年を取ってしまったら普通は仕事の依頼は来なくなる
自分のキャリアを考えるときに、本当に自分の考える
「実力」というものですべて決まるのだろうか?
というのは結構重要な観点と思っていて、
先の記事では特許翻訳についてそういう話題を載せました。
これに関連して、なんとなくネット記事を見ていたところ、
83歳の元特許翻訳者についての記事を見つけました。
…
にも、拘わらず、先ず、一般的に80歳と聞けば、
それだけで発注者は仕事を依頼するのを躊躇う。
現実的にはフリーランスの高齢者に仕事を依頼しよう
とする物好きなど何処にも居ないのだ。
…
まあこの辺の話は弁理士や特許技術者も含め、
ほとんどの仕事に当てはまる話ではないかと思います。
普通の依頼者は80過ぎの人に仕事を依頼する
ということはありません。ま、普通は引退していますが。
でも実際は世の中80過ぎとまではいかなくても、
それなりの年齢でも仕事を続けている人は
結構いたりします。その違いは何か?
一番顕著な例を挙げるとはっきりしますが、
例えば宮崎駿氏はこのブログを書いている時点で76歳です。
年齢が理由で仕事がなくなることはありません。
・自分でなければできない仕事をしている
・「スタジオジブリ」という自分自身のブランドを持っている
・実際の細かい作業については若いスタッフに任せている
もっとほかにも挙がるかもしれませんが、
こういう要素が必要です。
逆に言うと、そこまでのものがない高齢者は、
徐々に仕事の依頼を受けることが難しくなってきます。
まあ突然はなくならないでしょうけど。
確かに「実力がある」というのは、「自分でなければ
できない仕事をしている」という面があるとは言えるでしょう。
しかしそれは、同業の人間が追い付けないほどの
圧倒的な実力がある、というレベルでの話です。
「替えがいる」という時点で、そこまでの実力ではありません。
他業種ならあり得ます。この製品を作れるのはこの人しかいない、
というのはいくらでもありますし、そういうのを支える
高齢の町工場の人は多いでしょう。しかし弁理士はそうではありません。
明細書を書いていても、翻訳をしていても、
そこまでの実力者というのはそうそういません。
そしてそれは努力をすれば到達できるというものでもないのです。
取引先から信頼されているくらいで、圧倒的な実力とは言えないでしょう。
単に取引先にとって新しい発注先を見つけるのが面倒というだけです。
特許事務所について、独自のブランドがある、というのは、
なかなか難しい話です。仕事の内容において名を馳せる
なんてのは、そうそうあるものではありません。
有名な特許事務所、というのならありますが、
当然ある程度の規模が必要になります。
1人でやっていて、独自のブランドになっているような人を
この業界で聞いたことがありません。
上の3つのうちで一番大事になるのが一番最後だと思うんですね。
若手の活力と柔軟性、そして高齢の方の経験を組み合わせて、
仕事をやってもらいたいと思うはずなのです。
これは若手を採用して育てていくだけなのでそんなに難しい話ではありません。
こういう話は当然自分のキャリアという意味でも考えていかなければ
ならない話です。地道に仕事を重ねているのだからこれからも
仕事は来るはずだ、などというのは安易なのですね。
今は年齢的に比較的若い、ということも込みで仕事の依頼が来ます。
しかし、人はいずれ年を取っていくのだから、その時に備えて
仕事が来るような体制を整えなければなりません。
そうでないと、上記リンク先のように、年齢が理由で仕事が
来ないのはおかしい、という愚痴をこぼすことになってしまいます。
もっとも上記のケースは本当に実力があるのかどうかも謎です。
きちんとした仕事ができる人なら、相応な物事への分別、
というのはあるはずじゃないかと思うのですけどね。
年を重ねてそれでも仕事を続けたいなら、それなりの手配が必要、
ということに気付かなかったのでしょうか。
自分に文句が言いづらくなっているだけなのに、
自分の仕事が評価されている、と錯覚する年配の人は多いです。
なんか暗い話になってしまったのですが、
逆に、若いということはそれだけで採用の理由にもなりますし、
若いうちなら思い切って何かをやっても、それなりに評価されやすいです。
そのアドバンテージをもとに自分なりの蓄積を積み上げることが必要です。
自分にとっては先の話ではありますが、そういうことも考えながら、
自分のキャリアを考えないといけないと思います。