弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

弁理士試験を受ける理由と覚悟

弁理士試験を受けるのは当然弁理士になるためですが、
なぜ弁理士になるかという理由は、千差万別です。
実務未経験の会社員の方も、特許事務所に勤めている
経験豊富な特許技術者の方もいます。
年齢もそれぞれ違いはあるのですが、
基本的には30歳未満と言うのは少ない試験です。
ある程度の年齢になって社会人としての経験を
背負った状態で合格を目指して受ける試験です。

このような難関国家資格を受ける理由ですが、
例えば司法試験とは経緯が異なります。
弁護士、あるいは判事と言えばみんなが知る職業で、
かつ基本的には高収入と思われ、ステータスの高い職業
として知られ、世間的な名誉が大きいです。
弁護士ほどではないですが、税理士についてもそのような
認知が一般的にはされています。
しかしながら弁理士と言うのそういうものではありません。

一方で業務独占がある国家資格は他にもあります。
そのうち1年程度勉強すれば受かるものもあります。
弁理士試験については、LECが金目当てになんか煽っていますが、
基本的には1年で受かる試験ではありません。
数年間の勉強漬けの日々を、会社員生活と並行して
続けなければならない過酷さがあります。

なんでそんな生活を、となるのですが、
確かに試験勉強そのものが得意な方も多いです。
しかし実際のところいい年してそんなことに没頭できる時間、
と言うのはなかなか捻出するのが難しいです。
わざわざこんな道を目指すのは因果なものがあります。

やっぱりみんなそれなりに挫折感があり、
この道を進むほかないというそれなりの悲壮感をもって、
この道を選んだ方が多いのではないかと思います。
少なくとも私はそうでしたし、私が知る人もそういう人が多いです。

まあ試験に受かったからと言って一発逆転とか、大きく飛躍するとか
そういうものでないことは自分自身で分かっていると思いますが、
そういうものではなく、それぞれに乗り越えなければならない
理由があり、この道を進まなければならない覚悟があって
この資格を目指しているのだと思います。

短答試験は2日後ですが、終わってからも論文試験の終了まで、
今年の弁理士試験のピークシーズンに入ってきました。
気持ちが切れることも多いと思いますが、そのときには
その覚悟を思い出してください。結局もう頑張るだけなので。

弁理士試験に限らず、試験会場で見ていまいち納得がいかないもの

弁理士試験の短答試験はもう来週日曜になりました。
受験生的には勉強自体はもう一巡して、
全体の調整に入っているものと思われます。

特許事務所に勤務している人であれば、1週間の休みを
取っている人もいるかもしれません。
自分も試験前に休みを取りました。
ただまあ前日ならともかく、1週間前なら詰め込めることは
まだまだ多く、今が一番勉強に集中している時期
なのではないかなと思われます。

さて試験当日なのですが、弁理士試験に限らずなにかと
納得いかないなと前から思っていたのが、
当日条文や参考書を一生懸命見ている人たちです。
大学受験の時もそういう感想を持っていました。

今読んでいるそれ、試験に絶対出ないよね、と
どうしても思うのです。自分もこれまでの人生にいろんな試験を
受けてきましたが、当日又は前日に勉強したことが、
試験本番に役に立ったことなどありません。
1週間以内でもめったにはない感じです。

まあ試験に全然関係のないマンガとか読んでいると
さすがに試験に向いていた意識が拡散してしまうので、
本試験に関係のない本は読まない方がよい気がしますが、
試験当日に一生懸命勉強するのって、なぜだろうと思います。

基本的には何も読まずにゆったりとしている方がよいと思います。
ただそれでは間が持たなかったり、あれってなんだっけと
ふと思い出すこともあるでしょうから、その時に読み返すのが
当然ありだと思います。なのですが、試験会場で見かけるのは
どうもそうではなくて、必死に何かを読んでいる姿なのです。
気分転換した方がよいのではといつも思います。

なぜそんなことを思うかというと、試験会場で何もしてないと
回りがやってるから、なんか気まずい感じがするのですね。
まあ手持無沙汰というのが本当のところかもしれません。
試験日本番直前に何をするかについても今のうちに
考えておいた方がよいのかもしれません。

LECの弁理士試験講座のダメなところ

自分は弁理士試験の際にLECの講座を受けてたわけではないので、
内容そのものについてどうこうと言うのはあんまり言うことが
できないのですが、何となく違和感のあるところがあったので、
まあちょっと書いてみます。

弁理士資格と言うのは実務者に対してオーソリティを与える資格です。
ですので、弁理士資格と共に実務経験を獲得しなければ何の意味もありません。
王道的には知的財産実務に携わりながら試験勉強をして資格を得る、
というものですが、まずは試験に受かってから実務に携わる、
と言う流れも本来的にはあるべきルートです。

そういう背景を鑑みると、弁理士試験と言うのは少なくとも現在は
就業しながら取り組むべき資格試験であるということが言えます。
もちろん昔は浪人した状態で試験を受ける人が非常に多かったですが、
それは受かってしまえばどうとでもなる時代だったからです。
どうにもならない程度の就職難になってからは、
浪人生の比率はすっかり少なくなってしまいました。

そういう背景を考えながらLECのサイトを見て気が付くのが、
やたらと1年合格を強調している点ですね。
弁理士試験に1年合格と言うのはうまくすれば可能ですが、
基本的には浪人するか、浪人に近い生活をするか、
若しくは会社で窓際な人にとって可能なものです。
にもかかわらず、あなたにも可能ですと必要以上に
煽ってる印象を受けるのですね。
まあ2年を目標にして結果的に3年で合格、というのが
目標ラインとして乗ってくると思います。
そして実際はもっとかかる人も多いです。

キャリアとの兼ね合いを考えながら3年間勉強をし続ける、
というのが受験計画の核になると思うのですが、
1年合格を強調するのは、1年で済むならこの金額で済みますよ、
というのと、受かった後回収できますよ、というのを
意識的に誤認させていないかなあと言う点です。

LECの授業料は高いですので、きちんと考えさせず、
どこかで思い切らせることが必要になります。
サイトのどこを見ても授業料の内訳は書いておりません。
割引とだけは書いておりますが、要するに元が高いわけです。

それで無事に受かったとしても受かった後どうするか。
最近は受かったけどその資格を生かせませんでした、
と言う話をよく聞きます。実務修習の終了までを
記念にして、業界には入れなかった人もいます。
文系で英語ができない人、に対しては今でも
依然として厳しいです。そうでなくてもキャリア形成について
特に説明があった風な印象はありません。
まあ講座を受けさせてしまえばお金にはなりますし、
合格すれば合格までが実績ですので、後のことは知らないですよね。

講座そのものについてはどこで受けても
そんなに変わらないかなと思います。どこで受けたから特別、
と言うような話を聞いたことはありません。
勉強の基本スタイル自体はどこでも同じようなもので、
あとはどうやって継続するか。それ以外は本人次第です。

ただ変に希望を持たせて生活を変えさせるのはどうなのかなと
思ったりします。受かった後にこんなはずではと言う人を
見かけたりするのですが、受験の間にそれを伝えてくれる人は
周りにいなかったのかなと思います。

弁理士とゴールデンウィークの出勤など

ゴールデンウィークも終わるのでそんなことを書こうかと思いましたが、
去年の記事と被りそうなので少し違う方向で今年は書きます。

去年の記事 → 
http://patintl.hatenablog.com/entry/2017/05/07/120755
弁理士試験的な話題は去年したので今年は触れません。

今年は事務所を引っ越したので、去年のように事務所には入れない、
ということがなく、普通に仕事ができる環境にあります。
ですので、結局事務所には毎日出てきていました。
仕事がたまりにたまっていた状況があったので、
前半は普通に仕事をしていましたが、後半はあらかた片付いた
のもあってのんびり過ごしていました。今日は出勤していますが、
そういえばほとんど仕事をしていません。自分の事務所だと
「職場」という感覚も少し薄れます。

よその弁理士の場合のケースでも、GWも仕事に追われるケースって
確かにそんなにない気がします。大体繁忙期のシーズンが
終わったあたりですね。繁忙期は年末年度末、特に年度末で、
4月にまたがって忙しいこともあったりしますが、
4月末には通常は片付いています。
GWはのんびり過ごすことが多いのかなあと思います。

忙しいのは年末年度末を除くと9月に多いことがあるかもしれません。
半期末とか、夏休みのしわ寄せとかそんな感じですね。
逆に閑散期になるのは5月とか11月とかですかね。
弊所の場合は大口発注先がある訳でもないので、
期末要因的なものに左右されるわけではないのですが、
年初は確定申告も並行するので忙しくなります。
今年は引っ越しもありました。いろんなものが一巡して
ようやく休みが取れたというところです。

本来は平日も祝日も変わらないはずなのですが、
祝日は客先が大体休みですので、メール対応が減る分
追われる感じは減るのかなあと言う気がします。
なので、GWが終わるとやっぱり慌ただしくなりそうです。
そういう意味では勤めていた時とそこまでは変わらないようです。

独立後の特許事務所の名前は自分の名前にしたほうが良い理由

弁理士として特許事務所を独立開業することを考えてから、
もうだいぶ時間がたってしまったのだなあと思うのですが、
当時自分は、今はやりの抽象名称を事務所名に
しようと思っていました。
事務所名は一度決めてしまったら、そこから変えること自体は
難しくないですが、色々面倒なので結局そのままになります。
なのでじっくり考えたほうが良いです。

以前書いた記事では、外人受けのような部分を重視したような
ことを書いたのですが、国内的にも理由はあります。
事務所名と自分の名前を書いたときに、同一であることが
認識されやすくなるのですね。
これが抽象名称の場合、「代表弁理士」「所長弁理士
であることを強調しないといけません。
詳しいことは省略しますが、決済関連で面倒が少し減った
ということもあります。

あと、事務所のスタッフが大人数でもないのに、
「代表弁理士」「所長弁理士」と書くのはどうも気が引けるのですね。
自分がいて、その自分がいる事務所ではないのかなと思うのです。

まあ抽象名称にしたがるのは、自分の名前を前面に出すことの
気恥ずかしさと言うのがあると思います。
ただ、それだと集客上困りますよね。
情報が十分に開示されていない相手に仕事は発注しにくいです。

あとなんか大手事務所に対するコンプレックスのようなものも
見受けられます。ただ個人事務所は大手とは違った業態、
業務の受け方になりますので、そこを無理に寄せようとすると、
強みが逆に隠されて、アピール力が落ちる気がします。

そもそもなんで抽象名称が出てきたかと言うと、
最初の事例は協和特許事務所です。
大まかにいうと、特定の所長の強権性ではない、
共同的に経営される特許事務所であることを
明文化する形でなずけられたように理解しています。

要するに抽象名称化ってのは、個の名前を消すためにつけてるんです。
そう思ってみると、抽象名称の特許事務所名って何言いたいか
分からないものが多いですよね。
「すぐやる特許事務所」とか「格安特許事務所」というのは
出てきそうにないです。

一方で独立したての特許事務所ってのは
個を前面に押し出して仕事をとる訳ですよね。
それってのは規模のある特許事務所にはできないことなのです。
他に個性を強調できるような表現があればいいでしょうけど、
そういうものも特に見当たらないので、
個性の象徴である個人名を掲げた方がいろいろやりやすい
のではないかなとそんな風に思っております。