弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

欧州特許弁理士試験(EQE)は中止になりました

EPOに対して手続きをする欧州特許弁理士の資格があるのですが、
これは日本の弁理士試験と同様にやはり試験があって合格しなければ
なることはできません。

欧州特許弁理士試験についてはこちらに解説記事があるのですが、

hasegawa-ip.com

EQE(European qualifying examination)という試験です。

こちらのEQEについてのEPOのサイトに告知が出ているのですが、

www.epo.org

Decision of the Supervisory Board

Article 1
No European qualifying examination (pre-examination or main examination consisting of papers A, B, C and D) will be held in 2020.

となっています。欧州はスパッと中止に切り替えたようですね。

日本はどうなるのかですが、基本的には司法試験の動向をにらみながらだと思います。
まあ欧州の方が状況は深刻ですし、GW明けの状況次第では開催されるかもしれません。
弁理士試験に限らず、1月後の情勢も不透明というのは、色々不都合ですね。
とにかく頑張っていくしかありません。

 

なぜ特許事務所は価格と品質でしか競争できないのか

え、価格と品質だけじゃないの?と思った弁理士の方も多いと思います。
実際のところ、品質で勝負できているならまあそれはそれでよいと思います。
けどもういまやマーケティングの時代に入っており、マーケティングを考えず、
品質と価格だけの商売というのは他業界では結構厳しくなっています。
価格競争はもちろん、品質については特許明細書の品質ってのは
競争力がありそうで一定水準を超えればそんなにはないですよね。
まあソリューションの提供で勝負するというのが求められているのだと思います。

なぜソリューションを提供できないかというと、大手企業からの依頼が
仕事の中心になっているからです。大手企業は自前の知財を持っており、
問題解決というのは基本的に自前でやります。
ソリューションというのはやっぱり情報がないと難しく、
自社の技術経営情報はどうしても知財が集める立場にあり、
情報のない特許事務所が下請け的な立場に甘んじるのは
必然的に避けられないとも言えます。

いい明細書を効率良く作成するということに生きがいを
感じる人も多いと聞きます。それはそれで素晴らしいことだと思いますが、
そうでない価値観の人も多いと聞きます。
一方でそして営業先として大手以外を求めるのであれば、
明細書の品質は判断基準になりにくいのですが、
だからと言って価格だけで決めるものでもないはずです。
どういう提案ができて、どういう共感を提供できるか、
という部分が特許事務所にとって別の戦場であるとも思います。

営業活動と言っても、あいつはいい奴だからなあなんてのが
通用した時代はとうに終わっており、情報なり提案がないと、
顧客としては社内的にここが良いですとは言いにくいと思うのですね。
自分としても新しい価値観を打ち出していきたいのですが、
道半ばというところですが、あまり価格ばかりを前に出すのではなく、
どんな価値を提供できるのかを掘り下げていく時代に入っていると思います。

実際のところ特許事務所の人はテレワーク・在宅勤務に切り替わっているのか

新型コロナウイルスの影響ですっかり世の中の状況が様変わりし、
テレワークが推奨されると共に、テレワークが比較的容易な業務である
我々の勤務環境はよそでは実際どうなってるのか気になりますよね。

最近はやりのZOOMやたくのむ等を用いていろいろ聞いてみたのですが、
基本的にどこも技術スタッフは在宅勤務推奨となっているようです。
ただそのまま在宅で仕事をしているかというと、自宅で仕事は
あまりはかどらないので出勤している、または数日に一日は
出勤している、という声を聴きます。

私自身も、スタッフが出勤しない日はパソコン持ってどこで仕事しても
よいのですが、事務所自体が自分の部屋あるいは書斎のようになっており、
自宅が仕事をしやすい環境かというとそんなこともないことから、
結局出勤して仕事をしております。
やはり職場と家は分けた方が良いというアドバイス
独立した人に多くなされることから、そこであえて仕事をする、
というのも、なかなか集中しづらい人が多いのではないでしょうか。

もっとも家が集中しやすいという人の話も聞きます。
そういう人は、もう家から出なくていいと言って仕事しているようです。
その辺はひとそれぞれですよね。在宅で仕事をする方が
今は世間的にも推奨されている訳で、そっちの方が良いです。

特許事務所によっては、原則在宅で仕事をして納品だけしてください、
という特許事務所もあるようです。勤務しないとつらい人にとっては
そういう職場は合わないでしょうね。

一方、どうしても家にいないといけない、変則的に予定が入る、
というような状況だったりすると、家で仕事する方がありがたい
こともあります。昔いた職場で、部下のチェック担当もあった方は、
午前中は家で集中して仕事して、午後は自分の仕事をしつつ、
チェックなどもやっていたり、というような分担もしている人がいました。
家半分、職場半分くらいが良いなあという人が、肌感覚的には
一番多いような気がするのですがいかがでしょうか。

結論として、今は在宅勤務を推奨されながらも結局出勤している人が、
多いのかなという感触を持っています。
皆さんの職場はどんな感じでしょうか。

特許事務所とテレワーク・リモートワーク

新型コロナウイルスの蔓延下、テレワークに移行した特許事務所も多く、
また求人にもテレワーク可能であるということをアピールしている
特許事務所も数多く見られます。
ただ実際のところテレワークはどこまで可能なのでしょうか。

テレワーク可能という業務の中心は、特許の権利化業務です。
明細書の作成、中間処理、翻訳、これらの技術部門の業務は
昔から在宅で業務が可能です。家で案文を作成して、
後は暗号処理をして事務所に納品すれば、
事務所に出勤する必要はありません。

問題は面談が必要な場合ですが、これもオンライン会議が普及していますので、
例えばskype等で面談して、これをベースにして原稿作成に移行すれば
良い訳です。特許事務所のテレワークというのはこういう感じです。

で、特許事務はと言うとまちまちで、基本的には皆さん出勤しているのでは
ないでしょうか。1つは発送というものがありますし、対顧客のセキュリティ
という観点で、何か送るものがあるときに自宅からリモートでやるのか、
事務所にいる事務をいったん挟むのか、というのは考え方が出ると思います。

レビュー関係は紙に赤い印をつけてチェックというのも伝統的ですし、
そういう体制であると、特許事務スタッフが在宅勤務というのは、
ちょっと難しいのかなという印象を受けます。
事務所によってはすべて電子化、オンライン化で対応していたりして、
すると在宅でVPNなんかを使って特許事務も可能ではあるかもしれませんが、
あまり主流ではない気がします。

ここまでは権利化業務を中心に話をしましたが、
コンサルティング的な業務を挟む場合はどうなるんでしょうね。
例えば権利化なんかでも、依頼書まで来ていないような案件を、
リエゾン的な役割を果たしつつ依頼案件につなげる場合、
現場に行かないといけないですよね。

侵害非侵害とか、権利化のポートフォリオの相談とか、
まあオンライン会議でも可能ですが、対面なり現場に行って
そういうのをやっていくイメージです。

定型的な業務はリモート可能ですが、これから弁理士業務を幅広く
広げていく上において、ちょっとこの状況が続いていくのは、
他業界に比べればましではありますが、いろいろ困ることも出てきますね。

不要不急の外出を避けつつ、早く収束に近づいてほしいと願うばかりです。

雇用調整助成金、ハローワークの相談窓口がパンク、電話がつながらない

先の記事で、既に受付が始まっている雇用調整助成金ですが、

patintl.hatenablog.com

要件を緩和したところ、電話が殺到してつながらず、
オペレータの方も朝から晩まで忙殺されているという状況のようです。

そもそもこの雇用調整助成金ですが、新型コロナウイルスの影響による
解雇や雇い止めを防ごうと、政府は雇用を維持した企業が働き手に払う
休業手当への助成制度を、リーマン・ショック時なみに拡充するもの。

その相談窓口の東京労働局のハローワーク助成金事務センターは、
電話が「パンク状態」(担当者)という。
「8回線の電話が、ずっと相談で埋まっている」。

窓口を訪れる人も増えており、会議室を臨時の相談室にしたそうですが、
同労働局のハローワーク渋谷の窓口も4月以降、多い時は100人待ちに近い。
雇用調整助成金」の相談が殺到しているためで、
バスやホテルなど観光関係や飲食業界からの相談が多いという。

2月から4月3日までに、この助成金の制度で必要な休業計画の届けは
延べ2859件あり、うち助成金の申請は214件あったが支給済みは2件と滞っている模様。

引用:
https://www.asahi.com/articles/ASN486607N48ULFA001.html
https://mainichi.jp/articles/20200415/ddm/041/040/098000c

 

 

medical.umepat.com