弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

ブログで少し反省していること

今年全般、ブログを一応更新していたものの、
全般に忙しく頻度も内容も落とし気味にしてました。
10-11月頃になって、仕事が忙しくなかったことで、
ブログの更新頻度が戻ってきた中で、
一年のうちで一番ブログのアクセス数が伸びるのも
あいまって若干悪乗り気味の記事が多少増えたのを
今ちょっと反省しています。

会った人にはみんな言っているのですが、
ブログ自体は単純にアクセス数を稼ぐことだけ
考えていて、ブログ単体で営業効果を出すことは
考えていません。

じゃあアクセス数を出すための記事
として、どんなことを書くかというと
業界周りのものが一番反響があります。
反響があるとは具体的にどんなものか
というと、ブログというものの性質なのですが、
ネガティブな記事への反響がポジティブな記事より
反応が大きかったりします。
ネガティブな記事はポジティブな記事より少なく、
競合優位性が高まる一方で、人は「得する」
よりも「損する」方に過敏に反応します。
インターネットの記事の特性として、
ネガティブな記事をセンセーショナルに書く方が
記事としての人気は集まりやすいのです。

ただまあ嘘はいかんので、記事全体としては
全体として収まるところに抑えていますが、
ブログ記事全体としてなんとなくそういう方向に
行きつつあるなあという反省点があります。

どうせ営業効果はないと思いきや、お客様も
全くブログを見てない訳ではないのだよな、
と思った時にさすがにこれはいかんなという
感じになってきました。
正直何か特定の主義主張を持って書いている
というよりは、これ書けば面白かろうと
その程度の話なのではありますが、
偏った思想性を持っていると思われても
困るかなと。今更かよと思われそうですが。

まあ今更なので、こんなことを書いておいて
次の記事では全く似たようなことを書いている
可能性は大なのですが、とりあえず今回は
そんな言い訳を記事とすることにします。

弁理士の未来は漆黒の闇のように真っ暗

弁理士の未来は明るいのかそれとも暗いのか、
ということはいろんな議論があると思いますが、
思い切って標記のように書いてみました。
まあ言い過ぎですね。それは正直分かっています。

ではこれからの弁理士はどうなっていくと思いますか、
と聞くと千差万別な答えが返って来ると思います。
これからの特許業務はこんな風になるとか、
これからはこういう風にならなきゃだめだとか。

弁理士はこれから変わっていかなければならないと。
そんな意見に対して反論は少ないと思います。

もっともこういう意見こそが、実は弁理士の未来が暗い。
そういうことの根拠そのものですよね。

だって新しいことにチャレンジしても、
成功する確率なんてふつうは低いですよ。
「新たなる挑戦」などというような人は
基本的にはチャレンジしていない人です。
まあカイゼンはやってるかもしれないですけどね。
失う覚悟と共に何かをやるなんてしんどいです。

一番良い生活サイクルというのは、8割方同じことの
繰り返しでそれなりの成果が出ることをやりながら、
残り2割程度の新しい何かがあることです。
そういうのは多分チャレンジとは言わないと思うのですね。

何もかもが変わっていくというのは
殆どの人にとっては苦痛であり、
もしも世の中が大きく変わっていくとしたら、
それは多分大勢の脱落者が出たということを意味します。
そんな未来って明るいんでしょうかね。

明るい未来があるとしたら、それは新しい世界の中に
あるのではなく、今までと同じ生活を繰り返せるという
保証の中にあるのだと思います。
自分の試みが当たると気持ちが良いですけどね。
そんな一か八かの賭けなんて、
もしもやったことがあるなら分かると思いますが、
何べんも繰り返したくはないはずです。

そう思わない人がいるとしたら、
・挑戦のように見えて実は濡れ手に粟のようなこと
 しかやっていない人か、
・終ったことを忘れてしまう能天気な人か、
孫正義のように頭のねじがどこか
 飛んでっているような人です。

これからは弁理士も変わっていかなければならない、
という意見が多数派なのだとしたら、
それは弁理士の未来は暗いということですね。
20年前の弁理士からみたら、今の特許業界は
悪夢としか言いようがないでしょう。
昔は自分がやりたいことだけやって
それで儲かっていたのに、今はあれもこれも
と手を出さなければなりません。
20年前の不人気業務の多くは
今や取り合いになっています。
変化についていけない弁理士の多くは
看板をたたみつつあります。

それでもこの道を選びたいというなら
それはそれでそこまで悪くはないと思いますが、
業界への参入者が減るのは、昔より見通しが
暗くなっているのだから当然のことだと思います。

独立が向いていない弁理士

弁理士が独立して一応生活を成立させられる
稼ぎを得られるか、というと、どっちかというと
その程度なら何とかなる人の方が多いかなとは
思います。自分は独立して2年、どうやら
何とかなったような気がします。

じゃあ誰でもうまくいくかと言うと、
才能とか言うほどの大層なものだとは
思わないのですが、ちょっとあなたには
向いていないよね、という人が
それなりの数いるように思われます。

自分は向いていないから勤め人をやろう、
と思うに至るなら、それは適性を理解している
ということで素晴らしいです。
が、向いていないのに向いていない自分を
認めようとせずに、有無を言わず独立に
つき進む人をちらほら見かけます。

やっぱり独立してすぐは貯金を取り崩す
局面となりますし、その期間をできるだけ
短くするということが大事です。
なのに、何も考えずにまずは辞めてしまう、
という人が結構いるのに驚きます。

客を連れて独立できるなら当面は安定しますが、
そうもいかない人の方が実際は多いですよね。
となるとまずは集客となるのですが、
そのための策をあまり考えずに辞めて
しまっているケースです。

まずは辞める前にマーケットに対する仮説を
立てておくことが大事だと思うのですよ。
こうすれば集客できるとか、
そんな仮説をいくつも立てておきます。
もちろん目論見なんてそんなに当たらないですよ。
「こんなはずでは」と思う局面もあるでしょう。

いわゆるPDCAというか、そんなトライアルエラー
を繰り返すうちに、何となく当たるものも
出てきます。そういうことを積み重ねる中で
顧客が少しづつ積みあがっていきます。

もしくは外注業務の受任です。
多少の売り上げがあると正直ほっとします。
もちろん採算性という意味だと雀の涙です。
そういうのをやると時間を侵食するので、
多忙な状況に拍車がかかります。

したがって、開業当初は忙しいのですよ。
儲からないのに忙しい。
しかしそこで手を抜くと、採算にのらない
時期が長くなるだけですからね。
苦しくても頑張るということになります。
やっぱお金が減るのが一番苦しいですよ。

なのに、なぜか「開業したばかりなので暇です」
という人が結構いるのですね。
何考えているんですかね。

人が集まる中に行くと、同業者にも
当然出くわすことになるのですが、
「お前はやめておけ」とか「何をやっているのか」
と言いたくなるような人を結構見かけたりします。

向いてそうな人ほど独立しないよなあとか、
最近独立する人は向いてなさげな人が多いなとか
そんなことを思ったりします。
人の言葉に耳を傾けたりしたら
なかなか勇気が出ないですからね。難しいものです。

なぜ大手特許事務所の弁理士は育たないか

ちょっと盛り気味煽り気味なタイトル付けになりましたが、
元ネタは「これってIT業界も全く同じじゃねえ?
あるいは何故デカイ店のコックは育たないか」
という記事です。リンクを下に張ります。

http://blogs.itmedia.co.jp/magic/2012/09/it-9d7a.html

元記事を書いた人が、コックをやっている知人から聞いた話を
もとに、「大きな有名店出身のコックはだめだ」
という話をIT業界に適用して解説している内容です。

・・・

ミシュランに載るようなデカイ店で27歳位まで働いて、
外に出なきゃダメだと気づく人もいる。
そういう人をコックとして採用しようとしても、
残念ながらウチみたいな小さいトコで2,3年やった奴に、
もうかなわない。


なんで差がついてしまうのか。大きい所は分業が進んでいるから、
仕事をはじめてしばらくは、ひたすら玉ねぎ炒めとかをやる。
それはそれで大事だけど、小さいところで「何でもやらないといけない」
という方が、絶対勉強になる。

・・・

この話を導線にして、IT業界についても

「料理人○年、SE○年、という年数だけではスキルは推測出来ない。
ちゃんとモノを作るところで、ちゃんとした経験を積まないとね」

と、結んでいます。

そういえば、私はゲーム業界で働いていたことがあって、
プログラマやプランナーについての話も聞いてました。
ある程度プロジェクトが大きくなってからの採用だと、
採用された担当者は、「バトルエフェクトのこの部分の
プログラミングのみ」とか、「バトルフィールド
ここの部分のドット絵担当」とか、やたら細かい部分
のみを担当させられてました。
出来上がってしまえば売り上げは大きなものでしたし、
その担当者はその後のボーナスも「こんなにもらえるのか」
と大喜びでした。が、システムの基幹部分を任される
のではないのですよね。

業務の担当割り振りを経験してみるとわかると思いますが、
「そんなに重要ではない」「けど要らない訳ではない」
「その割には業務量が冗長になりすぎる」
というようなパートが結構な割合として出てきます。
特に大型案件を受任すると、業務量全体としても
それなりに巨大化しますから、そういう部分は
切り離したくなります。

まあどこでもそうですが、大手企業に入ると、
下っ端はそういう仕事を率先して割り当てられますよね。
本来、マネージメントではそういう部分をいかに
縮小するかというのが腕の見せ所ですが、
実際は報酬もそれなりに出ますし、
頭数をそろえてそこにぶん投げればいいんじゃない?
という方向に走りがちです。

さて特許事務所はいかがでしょうか?
というと、バルクの大きい雑用だけ割り当てられる、
という話は特に聞かないですが、業務を細分化して、
ここだけやって。という割り当てにはなりがちです。
担当範囲を縮小すると、業務に慣れるまで
早いですからね。その狭い範囲の仕事だけでも
それなりの業務量が確保されています。

そこの部分のスペシャリストになればいいですが、
どうですかね。ただ漫然と毎日それを処理しているだけ
という方向になりがちではないですかね。
もちろん大手といっても業務分担の方針は
事務所ごとですので一概なことは言えませんが。

じゃあ小さければいいのかというと、
大手でもないのに一丁前に細分化したがる
特許事務所もあります。
はっきりしているのが、数年たっても
明細書しか書かせない特許事務所はまず駄目ですね。
いろんなことを経験しないと大局観的なことは
身につかないのではないかなと思っています。

流行語大賞にプロ野球関連が選ばれやすい理由

もう年末という時期になると今年を振り返る行事も
増えていく中で、流行語大賞なんてものがあります。
所詮一企業がやっているもので公的なものではない
のですが、こういうものに対するニーズが高いのか、
毎年注目されて現在に至ります。

今年はどれかと思いきや、「神ってる」が選ばれました。
去年の「トリプルスリー」に続いてのプロ野球関連で、
納得いかない声もあるようなのですが、
消去法で行くとこれにせざるを得ないのかな
という感じはします。

プロ野球というのは3月末に始まって、
10月末ですべてのゲームが終わります。
11月に流行語大賞の選考が始まると考えると、
秋のキャンプも終わり体を休めている
プロ野球選手にとってはスケジュールを
開けやすいのですね。
シーズンのピークも夏から秋になり、
注目を集める出来事もこの時期になりやすいです。
前過ぎず、後過ぎず、ちょうどよい頃合いで
年末になるということですね。

もちろんそれだけでは選びづらいのですが、
対抗馬もまた微妙だと押し出さざるを得なくなります。
昨年などはじゃあ何を選ぶのと言うと
何もなかった、というのが実情です。
そこで今年の各候補を見ていきます。


本命:PPAP

流行らしい流行という意味ではこれが本来
本命かと思います。
ただ流行り出しが遅すぎるのですね。
8月公開で世間に認知されたのは10月くらいでしょうか。
まさに今が旬という時期で受賞者本人も多忙です。
あとやっぱり通年での判断となると、
9月までは世間に認知されていなかったわけで、
総合判断となると下がります。
あと「PPAP」は曲名であって
流行語ではない点もマイナスです。


対抗1:文春関連

今年は去年から続いて文春のあたり年なので、
そこから選びたいのですが、
ノミネートされたのが「ゲス不倫」とかなので、
どうしても対象としての表彰にはなじみません。
「センテンススプリング」とかをノミネート
しておけば選びやすかったのでしょうけどね。
ただいずれにしても雑誌名であって
流行語ではなかったですよね。


対抗2:ポケモンGO

これも商品名であって流行語ではないので、
本来的な意味での流行語があれば、
ちょっとこちらも弱いですよね。
あと、そこまで社会現象になったか
というと、それは正直疑問があります。

デジタル商品なのでインターネットでのブーム
にはなりやすいですが、ブームの主体は
基本的には20-30代だと見ています。
自分のような都内在住の40代男性にとっては、
そこまでのブーム感は受けませんでした。
まあ街中でやっているのは見かけましたけどね。

職種的なものもありますけど、
特にダウンロードしてやっている友人も少ないです。
ポケモン世代というのは自分よりも少し下ですし。
全世代的かと言うと疑問です。
局所的なブームと考えると「神ってる」と
大して変わりませんし、流行語ではない分、
こちらはちょっと弱いですよね。


結論
まあPPAPでもよかったんじゃないかなと思いますが、
でもやっぱりブームが直前すぎだよねってので、
全体評価していくとある程度妥当かなと思います。

ただ、去年に続きということで反発は予想された
と思うので、複数候補同時受賞で良かった
のではないかなという気がします。
もっとも複数同時が変に定着してしまうのを
避けたかったというのもそれはあると思います。

「今年の流行り」ではなく「流行語」
ということになると、なかなかそういうものは
出てきにくい時代になりつつあると思うので、
流行語的なものを選ぼうとすると、
どうしても違和感が出てきますね。