鳥二郎と鳥貴族
焼き鳥店チェーン「鳥貴族」に対して、後発の焼き鳥店チェーン「鳥二郎」
が出てきたということで商標権に関する争いが発生しているとの話題がでています。
https://www.google.co.jp/#q=%E9%B3%A5%E4%BA%8C%E9%83%8E+%E9%B3%A5%E8%B2%B4%E6%97%8F
指定役務はともに飲食物の提供で、問題は商標そのものが類似しているかどうか。
鳥二郎、鳥貴族、いう文字だけなら、両方とも焼鳥店なので「鳥」の部分に
識別力はなく、「二郎」「貴族」は何の共通点もないことから類似の観点
からは問題外と考えられます。
争いの余地があるとすれば、鳥を図案化した部分。
けどこの図案化した部分のみの商標権ではないことから、
ここを要部としては考えにくく、「二郎」「貴族」と一体化して考えるべき
かなあと考えます。しかも識別力のない「鳥」の部分の図案化の域を出ないこと
を考慮すると、ここだけで強い識別力を主張するのも厳しい感じがしますね。
しかも図案化部分を良く見てもちょっと違う感じがしますし、
商標法の観点から排除するのは分が悪そうですね。
実際、「鳥二郎」で商標登録までされているんですよね。
異議申立中のようですが、取り消し決定にはならないような気がします。
まあ弁理士なら普通に思うことをつらつらと並べてみましたが、
当たり前のことを整理してみるのも必要かと思って整理しました。
まあぱくり商売と言うのも昔からそんなに珍しいものでもないですし、
あからさまに混同するレベルでなければ法も基本的には寛容ですよね。
複数の会社で市場を大きくしてくれと言うのが産業政策上の要請のように思います。
また、鳥二郎としても巧妙に類似範囲を回避しています。
この手のアドバイスをする人と周到に検討したのでしょう。
弁理士としては市場を創造する側のサポートと言う観点から考えがちですが、
先行を模倣しつつ、いかに法的問題を回避するか、と言う観点で
市場参入のサポートを手助けするというのも仕事としては面白いかもしれません。
ほとんどの弁理士は「確証はもてませんが」と曖昧な回答をしますからね。