弁理士うめざわブログ

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ネコ醤油皿は特許になるのか?ご依頼を受けがち、けど特許にしづらい案件

日々色んな案件のお問い合わせを受け、それに対して
こちらの見解を述べたり、調査を行って回答したり、
最終的に案件としてご依頼になるものがあったりします。

そんな中で、どういうものかはわかるし、新しい
と言うのも分かるのだけど、特許にしづらい案件、
と言うのもあるのですよね。

ものによっては意匠登録にするという選択肢もあったり
するのですが、言語的に進歩性を説明するのが
なかなか難しかったりして、どうしようと思うものがあります。

そういうのって個別事例なのでウェブでは挙げづらいなと
思っていたのですが、ニュースでちょうど挙がってきたので、
解説してみたいと思います。


醤油を注ぐとネコが… 「ネコ醤油皿」
https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/cat-dish?utm_term=.fgxmMQPD37#.ut9K4d0Ljn


見ての通り醤油皿です。
ここに醤油をたらすと猫の絵が出てくるのですね。
これは特許になりうるのか?と言う仮定の話です。
こういうご相談が本当に多いのですよね。

もちろん皿に特殊加工がしてあって、そこに独自技術が
有れば話は別です。しかし察するにたぶん彫っているだけですよね。
そのアイデアが本当に素晴らしいのですが、
例えばこれを知的財産の権利で守るには?
という話になったりします。

意匠ではダメですよね。デザインが多岐にわたります。
表面加工の手法が、従来品とどう違うのかを
言語的に説明しなければなりません。

「見ればわかるんだけどね」というご相談が
結構あるんです。審査官の方に見せても、
見るとこれは、という印象ですよね、となります。
しかし審査は言葉で書かれた書面で行います。

色を付けたい部分と色を付けない部分で彫り方を
変えているのでしょうけど、作用効果の部分が
「見た目に可愛い」というのも特許的には
説得力が薄かったりします。
特許の作用効果と言うのは進歩的である必要があるのですね。

回答は案件別に色々にはなるのですが、
あくまで自分ならこう考える、ということを答えるに
留まる形になります。他の弁理士さんは一体どう
対応しているのだろう、とよく疑問に思いがちな事項です。