弁理士業務がAIに取って代わられる系の議論
人工知能によってこれからの業務が取って代わられる系の
話題ってのが結構あったりしますよね。
自分としては、ふうんとしか言いようがないのですが、
弁理士会の副会長様がその議論に食いついてしまったようです。
煽りにマジレスも、それはそれでありかもしれません。
こういうネタにとりあえず食いついておけば
目立つのは目立ちますからね。
ただまあ人工知能が実用レベルで何ができるようになるか
現状まだ分からないのですから、現状はそうですね、
そうかもしれませんね、という程度で適当に流して
おけばいいのではないか、と思います。
個人的にはAIと言えばクリフトがザラキを
唱えているイメージしかありません。
後は将棋とかですけど、マシンパワーに任せて
データマッチングをしているだけなので、
一般社会に入ってくるイメージはないですね。
自分が子供の頃、人間の世界は全てロボットに
置き換えられてしまうのではないか、という
話題がありました。そういう近未来像を描く
漫画や映画なんかもありましたよね。
そういう世界は今なお実現しそうにありませんが、
「ロボット」が「コンピュータ」やら今だと「人工知能」
に置き換えられて、同じ話題が今も変わらず展開しています。
技術は進歩しますが、煽りのテクニックは
今もそんなに変わっていないようです。
代り映えのない煽りが昔も今も変わらないのは、
それに乗ってしまう人が相も変わらずいるからなのでしょう。
AI万能論を唱える人の意見を全面的に採用したところで、
実用化の速度は、かつてロボットやITに
かかった時間を超えることはないのでしょう。
まだ実用例のないAIが実用ベースにのるまで
10年くらいかかりそうですし、普及までは20年ですね。
ITがそのくらいでしたし、ロボットや宇宙開発競争
なんて一体どうなってるのかというレベルです。
自分は多分若いのに任せて弁理士引退を考え始める頃です。
どっちかっていうと、AIとかよりITの脅威を
真面目に考えたほうが良いのではないかと思います。
IT技術の進歩は今なお留まっていないようですし、
これが情報集積業務である弁理士業務に及ぼす影響は
これからも大きくなっていきそうですね。
ただこれをもって「ITがこれからの弁理士業務に
脅威となっていく」なんて言っても時代遅れ感があります。
ITは「将来の漠然とした不安」を煽るものではなく、
現在の絶え間ない業務改善を促していくものです。
それは恐怖感と言うより、「うるさいなあ、分かってるよ」
という返事の方が返ってきそうな話ですね。
人工知能がもたらす衝撃とやらは、明日から本気出す人
のような雰囲気しか伝わってこないのですね。
人工知能が何かを置き換える、というのは、
現実に何かを置き換えてみてから言ってほしいです。
特許の明細書で、ソフトウェア特許とかビジネスモデル特許
とかだと、「こういうことをしてもよい」という
具体性のない雑な議論が挟まることがありがちですね。
AI万能論と言うのはきっとそういう発想なのでしょう。
実際に発明の提案の議論の中で、実施可能性要件を聞くと、
最近は「そのへんはAIで」という逃げも
聞こえるようになってきました。
データを適当に入れてそこで判断を下してもらう、
という話のようですが、そんな簡単な訳ないと思うのですが。