弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

弁理士になって権利化以外の仕事をしたいというお話

上記のお話は結構あります。弁理士になって新しいステージ
には行きたいけど、別に今までのような知的財産の権利化業務を
やっていきたいわけではない。遠い昔の職場の先輩も
そういってましたし、直近の職場の同僚、既に独立した
知人弁理士のそんなことを言っています。
企業知財部の人なんてみんなそんな感じですね。

さて、現実問題としてどうかと言うと、まあそういう人はいます。
弁理士知財の専門家として書籍をいくつか出版して
セミナーなどに呼ばれている某氏はまあある意味典型的です。
独立して弁理士業務を片手間に、株にうつつを抜かしている方、
競馬の予想ソフトを販売している方、病院の経営をされている方、
公認会計士の資格を取って公認会計士業務もされている方、
行政書士業務もやったりしている方、
知ってる限り挙げるとそんな感じですね。

完全に畑違いに行った方を除けば、権利化業務外が
採算性が高い感じはそんなにしないです。
私もいろんな事考えましたが、副業でちょっと何かやろうかな、
と言うことは今でもよく考えます。考えますけど、
本業の方が儲かるのではないかなとそんな気がします。

まあみなさんこの仕事はつまらないと言いますし、
面白いかと言うと面白いと言える面白さとは違う気がします。
淡々と仕事をして淡々と報酬を得るというそんな感じです。

企業知財の方が上流工程ですのでやりがい的にはあると言えば
ありますが、自分はこの仕事でどのような成果を出したのか、
というのが定量化しづらい面もあります。
特許事務所側は売り上げの数字になりますからね。

しかしまあみなさんそんなにやりがい必要なんですかね。
収入になって、仕事がそこまでしんどくなければ
それでいいんじゃないですかね。
大体知財業界なんて多かれ少なかれドロップアウト組でしょ。
平穏に日々終えられればそれでいいじゃないですか。

自分は淡々と仕事をして通帳の残高が増えればそれでよしです。
世の中そっちの方が大事と思います。

平成30年度弁理士試験論文受験者統計

特許庁弁理士試験統計の発表をしています。
http://www.jpo.go.jp/oshirase/benrishi/shiken/h30toukei/index.html

毎年この時期のようなのですが、去年は掲載するのを忘れておりました。


必須と選択の論文試験の受験者数ですが、
選択科目の受験者数が去年194人、今年213人です。
必須科目が去年917人、今年1070人です。

短答試験の合格者数が変動したことが話題になりましたが、
免除持越し制度があることで、論文受験者数は
ならされています。全体として極端な変動は、
論文受験者数についてはありませんでした。

必須科目から見ていくと、受験者数は153人増えました。
なのですが、受験回数「初回」は61人から89人と、+28人。
短答試験の初回合格者自体は187人から418人と
増えているのですが、この辺の違いがよく分かりません。

短答合格統計とずれが出ているのは、出身校にもあって、
短答合格者数は、わずかに1人東大の方が多いのですが、
論文必須科目の受験者は、なんと京大87に対して
東大は76人です。京大の方が持ち越し組が多かったのでしょうか。
この辺どう見ていいかよく分からないのですが。

選択科目ですが、こちらは初受験組が大きく増えています。
大きく増えたと言っても、1割程度と言いうことは、9割程度は
前の年またはそれ以前には落ちていた、と言うことになる訳ですよね。
自分は選択科目を一発で受かりましたが、なかなか厳しい試験です。
なんだかんだで修士卒有利と言う数字がここに出ていますね。

そこで出身大学を見ると、なんと選択科目受験者では、
日大がトップです。まあ大体国立の方が修士卒が多く、
日大卒の方は学部卒の比率が高いです。
それでも総数としたときにこうしてトップに出てくると
意外感が出てきます。
だって修士卒比率が高いはずの東大が2位ですからね。

まあ傾向と言うよりは数字を見ての雑感です。
総数の変動が収まってきましたので、今年の雰囲気はこんなだと、
そういう話題をしてみました。

特許出願明細書のレベルについて

特許明細書が書ける、書けない、という議論があります。

絶対評価でこれが良いかどうか、というのは人によって
評価が分かれますが、Xという明細書とYという明細書の
どちらが良いか、というものを、ランダムに抽出した2つから
比較した場合、そこまで評価は分かれないように思います。
優劣は大体客観的に評価できそうです。
が、それが合格かどうかは人によって異なります。
厳しい人と、比較的緩やかな人がいます。
厳しいのを品質が良いということも言えますが、
人が育っていかず、人材が定着しないので、
組織としては大きくなっていきません。

さて、そんな漠然と語られる特許明細書の品質ですが、
あえて分類すると大体3つくらいに分かれます。

A:非常に細かくきちんと書かれている
B:大体書けている
C:なんとなく微妙

まあ普通の区分けではあるのですが、AとBの中間とか、
BとCの中間とかってありそうですが、
あんまりないような気がします。
なんか妙にキッチリしているか、大体か、微妙か、
明細書を読んでいると大体そんな感じです。

D:書けていない、というのもありそうですが、
さすがにお客さんがOK出さないと思います。
ただ、稀に世の中に出てきますので、
目を疑うような特許がネットの黎明期に話題になったりしました。

何をもって、と言うのもやっぱり難しいのですが、
網羅すべき事項がたくさんあって、そこをどれだけ
きちんと押さえておこうと考えるかによって決まりそうです。
Aの人はなるだけ全部と考えているのでしょうね。
Bの人は7割方で来てればよいのでしょう。
Cの人はバレないようにこっそり処理パターンですね。

人の明細書を調べるときにこれはどのグレードかを頭の中で
判定していくと面白いかもしれません。
判定結果をフィードバックしていくことで、明細書の品質を
上げていくこともできるでしょう。

弁理士・特許技術者に向いていない人

弁理士・特許技術者といっても実際の業務範囲は多岐にわたりますので、
こちらは向いていないけどこちらは向いている、ということは当然起こります。
ただ、弁理士・特許技術者と言えば国内特許明細書を書く
仕事をする人と一般的認識されているように
思いますので、その観点から考えていきたいと思います。

1つは、知財業務全般に言えることですが、書類を前にして
一人で黙々やる仕事なので、そういうのが向いているかどうか、
と言う観点があります。開発の人が知財に来たとき、
知財ってシーンとして黙々してなんかやっているよね、
と言われるような知財部もあります。
ただそれでも企業の一部門なので特許事務所と比べるとそれなりです。
そういうのが無理な人はそもそも向いていないという感じがします。

もう1つですが、実務を身につけるまでは、怒られながら、
ダメ出しをされながら成長していくという面があります。
比較的若い人の最近の傾向のようですが、ダメ出しをされると、
もうダメだという人が昔と比べて多くなっていると聞きます。

もちろん闇雲に怒る指導者弁理士は困ったものではあるのですが、
業務覚えたての頃の原稿は、やっぱり真っ赤にペンが入れられて
帰ってきます。そういう指導の繰り返しの上で仕事が身について
来るものなので、それに耐えられない人はこの仕事は向いていません。
実際に怒られ耐性がなんだか低い人を数名確認したので、
そういう人っているんだあと言うことを思いました。

ここまではまあ前提となるのですが、実際に向いているかどうかは
書かせてみないと分からんと言うことをよく聞きます。
明細書担当者の採用担当はやったことがないのですが、
採用の人の言わせると、できる人は割とすぐにできるようになるし、
ダメな人はどんだけ言ってもダメなんだそうです。

とは言え、未経験者は採用段階で見極めないといけないので、
手を変え品を変え色んなテストをしているようなのですが。
効果を上げているかどうかは未知数のようです。
まあ入ってみないと分からないというのが実情のようです。

それでも明らかに向いていない人と言うのはいるので、そういう話をしてみました。

いわさきブログが終了

私がブログを始めた頃は、今ほどはあちこちでブログが書かれている
という状況にはありませんでしたが、それでも既にブログは普及
しており、その中でも主要なものの1つがいわさきブログでした。
リンク先は下記。

http://iwapat.sblo.jp/

弁理士試験を受けていた頃や弁理士になりたての頃は、
色んな事を知りたいのでいろいろ調べましたが、そうしているうちに
このブログを頻繁に見るようになっていました。
もしかすると私のブログもそんな風になっているのかもしれませんが。

それでオフ会をやるというので頻繁に参加し、
そこで動機づけられて独立を考えるようになって今に至っております。
そのいわさきブログをやめるとのこと。

10年やると書くこともなくなるとのこと。
私は5年やって、もうすでに書くことはほとんどなくなっていますが、
ないなりに書くということを続けながら今に至っています。
10年と言ったらどんな感じなのか想像もつきません。

ただまあ情報発信的な意図は、多分他のブロガーに比べると
自分は、正直薄いというのが本音です。
だからネタも使い回しますし、毎年恒例のネタというのも
繰り返します。そんなんでよいと思っています。
ミスチルやサザンでも同じような曲を繰り返して
久しいのですから、たかが個人のブログなんて
どうせほとんどは忘れていますし、似たようなことを
似たように繰り返しても何の問題もありません。

書きながら気が付いたのですが、ブログをはじめて5年。
独立してからもうそろそろ4年になります。
同じ時期に独立した人の中には、人を増やして拡張路線に
移った人を何人も見かけます。自分は事務スタッフ以降は
特にそういうのをやっていませんので、
拡大ペースとしてはのんびりです。

まあ人の姿を見ながらそこを追いかけるフェーズの終焉を
感じさせる状況でもあり、少し色んな事を考えました。