弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

個人の方の発明をjplatpatで検索する場合の問題点

弊所では個人事業主の方の特許出願のご依頼が多いのですが、
その多くの場合、そのままでは特許にならないのでは?
と思われるケースが見られます。
それをそのまま「それでは難しいのでは?」と突き返すと、
「なんでですか!」という話になってしまいます。
先行技術の有無で特許性について見解を示すのが
一番納得感が強いように思いますので、
まず特許調査をすることにしています。

開業当初は商用データベースにお金を出すのが惜しかったのもあり、
jplatpatのみで特許調査をして、特許性について判断を
返しておりました。で、その案件はどうなったかというと、
見つからなかった特許文献が見つかり、特許になりませんでした。

何が問題かというと、jplatpatの公報のストックは平成5年以降しかない、
というのが一番大きなポイントとなります。
なお、この案件については、引用文献として昭和の時代に発行された
公開公報が引用されています。
jplatpatからではこうした公報は見つけることができません。
現在は商用DBを使っているので、本公報はサーチ対象としています。

平成5年以降でも、例えばビジネスモデル特許なんかは認められる
ようになったのが2000年以降ですので、jplatpatで網羅しています。
またソフトウェア特許関連でも平成8年以降に増えてきているはずなので、
jplatpatからでも漏れは少ないでしょう。
すると何が問題かというと、個人の方ですと日用品をベースにした
改良発明というものが多く、それらは基礎技術が昭和の時代に
一旦出尽くしたものが多いということです。
そういうのを特許出願し、審査請求すると、昭和に発行された
公報が引用されて拒絶されてしまうのですね。

あとはまあ最新技術をベースにしたものだと先行技術は一応ないかな
という推認が働きます。「枯れた技術の水平思考」みたいのが、
特許的には結構厳しくなりがちだったりするのですね。
一度ブームになった時にネタが出尽くしとなっていることが多いので。
商売的にはそういうのが本来有望なんでしょうけど。

まあうちみたいに小口メインでやっている場合は、
特許の事前調査というのが重要になってきます。
そういうときに、見つかりそうか、なさそうか、
カンを働かせるということが大事になってきます。

採用関係をどうしようか問題

特許事務所で請ける仕事の量が増えるにつれて、
いろんなものを絞り込むことになっていきます。
最初は事務所を開設するとともに下請けの仕事も受けていましたが、
仕事が増えるにつれて、下請け仕事は断るようになりました。
それから事務仕事が溜まっていったので、事務スタッフを採用しました。
こんな風に自分の手元の仕事を減らすようにはしていますが、
事務所を継続していくと何となく仕事が増えていきます。
となると実体業務のスタッフの採用なのかなと思ったりします。

ただ、弊所の仕事は雑多ないろんな仕事をもらっている状況ですので、
そういうのを全体的にいろいろこなせるのかなということを思ったり、
経験の浅い人を採用すると、育成に時間を取られて
却って忙しくなったりします。
そして何より待遇面で、こんな零細にそれほどでもない待遇で
果たして人が来るのか非常に疑問です。
受け入れるためには、条件面をどうするか
きちんと練っておかないと空振りになります。

そういうのを考えると、事務所としての利益率の改善というのが
何よりも優先事項になっていきます。
自分だけならまあそこそこでいいやとなりますが、
事務所として儲かっていかないと、人を採用した時に
待遇を還元していくことができません。

依頼人との関係で、その仕事は利益になるのかならないのか、
というのを目ざとく見ていくのもなんだかなと思いますが、
経営者の仕事って結局そんなことなんだと思います。
事業というのは儲かっていればすべてが回るという構造になります。
前職でもそんな感じだったように思います。

そういう形で、次のフェーズは事業構造、利益構造の改善
ということになります。そこを通り抜けたところで、
人の採用という流れになっていくのですね。

特許事務所の夏休み

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8月になりました。もう夏休みというものを意識する時期です。
特許事務所の夏休みは、例えばお盆休みなどの時期を決めて
一斉に休むところもありますが、基本的には、夏休み時期の間に
それぞればらばらに休むというとこが多いように思います。
その一方で年配の人の場合ですと、結局お盆の間に休みを取る、
という傾向が強いように思います。

なお、うちの場合ですと、8/11-16が夏休みになります。
事務所が入っている建物が閉まってしまうからです。

大体夏休みの取得時期と言えば、7月から9月までを目途に、
となるのですが、じゃあ7月に夏休みを取るかというと、
夏休み時期に入ったばかりにとることってあんまりないですよね。
「ああもう7月か。」とか言っているうちに8月になっています。
8月に入ってから夏休み時期を意識しだす感じですね。
ただこの時期はどこ行くのも値段が高かったりしますので、
9月まで待って祝日の時期にとるのも案外多いパターンです。

どうも今は夏休み前の追い込みなのか、仕事が入りやすいとともに、
取引先も仕事に追われているような雰囲気です。
なんとかのりきって休みを迎えたいところです。

落ち目の特許事務所をいつ離れるか問題

業界の噂話を聞いていると、特許事務所の間にも優勝劣敗の話が
聞こえてきます。かつては経営状態がよく、勤め先としても
魅力があり、そのため人気があったような特許事務所だったり、
そうではなくても細々とそれなりになんとなくやってきた
ような特許事務所が、着々とダメになっていると
そんな噂話は聞こえてきて、諸行無常を感じます。

ですので、あそこはブラック、ここはホワイト、と分類していても
状況は随時流動的です。いつの間にかブラック落ちしている
特許事務所も散見されます。

で、その辺の状況というのはそこに勤めているスタッフの方が
切実に感じられるわけですよね。取引先との状況が悪化して、
事態への改善努力を図ろうにも。得てして慣れ親しんだ
ホワイトな状況からの切り替えができずにあさってなことを
始めてしまうということがあちこちで起きています。

ただまあ取引関係というのは突然消滅するものも少ないですので、
この事務所このままではまずいよね、ということが感じられながらも、
一体これからどうしたらよいか思いもよらず、なんとなく現状に
甘んじる、という状況の方も多いと思います。
そんな中、スタッフも1人、また1人と離れていったりして、
落ち目感が日に日に増していきます。

そこをいつ離れるか、というのは私自身よく相談を受けたりも
しますが、時期的な判断というのは非常に難しいのですよね。
この特許事務所はもう駄目だな、と思われても、案外そこから
粘り腰を発揮します。粘り腰といっても再上昇するか、
というとそんなことはなく、じりじりと沈んで行きます。

転職にしても、慌てて決める必要はありません、あちこち情報を集めて、
この辺かなと思ったところにピンポイントで応募して、
ダメならもともと、うまくいけばその職場に移ればよいのです。
転職というのは思い立ったらすぐにけりをつけたくなりますが、
別に1年2年とじっくり時間をかければよいと思います。
ですが、実際はあまり情報を集めずに思い立ったら即座に決める、
という人の方が多いと思います。

得てして落ち目の特許事務所ほど、時間的な融通は利きますので、
会派や弁理士会の活動を熱心に始めてみるとよいと思います。
会の活動を通じて引っ張ってもらうという話は
思われているより結構多いです。
詳しい話を聞いた上で異動できますので、失敗する確率も減ります。
よくネットの情報で「あそこはホワイト」「あそこはブラック」
という未確認情報が流れます。
「あそこがブラック」という情報は大体正しいですが、
ホワイト特許事務所情報はガセネタが多いです。
信頼できる筋から情報は集めるべきでしょう。

落ち目の特許事務所を離れる際は、時間をかけての転職活動が
可能ですので、そういう形できちんと情報を集めることをお勧めします。

特許庁が職員による公式文書への旧姓使用認める、中央省庁で初

www.meti.go.jp

ヤフーの記事を見たときに、出願文書などで旧姓使用許可?
等と勘違いしたのですが、特許庁職員内の話なのですね。
特許庁職員(審査官など)について、結婚後の姓に制約されず、
旧姓で文書を出したり公的に使用することを認めた、
というニュースのようです。

まあ明らかに特許庁長官に女性が初めて就任したこと
を受けての流れなのかなと思われます。
米国でも特許庁長官には女性がなったりしてますし、
弁理士会会長なんかだと珍しくもありませんので、
そのこと自体はふうんとしか思っていませんでしたが、
ニュースとしての反響はそれなりにあったようです。

自分で商売をやってたら名前を継続させることに
直接的な利害があるのは分かりますが、
官庁の場合はあまり必然性は薄いかも?
という気もしますので、その辺が現在まで
容認されてこなかった理由なのかもしれません。

まあ時代の流れですね。