弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

零細特許事務所は就職先としてどうなのか問題

弁理士試験も最終合格まで終わって、転職の季節になっていきます。
今くらいから年末まで転職活動して、年明けから年度初めまでに
転職をする、というスケジューリングが多いと思います。
まあ今は在籍したまま受かって転職しないケースの方が
多いような気がしますが、表題の話題をどことは言いませんが
見かけてしまったので、これは言及せねばなるまい、
ということで解説いたします。

零細特許事務所への特許事務所はご法度なのか?
こういう質問は条件によって答えはいかようにも変わるので、
当然のことながら一般論、総論的な答えになります。
以下、他の問いについても同様ということで
自分の見解を述べていきます。

まあ零細特許事務所はやめておいたほうが良い、
一応そういう答えになります。

自身に経験があり、相手先のことが分かっており、
勤務環境や具体的条件を予想できる場合はもちろん
異なる答えになる場合はあります。
副所長・後継者として入ってほしいという場合には、
もちろんその内容によるでしょう。

ただしほとんどの転職者は比較的経験が浅い、
未経験、その他あまり条件交渉ができない場合
がほとんどでしょう。そういう場合の転職先として
は零細特許事務所はお勧めできません。

結論から言うと、最初に大手に入って、
そこで情報収集をしてから条件の良い中堅、
場合によっては零細、という流れになるのが
特許事務所の転職セオリーになるかと思います。

前にも書きましたが、大手特許事務所が待遇が良い、
などということはありません。
むしろ高い方であることは稀でしょう。
皆さん大手志向ですから、見透かされて買い叩かれる
というのが相場となっています。
それでも大手に入るべきと言うのはなぜか。

特許事務所に入ったら3年くらいはそこに勤めた方が
よいです。経験を積む面でもそうですし、
ジョブホッパーは多くの場合好まれません。
転職回数は増やすべきでありません。
一方で、多くの特許事務所では、
入ってしまってから「しまった」ということが
少なくありません。

大手特許事務所はなぜ大手なのか、と言うと、
入ってきた人が辞めていく割合が低いからです。
だから長く勤めたいなら、規模が大きいところに
入ったほうが良いのは間違いないでしょう。

零細と言うのは、特に年寄り所長の場合、多くは
何かやばい要素を備えていることを特徴とします。
独立開業が容易な時代に立ち上げてから、
安易な考えでここまで続けてきた特許事務所が
多いのです。そこに入るのがどんな感じかは
色々ではあります。得られるものも微妙です。

人が多いというのはそれに比例して
「辞めざるを得ない程の苦痛」が少ない
という推測が働きます。
人を定着させるための組織論的なノウハウが
きっとそこにはあるのだと思います。

ただし、人が会社を辞めるのは、そんな個人的不満が
原因なのであって、給料の額ではありません。
多くの人は給料を安く据え置いても辞めないのです。
給料が原因になるのは、「あいつはなんで俺より
高給なんだ。納得できない。」というケースです。
みんな仲良く薄給なら、案外みんな納得して働きます。
ということをよく知っているのも大手です。
その辺の相場観を踏まえた給与設定になっています。
野心家にとっては不満の残る環境であるようです。

待遇というのは個別要因であるので、
やっぱり説明が難しいです。零細でも外国を大量に
受けているようなとこだと羽振りが良くて待遇が良い、
と言うのは当然あります。
安易な経営を長年続けた成れの果ての特許事務所と
同列にしても、共通点は所員数だけで、
内容は天と地ほども異なります。
ただまあ、事務所の問題点と言うのも
事務所ごとにあるので、そういうとこに入って、
思わぬ問題点を目にすることもあります。

そして「利益率の高い業務を大量に受ける」
等ということは不可能な時代になってきました。
昔は外国業務がそこに入っていましたが、
そういう業務は今はどこも積極的に受けるので、
結局レッドオーシャン化です。
大手は不採算業務も並行して受けざるを得ません。
一方で、高採算業務を高い比率で受けられるような
業務形態だと利益率が高くなります。
そういうとこは利益分配も適正だったりしそうです。
規模は必然的に中規模程度になるでしょう。

まあまずは業界の中に入って内情を調べることを
優先すべきでしょう。結構情報は横から流れてきます。
個別情報がネットから流れてくる、
ということはありません。
この暴言サイトでも具体的な名前は出せないですからねえ。