弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

マクロの景況感と特許事務所の景気

3月に消費税導入後の景況分析がどうなるか不安
という話を書いていた
のでその辺改めてまとめ直してみます。

結果的に消費税導入に伴って景気が大きく悪化
ということはなかったように思われます。
以前の消費税導入または増税の時には、
景気縮小の緩和措置をあわせて取っていなかった、
それどころか財政均衡を目指したりしていたので、
消費税による景気縮小効果をそのまま受けていました。
これに対して今回は、消費税増税を相殺するように
大幅な財政出動を行っています。

この辺は冷静に見ると消費税は増税しました、
しかしその増税分は公共事業やら何やらで
全部使ってしまいますという話です。
なので何のための増税だって話ではあるのですが、
増税により生じたデフレギャップを埋めるということなので
景気対策という意味では正解と思われます。
安部政権は消費税増税はやめようと動いていたものの
法律で決まってしまっており覆せないということで
次善の策をとったという話もあるので、
そうだとすると整合する話かもしれません。

個人的には財政出動よりも消費税上げないの方が景気への効果は
高いと思っていたのですが、安部政権はデフレギャップを
本気で埋めにきたということで、マイナスの効果は出なかったのかな
という風に個人的に思っています。

ただまあ予算いくら使っても景気の悪化は防ぐという政策が
果たして続くのかは疑問ですし、次の増税に対しては
どう対処するのかという問題もあります。
また景気の下支えで効果が出ている部分と、消費税増税
ダイレクトにダメージになっている部分もあるはずなので
その辺のインバランスが今後にどう影響するかというのは
この3ヶ月ではまだ分からないかなとも思います。

さて、弁理士業界にフォーカスしてみてみると、
パテントサロンの求人だけ見ていてもなんとなく
見える部分はあります。

特許事務所の雇用の一番大きい部分を占める
電気電子ソフトウェア系の業界は景気的に
横ばいか下降気味と思われます。
求人はありますが減ってますね。
知人の話を総合してもあまり改善方向ではなさそうです。
機械も電気系と同様。

化学の求人が以前に比べよいように思われます。
バイオは従前比ではかなり改善しています。
とはいえバイオの求人ってそもそも数は少ないですね。

一番気になったのが、土木建築系の求人が増えているように
思われていることです。あんまりこの分野の特許出願って
多くはないはずですよね。公共事業の大幅増加の効果が
こういうところに出ているのでしょうか。

アベノミクスで好景気という割にはわれらが特許業界に
関わるメーカーの景気という意味では特に良くなっている
という話は聞きません。
財政出動効果で土木的な受発注は増えたのでしょうし、
それに伴い雇用情勢は改善されているような話はあります。
しかし消費税含めて物の値段は上がっているので(特に外食)
そのことによる個人消費への影響はこれから出てくる可能性は
依然としてあるなあと思っています。
直ちに消費税を払えないという層は少ないでしょうが、
累積していくと何これおかしいってなって、
巻き戻しをする時期にくると、それなりに景気への圧迫感は
あると思います。そうでなくてもメーカーはすでに支出を
絞っているように思うんですよね。景気がいい気はしないのですが、
他の景気が改善している業界との総和で出る話ですからね。

ただ、突然財政出動をやめるとか金融引き締めをする
となるととたんに金融危機になると思いますが、
安部政権はそういうことには危機感が強いと思うので、
その点でひどい景気の悪化はないかなと楽観はしています。