弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

キャリアの末期に介護職が来てしまう時代

損保ジャパンが社内の人員を介護職に振り分けるというニュースが
巷で話題になっております。
その趣旨が具体的にどんな感じなのか、というのは憶測でしかないですが、
その憶測によると、損保ジャパンの余剰人員となった中高年金融マンが、
まさかの介護職への振り分けになるのではないか?
ということで大きな話題となっております。

損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190624-00000119-jij-bus_all

ここのところ、大企業の多くで中高年のリストラについて
大きく報道になってきています。リストラとなると本人の同意を取って、
その上で割増退職金ということになる訳ですが、
それすらも必要とせず、まさかの介護職の配置転換、という
アッと驚くウルトラCが出てきたのでは?という
どよめきが出ています。

会社も入社してから退職までの間に栄枯盛衰がありますし、
その中で会社が衰退してしまうこともあるかもしれません。
その場合には転職、という選択肢を取らずに会社に残る道を
選ぶ方も少なくないですが、終身雇用型の会社の場合、
配置転換などを行って雇用を維持する形をとることが
これまでもありました。
そこで開発職から慣れない営業職などに配置転換されて、
という悲哀の話も聞かないことはないですし、
そこまで極端でなくても、慣れない職種及び職場に移動、
ということは少なくもないでしょう。
知財畑で言うと、開発から人が移動してくるケースは少なくありません。
それくらいの親和性を持っての配置転換の話ですので、
もし上記の邪推の通りであるとすると、金融から介護へ、
というあっと驚く大展開を見せることになる訳ですね。

じゃあ知財となるとどうなるかというと、東芝のケースなんかだと
知る人の範囲だともうさっさと転職している感じはあります。
そこは知る範囲ですので、リストラされていたり、
望まない配置展開をされていなくもないですので、
本当のところは分かりません。本社系業務でキャリアの
ある仕事なので、逃げ道はある気がしますがよく分からないです。
転職しないとなると、会社の中にしがみつくとして
どうなっていくのかはなんだか不安ですよね。

一方で特許事務所はどうかと言うと、介護職を併設している
特許事務所があるのではという怪情報はありますが、
基本的に寄らば大樹の陰という雰囲気はそもそもないですよね。

特許事務所というのはどちらかというとそこに残り続けるのが
困難な系統の仕事です。特に入所半年が命がけで、3年残れば、
もう後はどうとでもという部分があります。
特許事務所ごとの雰囲気はありますが、待遇が良くなければ
もうさっさとどこかの特許事務所に転職してしまう、
というドライさはあります。残るのが原則、というよりは、
選択の結果残ったという感じが強いです。

業界全体で人手不足感が強いので、余剰人員という話は
耳に馴染みはないですよね。人員として余剰というよりは、
その職務を果たすことができずに、そこに残ることができなかった
ということの方が多いはずです。案件処理できない人を
人員として残しておく傾向は組織の大小を問わず、
ほとんどない感じを受けます。
人員の余剰感ということは、ほとんどの特許事務所ではないですよね。

残るのが難しい職場か、残してはくれるけど、会社がダメになったときに
怪しい状況になる職場が良いのか、というのが益々試されるように
なってきました。キャリアの選択というのは難しい話です。

弁理士にとって華やかさは必要かについての見解の1つ

文章というのは書けば書くほどそれなりに誤解も深まっていく部分があり、
やはり精査して書かなければ行けないのですが、特にそれ自体お金をいただいている
訳でもないただのブログについてはそこが疎かになってしまう部分があり、
やっぱりここは補足した方が良いのかなあと思います。

自分の価値観として、殊更に華やかさを強調することがあまり好きではないのです。
そもそもこの仕事は華やかな仕事ではありません。それは実際にこの仕事を
やっていれば普通にわかることだと思います。
そんな中わざわざ華やかさを強調する面があるとすれば、それは
やはり裏側に何か思惑があることがほとんどで、多くの場合は
何か商業的な意図があるのかなあという邪推が働きます。

どこの受験機関とは言いませんが、この資格を取ったら未来が開けますよとか、
安易な未来を強調して資格試験を目指し、いざ就職しようとしたら
就職先も見つかりませんでしたとか、そういう人何人も知っています。
やっぱり人生をかけていくわけですから、惑わすことは良くないと思っています。


この仕事を目指すとすれば修業期間はそれなりにしんどいですので、
入ってくるとすれば、能力のある人か覚悟のある人にしてほしい気持ちはあります。
そして、いざこの業界に入ってきたのであれば、
全員が食える世界であってほしいなあというのが自分の素朴な願望です。
まあ実際は無理ですし、人の能力の上下幅も大きいですし、
勝ち組負け組はどうしても出てきます。ただまあかつて落ちこぼれだった
業界の時に入ってきた組としては、弱い人にももう少し優しくて良いのでは、
ということはふと思ったりしますよね。
強者は強者の論理で高収入の未来を強調しますが、
この業界それなりに死屍累々あります。
そういう人間は少しでも少なくあってほしいと思っています。

自分もまたこの年まで何とかこの業界で生きていけたわあ、という意識があります。
70歳くらいまでは何とかやっていければと思いますし、みんなそんな風に
生きていきたいのではないでしょうか。


何が言いたいかわからない感じにはなってきたのですが、
ネットには陥れたい人たちが実際のところ沢山いますので、
変な匂いにはなんとなく敏感になってしまうのですよね。
分からないことについては余計なことをするなという気持ちが出てきてしまいます。

業界に入ってくること自体は歓迎していますが、
入ってきた以上は、生き残りましょうね、というのが私の願いです。

知財を盛り上げたいとか弁理士の知名度を上げたいという人の気持ちが分からない

弁理士界隈で、例えば委員会のような会務周りであったり、
それ以外でも無党派的な立ち位置でも割と共通する傾向として、
知財を盛り上げたいとか、弁理士知名度を上げたいという方が
結構な割合でいることが散見されます。

自分はそういう価値観を持っていないので、なんでそんなことしたいのかなと
非常に疑問なのではありますが、実際のところそう言う弁理士が多いのは
事実は事実です。ですので、そういう盛り上がりを支援するための
活動というのが、特に弁理士会周りで肯定されるのは
ある程度致し方ないかと思います。

知財を盛り上げたり、弁理士知名度を上げてどうするんでしょうか。
やっぱり弁理士格好いいと思われたいんでしょうかね。
まあお医者さんモテますし、弁理士も同じくらいモテたいという
気持ちを持つことも気持ちは分からなくもないです。
弁護士や税理士と比べても知名度は確かに下ではありますし、
せっかく難関資格を受かった自分をもっと世間に褒めてもらいたい、
という気持ちに対して、共感はないですが、
そういう価値観があるのを全く理解できなくはないです。

ところで、もともと知財に対して具体的なイメージを持っていた方
ってほとんどいないのではないでしょうか。
税理士さんだったら税金の計算をするんだなあとか、弁護士だったら、
実際はずれはありますが、法廷闘争をするんだろうなあとか、
なんとなくイメージがわきますが、知財についてはそもそも皆さん、
特許も商標もあんまりわかっていないですよね。
自分は知財部に配属が決まる前の段階で、特許や商標のことを
全く分かっていませんでしたし、キヤノン知財部を辞める前の段階で
商標に関する知識は0でした。

そして、前にも関連記事で書いたと思うのですが、皆さんなんで
弁理士になりましたか?知財の仕事を目指しましたか?というときに、
現実的なところお金だと思うのですね。
弁理士になると大金をつかめると思った方はもう少し現実を見た方が
良いと思いますが、まあ国家資格だし会社辞めても食いっぱぐれなさそう
だなと思った、というのが動機のほぼすべてだと思うのです。

弁理士は依頼する相手というよりも自分がなるものであり、
一体どれくらい稼げるのかなあというのが一番の関心事です。
googleの検索に「弁理士」と入れたら真っ先に「年収」
という候補が出てきます。自分がなる職業の候補としてではなく、
弁理士という職業に関心を持つとしたら、
結構特殊な場合なのではないかという気がします。

そんな中で、世間が弁理士に関心を持ってくれるはず、
というのは自意識過剰にもほどがあるというのが本音です。

そして一方、世間的に旨みがある仕事って正直知名度が低く、
謎の職業であることが多いのですよね。
例えばかつてひよこ鑑定士という職業は高収入で名を馳せました。
それはそのことを知る人がかなり少なかったのも理由の1つで、
今やすっかり知れ渡り、高収入職としては旨みが少なくなった、
という情報がネットで流れています。
世の中のことって、知ったら仕舞、という部分があり、
謎に包まれているというのはそれなりに旨みが大きいと思うのですよ。

 

ちょっと角の立つ文章が多かったので一部消しました。

なんとなく文章を書くのは良くないなあと思っています。

ブラック特許事務所の明細書チェックと、特許事務所の泳ぎ方

特許明細書の書き方については、スタイルは定型であるように見えて、
案外人によって相違点があり、それぞれこだわりがあったりします。
実際のところ、人によって書き方が違う部分というのは、逆にいえば
どう書いても同じなのではという気もします。なので一番効率的に
書けるスタイルでさくさく書いていけばよいのではという気がします。
しかしながら、明細書初心者の修行中の身となると、そんなことを
おいそれという訳にも行きません。

自分の考えで「これでよいのでは」などという
おそらく正しいと思われる思い込みに基づいて明細書を書き、
その結果指導者に「なんで勝手なことをするかああ!!!!」
と怒鳴られた経験がある方は少なくないのでしょうか。
私も昔を思うと少し胸が痛くなります。

「えー、こ、これでよいのでしょうか..(恐る恐る)」
「何だと!!!!」という指導者の怒鳴り声。
仕方ないのでその指導内容に沿って明細書を修正し、
クライアントに原稿を納品した結果、クライアントからは
「ここのところは、こうした方が良いのではないでしょうか?」と、
要するにもともと自分が書いていた内容への修正指示。

「だから言ったのに!!!」と思いますが、
そんなことも言えず、粛々と上司に報告に行ったりしますが、
上司はそんなこと指摘したこともケロッと忘れています。
忘れてくれればまだいいですが、「どうしてこんなこと書いたかあ!!」
などと怒鳴られたりすることもなくもないです。

上司の指導なのですが。。ということを指摘した日には、
もう泥仕合です。そんな闇の世界に足を踏み入れることは
この業界においてはタブーですが、どうしても理系の落ち武者たちが
集う職場。空気の読めない言動が後を絶たないのですね。

怒鳴り声の響く職場、それ以外は特に会話もなく、
たまにどこかからか独り言が聞こえてきます。
そしてひたすらキーボードの音がひたすらカタカタカタと聞こえてきます。

こういう職場をどう思うのかは人によります。
まず第1に人付き合いを考えなくても構いません。
そして第2にこの上記のような面倒くささを潜り抜けて
一人前になってしまえば、もうどこに行っても食っていけます。
「明細書がキチンと書ける」という人材は慢性的に不足しています。
事務所が傾いてもどこかに転職すればよいのです。

ただまあそれまでの過程で心を病む方もいますし、
資質的に向き不向きもあります。そして指導者の指導が適切な場合と
理不尽な場合の振れ幅も結構大きい気がします。
このへん外れを引いたら大変なことになりますので、
外れは外れと割り切ってさっさと転職することがこの業界大事です。

ですので、ブラック特許事務所に転職してしまうことを恐れず、
割り切ってこの業界渡っていくことが大事かなあとそんなことを、
自分の昔を思い浮かべながら思い出しました。

弁理士短答試験合格者数531人、ボーダー39点(令和元年度)

令和最初の弁理士試験短答試験の合格発表がありました。
https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-gokaku/r01tanto.html

2019年弁理士短答試験、合格基準点(ボーダー)は39点
2019年弁理士短答試験合格者数531人  
でした。なお、

2018年-平成30年度は620人でした。
http://patintl.hatenablog.com/entry/2018/06/11/140856

2017年-平成29年度は285人でした。
http://patintl.hatenablog.com/entry/2017/06/12/122703

科目別合格基準点
特許・実用新案に関する法令 8点
意匠に関する法令 4点
商標に関する法令 4点
工業所有権に関する条約 4点
著作権法及び不正競争防止法 4点

工業所有権法科目及び条約科目の免除者の合格点 7点

基準点については昨年までと変わりませんが、一応今年も載せています。
ここ数年変わらず、問題解答は翌日に分かり、合否ラインも固定です。
合格者数は年によって変動が大きい様で去年より減っています。
年度によって合格持越し人数が変動しますので、そこによって変わるようです。

 

大体の合否の見通しは分かっているとはいえ、出るとやっぱり
一喜一憂してしまいます。ただし、時間がない時期なので、
切り替えが必要になってきますね。
自分は当時なかなか切り替わりませんでしたが。

この時期は月並みですが、頑張れということになります。