特許についての価格以外の価値
自社商品をアピールする上で価格にフォーカスするのは
下の下策と一般的に言われます。
その商品そのものの魅力をアピールするというのが
広告宣伝の本質的意味な訳で、食べ物だったらおいしさ、
家電製品だったら便利さ、いすやベッドなら快適さでしょうか。
といったことを考えていくとき、では特許については
何がこれに該当するのかというのが問題になります。
特許法というのは開示の代償として独占権を付与する制度です。
したがって、教科書通りに答えると、特許を取るとその製品技術は
自分だけで独占することができるということになります。
もちろん間違いではないですが、
その製品を独占実施できるはずないだろ、ということになります。
うっかりそれを信じてしまったら騙されたとすらなりかねません。
ではなにがその価値であるのかというと、特許の価値は戦略に依存します。
独占排他性に価値があるわけですが、独占できるわけではなく、
他社との関係性において交渉などに基づいて価値が発揮されます。
それが特許の現場にいない人にとって分かりにくい話であり、
例えば料理のおいしそうな写真を撮って、感覚的に欲求を起こさせる
という性質のものとは全く異なります。
広告宣伝を打とうと考えたとき、こうしたアプローチとは
全く異なることになってしまうことになります。
これが弁護士さんだったら、訴えてやるとか訴えられたどうしようとか
状況がものすごくはっきりしているわけです。
それが弁理士の扱うサービスは非常に分かりづらい。
ある意味放っておいても事業としては成立してしまいます。
こうしたことから、商品そのものの価値を訴えることの困難性があり、
その結果として価格競争が先行しやすい土壌があったりします。
「いい明細書」なるものも非常に価値は見えにくいです。
この辺のアプローチを編み出すことが出来る弁理士が出てくると
すごいでしょうけど、そういうのは探してもなかなか見当たりません。
弁理士の営業というものへの関心は高まるばかりですが、
根源的な魅力の伝達力も発達していけば良いなあと
他力本願的に考えたりします。