権法科目及び条約科目の免除者の合格点 7点

http://www.jpo.go.jp/oshirase/benrishi/shiken/h29goukaku/tantoushiki.htm


応募者数が減ったからというのもありますが、
かなり短答の合格者も減ってきました。

やはりボーダーは39点で変わらずです。
もうよほどのことがない限り、短答の合格点は39点で変わらずなのでしょう。
問題解答は翌日に分かり、合否ラインももう数年固定です。

最終合格者がはけた分、短答合格者で補充と言う内訳になっていくようです。
最終合格者数が減った分、短答合格者数も減ってきました。
ただ、数が減っても難易度が上がっている風でもないので、
受からなかった方はまた来年頑張ってください。

(6/12, 14:00誤記が多かったので一部直しました)