弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

弁理士を先生と称することについて

年配の弁理士先生と比べて、若手になるほどに先生と言う呼称について
違和感を感じる傾向があるように思います。
正直私も、先生と言われるほどの馬鹿でなし、という点には
それなりに同意する部分があって、やや違和感はあります。
あと、先生って単語は学校の先生とか指導者のイメージなんですよね。

ただそれでいいのかという点については、弁理士の地位低下が顕著な昨今、
むしろそれは大事なことなのではないかと思うところがあります。
依頼者が敬意を持って接している限りでは称呼なんてどうでもいいと
思うんですけどね。ただ現実にはそうでないことが多いと。

資格があるかなしかが大事なのではなく、問題は実力であると。
それは一見説得力がある話には思えます。
けど人様の役に立つから、人から敬意を払われるかというと
必ずしもそうでないかなと思います。
だってそういう軽く扱われる職業世の中にいくらでもありますよね。
遠く遡れば医師だって低く見られていた時代があります。

われわれの仕事だって結局商売として成り立つかが大事なのですが、
それはいかに選ばれるかに左右されます。いかにして選ばれるかは
実力も大事ではありますが、一目置かれているかに左右されます。
先生と呼ばれるほどの立ち位置を確保するのは実は大事な面があります。
こういう経緯から先生と呼ばれるようになっていったのではないかなと
私は勝手に考えています。

さて話は変わりますが、弁理士になると、
特許技術者の頃と比べてなにが変わるのでしょうか。
まず独立開業可能、自分の名前で代理できるというのがありますが、
もう1つ、弁理士を名乗ることができるというのがあります。
当たり前のことを言っているようですが、
一方で特許技術者を名乗ることは出来ません。
名乗っても良いですが、何かが微妙なわけです。
企業勤めなら良いですが、特許事務所勤務の場合、弁理士登録することで
ようやく地位が対外的に安定するような感じはあります。

できればこのときに他の士業の人と接する機会があると良いです。
隣接業種でどのように資格職と言うものをとらえているか。
弁理士になると、そうした人たちと対等の立場になるのですね。
特許技術者ではそうは行きません。

その中でも特に商売がうまくいっている方と話すと顕著ですが、
顧客に対して自分の位置を高く保つこと。
この点を意識して維持しているように思うのです。
別に先生と呼ばせる必要はないのですが、相手に敬意を持って接させる。
これが出来ないと仕事の依頼は来ないという感覚ですね。

弁理士の場合は顧客も知識が豊富なことが多いので、
どうしてもその辺がないがしろになってしまいがちです。
また、理系の人間は自分の価値を貶めてしまう傾向があります。
結果、下請け的な立場に簡単に屈してしまう。
そういう位置関係が単価の切り下げ圧力に簡単に屈する
土壌を作っているのではないか、という人がいます。
案外商標を担当している弁理士の方が顧客から先生として
扱われる傾向にあると、そういう話を耳にしたこともあります。

まあ先生呼びに固執することはないですが、
弁理士はそういう職業なのだという矜持は大事なのかなと思います。